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制約としてのゲームモデル

前回からの続きです。だいぶ長くなってきました。
こういうの考えるのって楽しいですよねえ。答えのない問題に挑み続けるのって。。理学療法とかトレーニング指導とか、西洋的な考え方だからなのか、患者さんも選手も◯◯のためにはこれって明確な答えがないと不安になったり、明確な答えを提示できない人を下に見る傾向があるのが人が多い気がするんですよね。。トップチームを指導しているコーチが必ず優れているわけでもないし、トップ選手が優れたコーチというわけでもない。優れてるコーチが必ず勝てるチームを作れるわけでもない。とまぁ。。。愚痴っぽいコメントからですいません。では続きへ。

ゲームモデルについては、別の記事でも書いたような気がする。。。が簡単に説明すると、攻撃、守備、クリア&ライド(ポジティブ&ネガティブトランジション)の各フェイズにおいて、、プレイヤーの機能性を高めるためにコーチが提示してるプレイの優先順です。
要するにチーム全体での抽象度の高いプレイの優先順に表みたいなものです。これらはある種の『制約や目標やタスク』としてエコロジカルアプローチでは位置づけています。それに向かって全員で動きましょうというものです。

例えばDFの場面
ラクロスでいえば、ホットとフォローを置いてカバーリングするシステムを採用しているところが多いと思います。
従来のアプローチでは◯◯にボールがあるときは、AがホットでBがフォローで、立ち位置はこのあたりで、、、、ホットマークがこっち動いたらたらDがケアして、、みたいなモノです。。外から見るコーチは把握できるのですが、中の選手は大混乱状態なことが多い。コーチの視点と選手の視点では見ている世界が違うことは別の記事でも書きました。そして、選手とコーチで意見違いがうまれ信頼関係を失っていく。。あるあるです。では、制約的ゲームモデルではどうするか

例えば、2つの制約を与えます。
1.ホットは1人用意し、ボールマンのDFのカバーができるように準備する。
2.他のDFは隣り合った人のカバーできるようする。そのときに自分のマークしている選手にボールが入りそうな場合はファーストDFとして対応できるように動く。

あくまでも『例題』です。これらを達成するために選手は動いてくれるはずです。動けていないのあれば、コーチ側のタスクの調整ミスであったり、環境の設定のミスがあるからでしょう。決して『選手の能力』の問題ではありません。
選手がタスクに対しての解決策を探索し続けるための大枠こそがゲームモデル
です。そして、その解決策は多種多様でであり、探索の仕方もまた自由であるべきなのです。

それが環境適応や修正力と言われるもっと重要なSkillを出す、Skillを作るというSkillになっていく。

そしてこのチームコーディネションを自己組織化させていくためにはいくつかポイントがある。

1.グローカル(双方向性のチーム作り)
グローカルとは、グローバル(チーム全体)とローカル(2〜4人の少人数単位)を組み合わえた造語です。つまり、グローバルとローカルの双方向性だということです。つまり、ゲームモデルを制約として組み入れつつ、少人数でスモールゲームを行う。もちろん、ゲームモデルだけでなく、その他の制約も加えても良い。コートサイズ、ゴールサイズや位置、ボールを変えてみるなど。例えば、テニスボールにしたら普段は躊躇いがちなシュートも力強く打つかもしれません。また、少人数で行うことで誘発頻度も増やせる。ローカルなパターンからより大きなユニットが形成され、やがてグローバルなコーディネイションが形成されます。これはローカルからグローバルですが、グローバルからローカルもあり得ることを忘れてはいけません。

2.適切な制約レベル
グローバルになるほどその制約は抽象的になりすぎるし、ローカルになるほどその制約を具体的にしすぎる傾向が強いことがよくあります。例えば、ボールを奪いつつ、1点でも多くとる。とかだと抽象度が高すぎて制約としては不十分になってしまいます。逆に、ポジショニングを正確に取りましょう。だと個人の内的なフォーカスになりすぎています。カットインや1−1を積極的にかけましょう。でも同様です。

では、フォーメイションを規定するのはどうでしょうか。これはケースバイケースになってしまうので難しいところですが。

例えば、小学生のサッカーのように群がってしまうようであれば、お互いの距離感や関係性を学ぶためにフォーメイションは有効な制約でしょう。
しかし、あり程度のレベルになるとフォーメイションは自由な発想を阻害してしまう。むしろ、お互いの関係性を理解しているのであれば相手に合わえって変形していくことを学ぶほうがよい効果的でしょう。

これはラクロスでも同じことが言えます。ランダム過ぎるがゆえに学習できない。そしてその学習の仕方が伝統的なアプローチが多い。フォーメイションを使うことで得られるアフォーダンスを学べるように環境を設定することが重要なのです。フォーメイションを使うことによる選手間の距離の使い方、味方との位置関係、相手DFとの関係、これに気がつけるかどうかが、重要なのです。
まぁ。。。選手が感覚的に理解していればそれでも良いのですが指導者としては言語化できて再現性が出せなければ、チームが変わったときや合同チームで苦労することになるでしょう。それは選手とて同じです。

3.モデルからプロセスへ

個人においても様々な環境や制約に適応していく、その中で能力を活かしていくことが重要でした。チームコーディネションでも同じです。様々なゲームモデルを設定し、適応していく。変化に柔軟に適応できることがチームパフォーマンスを向上さえる鍵になるのです。ラクロスってすばらしい。武者っという文化が今でも残っている。。コロナ以降いやらない人やチームも多いですが、やったほうが絶対いい。

少し前はサッカーだと岡田日本代表監督時代からでしょうか。ゲームモデルが主流となっていました。チームで定めたモデルに選手が適応していく。そして旧来のスポーツではチームが勝つことが最終ゴールでした。プロのチームでも高校のチームでも自分たちが所属するチームで、チームが勝つことが最終ゴールだった。その結果、悲惨な状況を作ってしまったことも事実です。勝利至上主義と揶揄されることも多々あります。

しかし、今は変わってきました。その考え方はもう古い。選手は己の価値をより向上させ次のチームへと移り、さらに進化する。つまり、1つのチームで終わることが終わりではなく、多くのチームを渡り歩きつつ自身の才能を発揮できる選手が生き残る時代となった。

そして、プロのコーチも高校生や大学生を指導するコーチもまた、選手のその後を考えて、柔軟対応力を身に着けられるように指導する必要がでてきたのではないでしょうか。多くのラクロッサーが大学でラクロスを引退します。チームが変わったら通用しない。より進化を目指していく選手を育成できない。これがラクロスに関わるコーチ陣の最大の課題な気がします。

いつもありがとうございます。もう少しで終わりです。
ラクロスのコーチをしていますが、常に新しい場所を探しています。男子ラクロスでも女子ラクロスでもエコロジカルアプローチに興味があったら声がをかけてください。でわまた。。


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