ワースト添加物 中戸川貢 著 Amazonブックレビュー

メディアが報道しない食の問題に食品添加物がある。国は安全基準を設けているから大丈夫だという識者もいるが、日本は諸外国に比べて基準が甘く、消費者よりも産業優先という国策なので、添加物は危険だというのが食の安全界の常識となってしまっている。

本書は、自称添加物オタクの著者の初の単行本になる。
本書は、添加物の害を、無害化のために大量のミネラルや酵素の消費が必要になることと「定義」し、逆に言えば、添加物を摂ったとしても、他でたくさんミネラルや酵素を補えば良いという考えが貫かれていて、非常に筋が通った内容となっている。もちろん人工物である食品添加物の将来にわたる影響、長期間の毒性も考慮しなければいけないと思うが、因果関係が明らかな「毒性」としてミネラル不足を引き起こすという視点は非常に非常に重要だ。

著者自身も、食の安全基金で、実際に市販の食品や外食の分析をし、ほとんどのものでミネラルが基準に達していないことを証明していて、日本人はカロリーではなく、ミネラルという点で栄養失調(新型栄養失調)であることを暴いている。

そんな添加物に特化した本書だが、もう一つ重要な点は、写真中心にはなるが、具体的な商品を挙げて解説している点だ。食品産業は出版業界にも大きな影響を及ぼしていて、なかなか具体的な商品などを挙げて解説している本が少ない。一消費者としては、だいたいの傾向を覚えるまでは、具体的な商品を言ってもらわないとわからないという方も多いだろう。

かつて「食べるな危険」という添加物暴露の本がベストセラーになったが、とにかく危険を煽るという姿勢と、特定のメーカー、商品だけを取り上げるという不公平感から批判も多かった。この本は、危険を煽るのではなく、家族の中で添加物否定派と気にしない派がいたとしても、折り合えるような判断基準を作るため書いたと言っているように、読んでいて危険を煽られるような切迫感は少なく、むしろユーモアも効いていて楽しく読める。そしてメーカーも特定のところを叩くのではなく、非常に公平感があり、マクドナルドからオーサワ、ムソーまで公平な視点から語っていて好感度が持てる。

健康食品と言われているものでも添加物が使われていることは多い。そういったところまで踏み込んでソリューション(解決策)を提示しているのも本書の特徴だ。

本来なら、自分たちで作物を作り、漬物も加工品まで自家製なのが理想だが、そこまでできる人がどれだけいるか? 日々忙しい中、外食もコンビニ食も避けられない。そんな中で、本書はどう選んでいけばいいかがよくわかり、非常に使える。

本書の中でも「買い物は投票」と言っているように、ベストではなく、ベターを選択していく姿勢を日常化していけば、自然と前述のような自給自足的な生活になっていくものと思われる。


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