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『死の天使の光輪』

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初の短編小説。青年はささやかな物書きであった。彼は物語を書くために、ある廃墟へ赴く。
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#完結

『死の天使の光輪』終章

『死の天使の光輪』終章

「よぉ兄ちゃん。あの少女に会ったんだろ?」
 青年が町の宿に戻ると、宿屋の店主が話しかけてきた。何故この店主は、青年が少女と会ったことを知っているのか。不思議に思いながらも返事を返した。
「ケイラのことですよね。会いましたよ」
「だろうな、コートの裾が切れてるぜ」
「え?」
 コートの裾を見ると、まるで切り刻んだかのような切れ目が残っていた。店主が話を続ける。
「あの黒服の少女はな、死神なんだよ。

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