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赤いペッパーのおはなし

唐辛子ほど瞬く間に世界中に広まっていったスパイスは珍しいかもしれない。

唐辛子の歴史は遥か昔、紀元前5000年前に遡るらしい。ただ中米・南米のみに栽培されていたためその他の世界には知られていなかった。

そして時代が流れ、イタリア生まれのコロンブスがやってきたのが1492年である。

当時ヨーロッパへのスパイスのルートは、インドや中国からレヴァント地域に運ばれてきてヴェネツィア経由でヨーロッパの様々な地域に運ばれていったらしい。

黒死病(ペスト)の流行やマルコポーロの東方見聞録がスパイスの需要を高め、人々のスパイスへの興味、関心は日に日に高まっていた時である。ナツメグ、メース、クローブそしてブラックペッパーはスパイスの中でも特に需要があったらしい。そんな時である。当時の大国、オスマン帝国がヨーロッパへのルートを閉じてしまったのである。

時は大航海時代、人々は新たなスパイスルートを求めて海に出ていったのである。

その中にスペインの女王から命を受けたコロンブスがいたのである。
地球が丸いのであればあの地平線の先にインドがあるはずである。ほとんどの人たちが地平線の向こうには地獄があると信じていた時代、なかなか彼のインド行きの船の乗組員は集まらなかった。そしてどうやら囚人を乗組員として未知の旅へ連れていったらしい。

そして彼がたどり着いたのはインドではなく新大陸、アメリカ大陸だったのはあまりにも有名な話である。ただたどり着いた大陸をインドだと思っているコロンブスは必死にブラックペッパーを探したのであろう。インドではないので見つかるはずもなかった。しかし代わりに現地の人々が食べている辛くて赤い実を見つけた。頭の回転が早いコロンブスは多分思いついたのであろう。このままスペインに手ぶらで帰ったらあの怖いイサベル女王に殺されてしまうかもしれない。代わりにこれをもっていこうと。スペインにたどり着いたコロンブスは女王に旅の報告に伺った。あの赤い実をもって。女王が胡椒は見つかったか聞くとコロンブスは赤い実を差し出しきっとこう言ったのであろう。

「ありました、ありました。こちらになります。これもペッパーです。赤いけど」

レッドペッパーになった瞬間である。

このレッドペッパー、当時辛みが人気があったことや栽培がしやすかったことから瞬く間に世界中に広まっていったのである。1510年にはインドの西海岸のゴアにポルトガル人により伝わり、1540年ごろには日本にも伝わっていったらしいので半世紀近くで世界中に広まったのである。
ポルトガル帝国がブラジル、東南アジア、アフリカ、中東と広がっていくとともにレッドペッパーも伝わっていった。インド西海岸からはグジャラート人、アラブ人、中国人たちにより内陸に伝わりガンジス川、ジャムナ河を渡りヒマラヤを越え四川に渡ったと言われている。

今や世界の4分の1は毎日唐辛子を食していると言われている。
子孫繁栄のために自らを赤く目立つようにして鳥によって種を運んでもらおうとしたレッドペッパー。哺乳類から自らを守るため辛さを手に入れたレッドペッパー。6000年間地道に種の保存を頑張っていたレッドペッパーは、人間の手によってたったの50年で世界中に広まっていたのである。

暑くなると辛くて赤いレッドペッパーが欲しくなる。

そうそう鳥は辛さを感じないらしいですよ。

そしてコロンブスはいまだにアメリカはインドだと思っているらしいですよ。


冷え性改善・食欲増進・美肌効果・アンチエイジング・疲労回復・むくみ改善・血行促進と様々な効果・効能があると言われているレッドペッパーですが食べすぎに注意してこの暑い夏を乗り切りたいものです。

今はブナチキンと一緒に冷えたビールが飲みたい。


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