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土鍋に乗って世界旅行

インドは世界最大の民主主義国家であると誰かが言っていた。



様々な人種、宗教、風習、言語、気候、食文化などがごちゃごちゃに放り込まれ、ヒマラヤ山脈で蓋をして出来上がったのがインドであると聞いた時は、なるほどねぇと思った。



香りが違うスパイスを多用して様々な食材を加えて作るカレーみたいなものである。



苦いのもいれば、辛いのもいる。爽やかな奴もいれば、臭い奴もいる。

それぞれの個性を活かして良い感じにブレンドすると素晴らしいものができるのもインドでありスパイスでもある。

先日、三重県は伊賀の土鍋などを作る長谷園のオリジナルスパイスミックスを作らせていただいた。鍋料理のオリジナルスパイスミックスを依頼された時に思い起こしたのがヒマラヤで蓋をするという話である。ざっくりと切った野菜や肉などを適当に鍋に突っ込み良い感じにブレンドされたスパイスを加え蓋をして火にかけ20分。火にかけている間は調理はせず、待つのである。香ばしい香りが鍋から漂ってくる。くつくつという音が食欲と好奇心を掻き立てる。熱くなった蓋の取っ手をそっとつまみ、ゆっくりと開けてみる。



カレーになっているのである。



妄想が現実となり、土鍋用のスパイスミックスが出来上がった。


手軽に手に入る食材と土鍋専用のスパイスミックスで旅気分を味わえたらより楽しいと思い、インドのカレーミックス以外にも八角や山椒、花椒などをブレンドした中国ミックス、パプリカやハーブなどをブレンドした地中海ミックス、辛味と酸味を際立たせた中米ミックスと4種類のスパイスミックスを作った。食材の相性はあるものの、だいたいどのスパイスミックスも大さじ2杯入れて20分くらい待てばその世界の味の鍋が楽しめるようになった。



スパイス料理を作る時は香りを重ねるように調理することが多い気がするが、この土鍋スパイス料理は香りを閉じ込め、食材の旨味も閉じ込めて作るので出来上がったカレーもフライパンなどで作ったカレーとは風味が違ったような気もした。

「おお〜」という鍋の蓋を開けるときの盛り上がりが結構好きなので、その声をもっと聞くために、もっと色々な世界のスパイス料理を知りたくもなった。



土鍋に乗って世界旅行!



なんだかパッとしないキャッチコピーだが、気軽に海外旅行気分を味わえるなら易いものである。

でもやっぱり、その土地の空気を吸いながら、その土地の料理を食べたいものである。

とりあえず、妄想世界旅行でも楽しんでおこう。

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