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【ドラマ感想】ソロ活女子のススメ

誰に遠慮することなく、好きな時に、好きな場所で味わう、ひとりの贅沢時間。おひとりさまの気楽さ・自由さを堪能、「孤独のグルメ」に続く独身貴族応援ドラマ!…かというと、そうでもない。

仕事は非正規、資産やずば抜けたスキルがあるわけでもない、ごく普通のアラフォー女性。ソロ活予定日は早々に仕事を切り上げ、誰とも群れず、慌てず騒がず、大人の学び直しならぬ大人の体験し直しミッションを遂行していく。焼肉、リムジン、動物園、水族館、プラネタリウム…家族やカップル、グループの参加率が高いイベントに敢えてチャレンジ。1人でやりたいように、好きなように、自分のために心ゆくまでイベントを堪能する主人公、五月女恵。

決して根暗、コミュ障というわけではない。しかし各話進むごとに露わになってくるその繊細さ、人知れず傷ついた過去に、現代人の生きづらさと重なるものが見えてくる。上司や同僚に恵まれた職場で、五月女恵が時間をかけて自分を取り戻し成長していく静かなプロセスに、じんわりと癒される。

明るく爽やかなオープニングテーマから伝わってくる優しさが、一人で無理をして、つながれなくて、寂しくて、でも何かを平和に愛したくて、自分軸で関わり直したい、すべての人の背中を押してくれる。

笑えてリラックスできるので夜向きではあるが、オープニングの爽快感とエンディングのノスタルジック感は、朝をリフレッシュさせてくれる。このドラマの内省的で程よいしっとり感を味わうには、やはり一人で視聴するのがおススメ。視聴者側も、五月女恵と一緒にソロ活気分。


個人的には、バーベキューとボーリングの回が一番心に響いた。「永遠に生肉…」の危機的状況から、勇気を振り絞って他のグループに助けを求めた過去。バーベキューの回はそのリベンジだったわけだが、ほぼ最終回といっても良いのではと思えるほど、五月女恵の成長ぶりと心の豊かさが表れていて、泣けてしまった。ボーリングは、本来の意味での他人との協調、他者を想う気持ちが心の底から自然と芽生えるシーンで、涙が出る程共感。

テイストも内容も全く違うが、視聴後、ある意味「珈琲いかがでしょう」に近い大人の苦みと清涼感を感じる。根底にあるのは人とのつながり、自分とのつながり直しだ。長年無理をしてその身をもって限界を感じた経験があるからこそ、やり方が間違っていたことに気づき、ぐるりと一周して自分自身と他人を大事にする境地に戻ってくる。

迎合でも同情でもなく、人を想う気持ちが自然と湧き出てくる頃には、いつの間にか感じ方も心もぐっと楽になっていることに気づく。それは成長であり、開放感でもあるが…決してゴールでも、スタートでもなく。人生で何度も行きつ戻りつする、味わい深い「いま」この瞬間の連続だ。

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公式HP:https://www.tv-tokyo.co.jp/solokatsu/

番組名:「ソロ活女子のススメ」(第12話)

オープニングテーマ:「Genius」(Sano ibuki)

エンディングテーマ:「Herge」(Homecomings)

※上記情報は公式HPから引用しています。

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