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終末じゃなくて 週末日記IX

朝、窓を開けたときの空気や湿度、匂いが春だなぁと、春ってうれしいけど、なんだか春って少しだけ、憂鬱になってしまうときがある。

金曜日の夜のはじまりとともに、地獄の門が開いた。WBCやチャンピオンズ・リーグが盛り上がる中、一方通行を逆走するみたいに、凹んでた。そんな感じで、創作が進むわけがなく、なんだよもう、この人生がやだよ。と口にしてみたけれど、それはなんの呪文にも、ならなくて、ヒトって凹むことも純粋にできないんだなと思った。だってさ、食べたりのんだり、そんな人間活動をしないとならないから。宇宙でいちばんすきなひとは、誰かの愛する人になっていた。もう触れることは、来世また、巡り逢えなければできないんだなと。紙ナプキンには、インクが滲むから忘れないでと……海を見ていた午後を聴きながら、一点見つめしたり、もういや、春はいやだと、春のせいにしたりした、Saturday.

完徹して、身体は疲弊そのものなのに、脳内は沸いている不健康そのもの。朝一番から掃除、朝風呂と昭和感丸出し。すこしだけでいいから、太陽も私に心を寄せてくれないかなと言いたくなるくらい、鎌倉は快晴。凹むもういやだと思いながら。洗濯機を回さずにいられない、このややこしさ。窓を開けるたびに、音もなく新しい花が咲いている。龍之介がのそのそと接近してきた、だいぶ大きくなっていた。他に座る場所は、いくらでもあるのに、キッチンでマルニの椅子に座って、1日の大半を過ごした。夕暮れに森戸海岸に行った。いつ行っても、森戸海岸は、不思議な感覚がある。波の音は聞こえているのに、全てそこだけが、音のない世界、まるでパラレルワールドのような。少しだけでいいから、こっちの世界の住人になりたいなと思った。

なんとなく、せつない、ある春の週末、わたしにとっては少しだけ終末。

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