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新たな門出にコリアンダーシード

インドレストランなどで食事をすると帰り際や食べ終わった後に口直しと称し、フェンネルやそれを砂糖などでコーティングされたものがもらえたりする。だいたいはフェンネルなのだが、バングラデシュの肉料理を売りにしていたレストランで食事をした後でてきたのはローストしたコリアンダーシードであった。噛むたびに弾ける爽やかさが新鮮で弾けるコリアンダーシードは私の口の中で何か新しいことが始まったような気にさえもさせる。

「幸福をもたらすスパイス」と言われ古くから愛されてきたコリアンダーの歴史は長く、あるひとは8,000年、ある人は5,000年前から親しまれていると言う。コリアンダーが使われていた最古の痕跡はイスラエルのナハル・ヘマル洞窟に見つけることができるらしい。ギリシャ人は約5,000年前からコリアンダーを栽培して香水などに使っていたそうである。そしてエジプトに伝わり、健胃作用、整腸作用、抗菌作用、鎮静作用などがあることから食用や薬用としても広まっていったそうである。ツタンカーメンの墓にはコリアンダーシードも一緒に埋葬されたのだとか。約3000〜4000年前にはペルー、ギリシャ、中国などで使われていた痕跡が残っており、中国では不死の薬として重宝されたそうである。古代ローマ人たちにより肉や魚などを保存するために用いられ、その活用方法は1世紀ごろにイギリスに伝わりその後アメリカにも伝わっていったそうである。ベルギーなどのビールにもコリアンダーのフルーティーで爽やかな香りを加えたビールが作られている。

コリアンダーシードには主に二つのタイプがあり、モロッカンタイプとインディアンタイプである。私的にはモロッカンは深みがありインディアンは爽やかである。モロッカンタイプは丸く、どちらかと言うと茶色に近い緑色をしている。インディアンタイプは楕円形で黄緑色をしている。使い道で使い分けるのが良いと思う。爽やかにしたいならインド。深みを出したいならモロッコ。ピクルスや白ワインのサングリアなどには私はインディアンタイプを使うことが多い。

コリアンダーシードを噛んだ時に感じるあの爽やかさは、どこか空の雲が散り、真っ青な青空が広がるような感覚にも似ている。コリアンダーシードを噛むと何か新しいことが始まるような気にもさせる。

コリアンダーの花言葉は「隠れた才能・長所・価値・美点」と言われている。新しい環境、季節、気分にコリアンダーを使った料理を作ってみる。パッと弾けたコリアンダーが新しい何かの扉を開いてくれるかもしれない。

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