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スキルは教えられるのか?

3回目のエコロジカルアプローチについての記事です。
うちのチームは来月から一か月のテスト休み&長期休暇に入るそうです。夏休みオフと年末年始オフを入れると年間で累計2か月のオフになる。入れ替え戦のチャレンジするチームとして長いのか短いのか。自分たちよりも強いチームを追い抜くのに練習量として足りないのか、足りているのか。練習メニューや質を上げればなんとかなるものなのか。。。ある程度のレベルになるまでは練習の絶対量がモノいうというのは暴論なのでしょうか。。
さて、、続きにいきましょう。

スキルは教えられるのか?

スキルの習得には個人差があります。個人制約もたくさんあります。動きの特徴も様々です。人間の運動システムは複雑系です。脳、筋肉、末梢神経、関節、などこれらを見極めて指導できるのか。。。ほぼ不可能だと思う人がほとんどのはず。

サッカーの場合、よく芸術的なスキルやプレイを目にすることがあります。これからはたして「教わったもの」でしょうか。おそらく違うでしょう。環境や状況の中で実行可能で機能的な動きを全自動でアウトプットした結果だろう。その自己組織化(環境や状況に合わせて最適な連携と身体操作を作ること)を獲得するアプローチが制約主導アプローチになります。

余談ですが、『環境や状況に合わせて実行可能な機能的な運動』は『脳』でデザインされるものです。そのときに『身体機能』として必要な関節の可動域やクイックネス、バランス能力、身体操作の感覚、などが備わっていないと『脳』がデザインしてくれません。。そうならないためにも、フィジカル面のトレーニングは重要ですし、そのやり方も工夫が必要です。(もちろん怪我の予防でも。)そして、『評価』は常に試合であるべきです。定数による評価、つまり、単純な30m走のタイムやヨーヨーテストのタイムでは評価としては不十分だということです。まぁモチベーションや怪我のリスク管理としてのデータとしては役に立つと思いますが、競技力の向上には疑問が残ります。

話を戻します。

では、選手に何をすればよいのか。エコロジカルアプローチではスキル(テクニックや動き方)を教えることが現実的ではない。私たちコーチやトレーナーは、運動課題の解決方法を教える存在ではありません。運動課題を設定する存在であれば良い

かつての伝統的アプローチでは
動作パターンやエリート選手の運動モデルを模倣するもしくは、させることがほとんどでした。繰り返して再現性を高くすることが最短距離だと思いこんでいた。個人的にはある意味間違っていないと思う、ただし自分なりに合わせていくことができれば。。。。

これに対して制約主導アプローチ
エコロジカルアプローチやディファレンスラーニングアプローチではまったく違います。こういった『ターゲットムーブメントは存在しない』と言っています。むしろ、トップレベルの選手ほど『その動きにムラ』があるそうです。

ムラの動きとは、、

ムラのある動きは悪なのか。。。悪とも言い切れない。例えばバスケのフリースロー。あの動きは試合でも他社から妨害されることがないクローズドな行為です。素人目に見ると毎回が寸分たがわぬ同じ動きに見えます。しかし、実際には違います。なぜか、選手自身の状態(疲労とかメンタルとか)その他にも環境(時間帯、点差、気温)など、オートマチックに脳が処理していますが、出力されている行為は常に違います。環境にあわせている。

そうきくと反復練習に意味はないのか?。。。となってしまいます。例えば、ラクロスでいうと単純なシュート練習や壁当て、フットワークと言うなのサイドステップやストップ・アンド・ゴーを対人で行わないといった対人で行わないメニュー、その他にも、ラインパスキャやスクウェアパスといったメニュー。

決してそういうことを意味しいるわけではありません。ただ意味もなく反復するのは意味がないということです。例えば、100発100中でフリースローを決めることができる人のフォームは瓜二つのレベルまで模倣できても、100発100中にはならないということです。


反復練習とは『内的にも外的にも目標達成のために身体を最適応化させるための練習』として行うならば意味があるということです。これがパフォーマンスを安定させるということです。

その際に適応化を促すには反復する中で制約を設けて、変化をつけて行うことで、あえてバラツキの中で行う。1つの目標や目的を達成するために異なった運動課題(ディファレントソリューション)で行う。これが制限主導アプローチです。

言い換えるならば、『どうせ毎回違うなら修正するスキルを磨いた方が良い』ともいえるでしょう。それが運動制御感を養い、異なる運動課題に柔軟に対応できるようになるとうことです。

この動作の変動性の中には、パフォーマンスの安定に貢献するものがあり、これを『機能的バリアビリティ』と読んでいます。

スキルを身につけるには、適応させていく能力が必要なのはわかりました。そして、環境に合わせるためにはインプットである『知覚』が重要となります。次回、知覚、認知、運動について書きたいと思います。

スポーツは頭を使うとは良く言ったものですが、やはり『脳』に対するアプローチがいよいよ問われるフェイズになった感じですね。

今回も読んでいただきありがとうございます。

私は現在もコーチとして活動しておりますが、新しいつながりを常に探しています。興味があるチームや学生さん、練習メニューについて相談してみたい人いましたら気軽にお声がけ下さい。また、いつになるかわかりませんがコーチコミュニティーとかも作ってみたいと思っています。でわ、また。。


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