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美しいカレー

鍋をガスの上に置き、カチッと火をつける。強火で玉ねぎを炒めスパイスを加え香りを立たせる。ぶつ切りにした鶏肉を炒めたらトマト、水、ココナッツミルクなどを入れグツグツとしてきたら火を弱火に変えじっくりと煮込む。だんだんと表面に油が浮き出てくる。真っ赤に反射しているような表面は最初に加えた油が調理を進めるうちに吸い込んで行ったスパイスや味や食材の旨味そのもののように美しい。

 美味しいカレー、美味しい料理、美味しい食材は美しい。

 しっかりと作られたカレーはどの仕上がりも美しい。特にカレーの仕上がりの合図かのように浮き出てくる美しさはどこか積み上げてきた経験や苦労、努力から出てくる美しさと洗練された美しさがあり表面だけではなく芯がしっかりと通ったような美しさでもある。

 スパイスから作るカレーは「香り」だ、とよく料理教室でも言っているし、その通りだと思うがこの芯が通った美しいカレーの仕上がりはスパイスの香りの力だけでは作ることができない。どうもスパイスの香りが作ってくれる美しさは着飾っているもののような気がする。カレー作りはスパイスの香り、食材の味、スパイスの香り、食材と重ねていって作ることが多いが最後に煮込むことで出てくる食材の旨味が現れてくると油が表面に浮いてくる。そしてカレーが美しくなる。
 香りを立たせた後に煮込むことによってカレーの芯が生まれる。これが旨味や出汁なのではないだろうか。カレーの骨格や芯を作ることによってスパイスの香りも食材の美味しさもより引き立ってくる。

 インド料理は重ねて作られることが多く、それゆえに香りや食材を纏わせるかのごとく料理していく。日本の料理は削られるように調理されていくことが多く、それゆえに出汁や旨味が際立ってくる。この「芯」と「飾り」がうまく調和した時に本当に美しいカレーが誕生するのではないだろうか。

 ちょっと前からスパイスビーガンラーメン作りにはまっている。スパイスの方に意識が行き過ぎるとカレーになってしまう。旨味や出汁の方ばっかりに意識がいってしまうとポタージュやスープっぽくなってしまう。肉や魚など動物性のものに頼らずに美しいラーメンに仕上げるとしたらなおさら出汁の「芯」や「骨格」が大事になってくるし、「香り」のスパイスが大事になってくる。そこで登場するのが日本の味噌や麹などの発酵調味料が大活躍する。

 発酵調味料とスパイスの組み合わせがうまくいった時、最高に美味しいスパイスビーガンラーメンが作れた時、新たな「美しい料理」が誕生するのかもしれない。

 これからも料理の体幹作りとおしゃれ作りを両立していこう。

#山崎杉夫 #バラッツ #アナンスパイス #カレー #スパイスビーガンラーメン #辰年

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