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モルト以外の原料について【ビール用語辞典】こんなものも入れている⁉ クラフトビールがより楽しくなるコアな知識

ビールの副原料について

まず、ビールをつくるうえで必要なものは
水・麦芽・ホップ・酵母
麦芽については過去記事にて解説しております。よろしければご参照下さい。


それぞれ、使うものの量や組み合わせで相当なバリエーションになりますが、副原料を加えることでさらなる個性を生み出すことができます!
モルトの購入はこちら!!!

ビール造りに使われる主な材料はこちら!

・麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でん粉、糖類または一定の苦味料もしくは着色料
・果実(果実を乾燥させたもの・煮つめたもの・濃縮果汁なども含む)
・コリアンダー または その種
・香辛料(こしょう、シナモン、クローブ、山椒など)
・ハーブ(カモミール、セージ、バジル、レモングラスなど)
・花
・茶
・野菜(かんしょ・かぼちゃなど)
・そば、ごま
・コーヒー、ココア もしくはこれらの調製品
・蜂蜜その他の含糖質物、食塩、みそ
・かき、こんぶ、わかめ、かつお節

穀物は麦芽と比べて、タンパク質などの窒素化合物が少ないため、すっきりとしたキレの良い味になり、風味や色合いを加えます。
泡立ちを安定させる働きもあったりするんですよ!

果物・スパイス・ハーブetcは主にビールに香りを加えてくれます。
牡蠣とか昆布とか、結構いろいろ有りなんです!!

クラフトビール醸造でよく使われる材料

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・米
麦芽のでんぷん質を補い、たんぱく質とのバランスを調整することで、ビールの風味とボディを軽くしてくます。味をすっきりさせる役割があり、香味を調整する役割も果たしています。米を配合したことで、スッキリと喉ごしがよくキレのある辛口のビールに仕上がります。
ただし、米を使ってビールを作る場合は米を”α化”、つまりは1度炊いてから使用する必要があります。生米状態のお米のデンプンは”βデンプン”といい、この状態ではモルトの糖化酵素が分解できません。そこでお米を炊くことで米のデンプンがα化、糖化酵素が米のデンプンを分解し、麦汁に溶け込んでいくのです。

・フレークウィート
モルト化していない小麦を、焙煎せずに淡色のまま加熱処理したものです。小麦由来の酸味や香りをビールに付加。そしてタンパクによりビールを白く濁らせます。フレークウィートにはプロリンというポリフェノールと結合しやすいタンパク質が豊富なため、フレークウィートとホップをたくさん使ったビールは濁りやすくなります。したがってHazyIPAを作りたいときによく使われます。

・フレークオーツ
適量加えることでオーツ麦特有のまったりとした口当たり(濃密さ、とろみ)を付加でき、より飲みやすいビールに仕上げることができます。
オート麦を焙煎せずに淡色のまま加熱処理したものです。有名なものではオーツスタウト、最近ではIPAやWeizenなどいろいろなスタイルに使われてます。

『フレーク』って??
穀物の穀皮・ぬか・胚珠を取り除き、蒸気で湿らせてローラーでフレーク状に固めたものです。湿った穀物を高温高圧のローラーで潰すとかなりの温度になり、その時の熱のおかげで潰された穀物は一瞬にしてゼラチン化します。それがそのまま副原料として使用可能になります。フレークにしたものは吸水性が高くなる。加えて酵素も入りやすくなるので分解がより進むのです。マッシングが終わった後のモルト粕を見ると、溶けてしまって形を確認するのが難しいです。

・ラクトース(乳糖)
牛乳などの乳製品から取れる糖分です。
ラクトースはほかの糖よりも構造が大きく、イーストは分解できません。そのため、ビールに糖が残るので、ビールに甘味を与えてくれます。強い甘味ではないのでたっぷり入れればまるでシェイクのように!乳糖不耐症の人はお腹が痛くなったりするので注意!!

・レアシュガー(希少糖)

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少し聞き馴染みがない名前かもしれませんが、こちらもクラフトビール業界では少し話題になっている材料です。名前のとおりで自然界に存在量が少ない単糖及びその誘導体です。ガムや歯みがき粉に使われるキシリトールもレアシュガーに含まれています。すっきりとした甘味で酵母に資化されないのが特徴です。ビール造りに加えても、発酵の際に消費されずに残るので、甘味・コクが出ます。フルーツビールには自然な甘味が残ることによりジューシーに、IPAにはコクと甘味が苦味を際立たせてくれます。スタウトやホワイトビールにも同様の効果で応用できます。

可能性は無限大⁉さらに個性を出すためにこんなものも…

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日本ではひのきを入れて香りづけをしたものもありますが、
イタリア(ル・バラダン醸造所)ではタバコの入ったビール。
デンマーク(イーブル・ツイン)ではノルウェー(ラーヴィグ)と組んでハムとピーマンの冷凍ピザと本物の紙幣を使用した17.5%のビールを作ったそう…
想像力豊かですねぇ…

ただし条件があって

日本の酒税法では…
・麦芽を50パーセント以上
・副原料は決められたもの、かつ麦芽の量の5パーセント以下
という条件の中で作られたものはビールとして販売されます。
先程の、「ビール造りに使われる主な材料はこちら!」のところに掲載されているもの、かつ使用量を守っていればビールです。

そして、条件を満たしていないもの
・麦芽使用比率が50パーセント未満のもの
・副原料の使っている量が多い
・決められたもの以外の副原料を使っている
は発泡酒となります。
麦芽以外に米やらトウモロコシをいっぱい入れて作った、
果物感を強く出したくて制限の量以上入れた、
冒険心で入れた材料が決められたもの以外のものだったとか…
そうなると、日本の決まりでは発泡酒。

海外から入ってきたビールも日本では発泡酒に変わってしまうかも…
まあ、美味しく飲めればどちらでもいいと僕は思うのですけどw
図で表すとこんな感じです。

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副原料を使うことで、地域活性化に繋がる。

地域ごとにある様々な特産物。
その材料を使用したビールの開発することで、地域をアピールするアイテムの1つにもなります。
果物はもちろん、味噌やオリーブ、お茶、わさびもビールに!
ふるさと納税のお礼品で特産物を使ったビールもたくさん。
ありすぎて選ぶのも大変…各ブルワリーの商品説明を見てみると、こんなものもビールに使うんだ!という気づきもあるかも。
市川市の「ありのみブルワリー」では地元市川産のビーツを使ったピンク色のIPAを作っていたりしています。

他にもコロナ禍で余ってしまった食材がビールになることも。
北海道では廃棄になりそうな小豆をビールにしたそうです。
農家の方が苦労して育ててきたものが廃棄されてしまうのは悲しいこと。
ですが、そこに協力出来る人が繋がれば解決できる術も探すことができる。
ただ、捨ててしまうよりも協力しあえばよいことが生まれる。
地域の人たちとブルワー(醸造家)の想いがビールを介していろいろなところに広がっていくなんて…素晴らしい飲み物ですね、ビールって!!

次回は”イースト=酵母”について!!

モルトの次は麦汁をビールに変える酵母についてです!
酵母の世界ってすごく面白いんですよ!!

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