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ラクロスにおける選手の『観る』とは何か

こんにちわ。エコロジカルアプローチに長く触れてきました。周りのコーチの方々と話をしていく中でとある話題がよく出てきます。『動き方の指導』が難しい。これってなぜ起こるのか。その辺について書いていきたいと思います。

選手側に起こっていること

最終的にはコーチの指導が悪いという点になってしまうのですが、多くの場合、選手が何をわかっていなくて、何ができていないのか?その2点をコーチ側が分析できない。なぜならば、多くのコーチはレベルの高いチームで『慣れ』で学んできたからです。おそらく、学生当時は教わったのかもしれません。しかし、そんなことはわりと忘れているか、聞いていない。
あるコーチがAチームに入った時にはすでに『それなり』のレベルでプレイができてしまったいる。5/10程度はできている。ほとんどのコーチは0.5/10みたいなチームを指導した経験がない。だから、『知らない』。一つひとつの定義も意味も。

まず、わかっていないことには以下の点が挙げられます。

1.どこを見たらいいのかわからない
2.どこにポジショニングを取っていいのかわからない。

エコロジカルアプローチでも書きましたが、すべての戦術は『知覚-判断-認実行』の順に行われます。その中で知覚でのミスが8割です。そして判断が1割で実行でのミスが1割といった感じです。ポジショニングについてはまた別の機会に記事にできたらと思います。

しかし、多くの未熟なチームは『実行』のミスを指摘します。クレイドルミス、スローミス、キャッチミス。たしかに、下部チームほど目立つし、多くなる傾向は強く指摘したくなるのもわかります。しかし、それでは選手はうまくなりません。それはエコロジカルアプローチでも触れられています。コーチは選手が何を見たのか、何が見えたら次の動きが生み出されるのか?をフィードバックする必要がある。

では、知覚。
『観る』とはどういうことか。

観るの基準

選手が観るという行為を行うときは以下の3つが挙げられます。

1.自分がボールを持っていないとき
2.自分にボールが来るとき
3.自分がボールを持っているとき
4.顔は上がっているか(意識は観るに向けられているか)

1.自分がボールを持っていないときには、味方の位置、相手の位置、スペースの位置を確認する。この時にボールの位置は『観なくても見えている』といった感じです。

2.ボールが来るときには、自分のマークマンだけみる。もちろん、一瞬はパスをくれる人を見るでしょう。6割マークマン、4割パスをくれる人です。パス先は?と思う人もいるでしょうが、パス先はボールを持っていないときにすでに確認済みです。ここで大事なのはマークマンが何をしてくるのかを知覚しておくことです。突っ込んでくる?ずれている?どっちに流そうとしている?

3.自分がボールを持っているときはアドバンテージがある味方を観る。アドバンテージのある味方とは、3-3や2-2を組んでいる味方を観る。この時にタイミングが大事になるのです。余談ですが、タイミングが合わないという選手が多いのはボールを持っている人の状態を観れていないで、自分のタイミング動く選手か、もしく、ボール持っている選手がアドバンテージを持っている選手を見ていないケースです。
ボールを持っていない時点でどこにスペースがあるのかは確認図みです。あとは自分のマークマンと組んでいる味方が見れれば判断→実行です。

4.意識は『観る』に向けられているか?これもラクロスあるあるです。未熟なチームほどクレイドルやキャッチに意識が向きすぎる傾向にあります。結果的に『観る』ができない。これはジレンマとしてあることですが、『観よう』とすればするほど、ミスが発生し、『観れなくなる』。下部チームあるあるですが、選手もコーチもこういったクレイドルミスやキャッチミスを嫌います。そして、『丁寧に』と指摘する。気持ちはわかるのですが、選手のためになるフィードバックといえるでしょうか。。

上記に記載されているのは『誰を』『いつ』『どこを』の3点です。もう一つ大事なことがあります。それが『何を』です。そう、ノンバーバルコミュニケーションです。過去の記事でも書いたのですが、この『ノンバーバルコミュニケーション』非常に重要です。

ラクロスのノンバーバルコミュニケーション

多くのスポーツチームあるあるだと思いますが、『声だそう』『コミュニケーションをとろう』という声かけです。プレイ中のコミュニケーションとはなんですか?と具体的にしてほしいものです。細かいことは別の記事で別の機会に。。
ラクロスにおけるノンバーバルコミュニケーションとは、『指差し』『右or左でクロスを持っている』『駆け込むスピード』『構えている位置』『リアクションの仕方』などが挙げられます。レベルが上がれば上がるほど重要になってきます。もちろん、正確に近いポジショニングや体の向き、進行方向へのベクトルなどもノンバーバルに含まれます。

こういったことを『意識的に観る』なんて無理でしょう。と思う人もいるでしょう。もちろん、すぐにはできません。だから、練習するわけです。これは個人的な考え方ですが、ラクロスの練習において、3-3と2-2とかカナディアンとか、クリアーライド、〇〇グラボーとか、いろいろな名前のついているメニューがたくさんあります。すべては本質的に『観る練習』です。環境設定(制約)が違うだけです。環境設定を変えることで観えるものが変わる→引き出されるスキルが変わる→反復することで引き出しが増えて、定着していく。

〇〇は見えていた?見えていたらな、次はなにをしたらよかった?
見えなかった?意識してみるではなくて、具体的に何を変えたら観えるようになる?実は大事な『何を変える?』という言葉。。『どうやる?』と問うと『意識する』とか答える学生がマジで多い。大事なのは行動を変えてそこから得られるアフォーダンス大事。。

事細かに『教えようとする』からコーチングも難しくなるし、学生もわからない。わかるはずの景色を見せる。わかるはずの景色に導くこと。それがスポーツのコーチのコーチングだと思うのです。

以上になります。今日も読んでいただきありがとうございます。いつでも新しいコーチ先を探しています。

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