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インド人と寅さん

旅をしながら暮らしている人に出会うことが最近多くなったような気がする。ちょっと前にどこでも働ける「ノマド」の人々を多く見かけたが、コロナの影響なのか都市部以外でも働く術を身につけ実践している人々が増えてきたのであろうか。

「ジュガード」というものを知っているかとある旅人が私に訪ねた。インドのヒンディー語の言葉で「革新的な問題解決の方法」だと言われ、インドで古くから伝わるものの考え方である。限られた資源や環境の中でアイデアや想像を膨らませ解決方法を見つけ出す。創意工夫、「Hack」などと訳されることが多く、この言葉がその旅人の心に響いたのだそうだ。

確かにインドを見まわすと「ジュガード(Jugaad)」の精神というものをありとあらゆるところに見ることができる。例えばインドの人々に何かを頼むと「イエス」なのか「ノー」なのかわからない曖昧な返事の仕方を独特な首の振り方で返事をすることが多々ある。出来るか出来ないかはわからないがとりあえずやってみよう。タクシーやオートリキシャーに乗るときも同じ感覚に陥る。どこそこに行きたいというと「OK」だけ言ってとりあえず出発する。得意げに連れて行くものだから行き先をわかっていると思いきや全くわかっていないことが多い。これもジュガードの精神なのであろうか。何にしろ不思議と問題は解決され遅かれ早かれ目的地には着くのである。
環境や状況など様々な要因のせいにして現状から前に進もうとしない。よくわからないがとりあえず進んでみたら新しい景色が見える。やってみればわかるさ。工夫してみよう。などと言ったことは確かに私はインドで過ごした時代に多くを学んだ。少し不便な方がそうさせたのかもしれない。

旅人から教えてもらった「ジュガード」という言葉が私の頭の片隅に残って離れない。
毎月開催している野菜を農家から送ってもらった様々な料理を作ることだったり、ある魚から何を作るか考える「フィッシュマサラクラブ」だったりもちょっとしたジュガードだなと思ったり、やっぱりスパイスやその周りの知識を深めることが「自由」だったり「ジュガード」と言ったことにつながっていくのであろう。

次はどこにいくんだい。

さあね、風の吹くまま、気の向くままに。

そういえば誰かが今は風の時代なんだと教えてくれたような気がするが、まだそうなのであろうか。

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