外れないピアス

あてもなく明け方まで車を運転した。最も正しくて、不真面目な車の活用方法だと思う。これまで数々の植物を、ことごとく枯らしてきたけれど毎日のように、花を咲かせているインフィニティローズなどに、ありがとうと伝えている私がいる。

チャイナドレスの浴衣で過ごしてる。いわゆる福耳で、ピアッサーで穴を開けるのが難しく、ニードルで去年開けた。ずっとファーストピアスで過ごしてきて、全て外したくなった。それなのにキャッチの部分が、全く回らなくて今朝も、途方に暮れていた。蝉の鳴き声は日に日に大きくなっていく。

フジロックの最終日、配信で菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールを観た。セットリストも私が好きな曲ばかりで、バカルディにも音にも酔いしれた。真昼の情事よりも、真昼前に出番の紳士的狂人菊地成孔の色気。the文系変態なのに、時折べらんめぇ調な話し方と声がたまらない。誰もが心奪われる完璧な容姿や、好感度満載な人よりも、独自の毒っ気を持つ人がいい。

氷が溶ける音が聞こえた。はじめて耳にした小さな音色だった。なんとなくピアスのストーン側に触れてみたら微かに回った。
サックスの音　それは聖と俗の音。

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