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ひよこ豆は世界を救う

私のルーツでもある西インドのグジャラート州ではベジタリアンの人が多く、人口の約6割はベジタリンだとも言われている。そしてドライステイトと言われ禁酒の州でもあるのでビールとタンドリーチキンなんと言う最高の組み合わせも滅多に味わえない。一度友人に誘われてタンドリーチキンを一緒に食べたが、薄暗いレストランで誰にも見つからないように食べてたので犯罪者にでもなったかのようであった。

肉料理よりも豆や野菜を使った料理が豊富で、路上には豆を使った様々な屋台料理があふれている。その中で大活躍するのが「ベッサン」と言われているひよこ豆の粉である。一般的なひよこ豆より小粒で茶色い「カラチャナ」と言われているものを挽いて粉状にしたものである。ベッサンを衣に様々な野菜を揚げたものはバジヤ(Bhajiya or bajji)と呼ばれ、揚げたてのバジヤとチャイは最高の組み合わせである。

ベッサンはタンパク質などの栄養源も多く含まれていることから様々な料理にも使われるが、その豊富な効果、効能からターメリックとヨーグルトなどと混ぜフェイスパックなどにも使われている、卵と油をベッサンに混ぜ髪にあてがう人もいるそうだ。油などの吸収力も高いので食器などを洗うことにも使うことができる。血糖値を下げる効能、貧血予防、免疫力を高める効果、血中コレステロールを下げる効能、リラックス効果、骨密度を上げる効果など調べると様々な効果があることがうかがえる。まさに魔法の粉なのかもしれない。

インドの農村では米とひよこ豆を交互に植えることによって土壌を豊かにしている。ひよこ豆に宿るバクテリアが大気中の窒素を取り入れ硝酸塩類に変えてくれることによって周囲の土壌が豊かになるそうである。まさに自然の肥料でもある。

ひよこ豆はトルコあたりが原産と言われ、歴史を遡ると7,500年くらい前から育てられているらしい。インドにやってきたのは2,000年前くらいと言われている。南部フランスではベッサンに水、オリーブオイルを混ぜパンケーキのように焼くソッカという料理もあるらしい。イタリアやスペインなどでもひよこ豆を使った様々な料理が日々を彩っている。

インドの田舎で数日間過ごした時もベッサンには大変お世話になったものである。

世界で一番食べられていると言われているこの豆は、いまそこらじゅうで叫ばれている持続可能な目標とやらを叶えてくれる魔法の豆なのかもしれない。

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