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ローカルとグローバル

葡萄の栽培からワインの醸造まで一貫してその土地、もしくは国内で作るワインを「日本ワイン」と呼ぶらしい。そんな日本ワインだけを紹介、販売する店が近所にできたというので行ってみると作り手の顔や、作られている土地の情景が浮かぶようなワインの味わいに、今まで少し遠くに感じていたワインの世界がぐっと身近に感じられるようになった。

新しい世界の扉が開いたような気がしたので、スパイスとワインを組み合わせて何かをやってみたいと思い、先日第一回「スパイスつまみの会」を開催した。
スパイスを多用するインド料理の多くは今から500年くらい前に今の礎ができたといわれている。その時代はムガール帝国の時代。ムスリムの人々が支配していた時代なので料理を作る際にも、食す際にもアルコールは使われなかったそうである。故にインド料理をお酒と一緒に楽しむという食事の仕方が発展せず現在に至るような気がする。しかし少しずつ時代が変わっていき200年近く前にはインドでウィスキーやラム酒も作られるようになったり、最近ではワインも作っており年々質が上がっているそうである。

スパイスを生業にするようにして、スパイスをそのまま売るだけではなくその土地や人、環境、風土などと一緒に活かしていく術を常に考えるようになった。日本ワインを通して知る日本も素敵だ。そしてスパイスを通して知る世界も素晴らしい。

Think globally, act locally. 

20年近く前にこの言葉を何度も耳にしたような気がする。世界が急速に近くなってくることへの反発だったのか、それぞれのアイデンティティーを大事にするためだったかは知らないが、当時様々な世界を見たい自分にとっては少し耳障りな言葉のような気がした。

スパイスの知識や使い方を少しずつ増やしていくことによってスパイスというレンズを通して世界が見れるようになり、ほんの少しだが言葉の意味がわかってきたような気がする。

スパイスつまみの会では何種類かのスパイス料理に合うであろう日本ワインを用意していただき、つまみになるであろうインド料理やスパイス料理を作ってみた。ローストしたスパイスを使って作るブナチキンにはメルローやシラーが使われたワインがよく合い、東インドのマスタード、ヨーグルト、砂糖を使って作った魚料理には甲州で作られ、樽で寝かされたワインがよくあった。オレンジワインはさっぱりとしたものやアチャールなど辛みと酸味の主張が強いものと相性が良いような気がした。Pump up と名がついた発泡しているオレンジワインは作ったスパイス料理のどれにでも合うというのもあった。

ワインとスパイスを合わせることによって世界が広がっていく。そしてそれぞれの季節や住んでいる土地がもっと楽しめるような気がした。

Think globally , act locally. 

言葉の意味がもう少しわかったような気がするが、まだまだわからないので第2回、3回と「スパイスつまみの会」を開催していこうと思う。


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