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パレード、パレード

8月29日のことですが、
まつもと市民芸術館TCアルププロジェクト2021
杉原邦生さん演出「パレード、パレード」が幕を閉じました。
TCアルプはこれまでに、主宰の串田さん以外に、白井晃さん、木内宏昌さん、小川絵梨子さん、森新太郎さん、など様々な演出家の方々と作品を作ってきました。今回は一番世代の近い杉原邦生さんをお招きして演出をお願いしました。
タデウシュ・カントールというポーランドの演出家・美術家などたくさんの肩書きを持つ彼の「死の教室」という作品をモチーフに、演出の杉原さんが新しく台本を書き、「パレード、パレード」というタイトルで上演しました。
原作の「死の教室」のタイトル通り、流れている通低音は「死」でした。
前回の記事を書かせていただいたのが、8月の頭で、そのころは稽古がまだ始まったばかり。台本も全体の20%ほどしかできていない状態だったので、ちょうどこの1ヶ月で作品作りと、本番を終えたことになります。
2021年の夏は「死」のことを考えながら、あっという間に過ぎていきました。

昨年8月のオーディションも、今年5月のWSでも扱った「死」というテーマ。
人間何が平等かというと、誰しも最後には逃れられない「死」が待っているということ。ペストが猛威を振るった時に生まれた言葉「メメント・モリ」のように、「死」というテーマにはある魅力があって、これまでも様々な演劇、小説、絵画など、多くの表現で描かれてきました。

台本を書くための素材出しのためのWSを5月に行った際、
普段、仲間内で「死」について真剣に話すことはないので、それぞれの考えが聞けて興味深かったです。
例えば、死を怖いと思うか。
じゃあ、何が怖いのか。
「死そのものよりも、自分がその時点で終わってしまって、その後に流れる膨大な時間、無の時間が怖い。」
「それよりも、いつか死ぬという事実を生きてる間に考えることが怖い。」
など、死の恐怖も人によって感じ方はそれぞれで、
普段のその人の印象と「死」についての考え方は全く違ったりして、それだけ「死」について日常では話さないのだという驚きがありました。

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自分の棺桶を段ボールで作って、稽古場内に運び入れその空間のどこかで棺桶に入って死んでみる、というワークも面白かったです。
自分の死を発表してみる。正解も不正解もなく、投げやりに潔く棺桶に入っていくもの、足を棺桶に踏み入れた瞬間に恐怖に支配され号泣するもの、静かに形式的に棺桶に入っていくもの。様々な死を覗き見ることができました。
死は誰も経験したことがなく、まだ誰も知らないもの。
そして死を経験した瞬間には死んでいるのだから人には絶対話せない。
この安全な日本では、自分の死についてそうそう考えることはありません。
でもそれは確実に自分の歩く道の先にあって、どんな形であっても受け入れざるを得ないんだな、ということを当たり前ながら、再認識しました。

また、自分自身の「死」と、例えば残された人の「死」ということも少し違う。
お葬式や、祈りの儀式など、死んだその人のためだけではなく、死を受け入れる側のための行為でもあったり、自分の経験を含めてたくさん考えた夏でした。

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本番ではそれはそれは素敵な角銅真実さん率いる「楽団カクトール」の方々が、生演奏で芝居を支えてくださり、ゼペット/福田秋生さんの人形があり、邦生さんの美術があり、総合芸術に相応しい演劇という時間でした。
お客様の感想は、「死」のテーマを単純におもしろがってくださった方や、死ぬまでにどう生きるかを考える「生」の部分を感じてくださった方、カントールの「死の教室」との違いをポイントに観てくださった方など、様々な感想が聞けてよかったです。

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さて、この「パレード、パレード」が終わり、
松本は初めての演劇祭【FESTA松本】に向かって動き始めています。
HPはこちら↓↓

音楽ライブやダンス公演、シンポジウムまで合わせると、作品数は20本近く。
どれもこれも魅力的なものばかりです。

僕は「そよ風と魔女たちとマクベスと」「俺たちの夏の夜の夢」「A Walk in the Woods〜森を歩いて〜」の3本に出演いたします。
それから 【FESTA松本】YouTubeチャンネルの動画撮影編集もやってます。

FESTA松本について色々な動画がアップされてますので、ぜひチャンネル登録してください♪
宜しくお願いします。
来月はこのFESTA松本についてのお話をメインに書きたいと思います。

近藤隼



近藤隼の記事はこちらから。
https://note.com/beyond_it_all/m/m469a63ef1392


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