見出し画像

超インフレ時代、老後資金は2000万円では足りない?人生100年時代の資産形成

「ビジネスを通じて、子育て世代と子どもたちが希望を持てる社会をつくる。」という企業理念のもと、現在および将来にわたり、人々が「お金の心配なく」「自分らしく働ける」社会を目指す株式会社ベター・プレイス。医療、保育や介護など、人々の生命と社会生活を支える人たちの資産形成や福利厚生を支援するための「はぐくみ基金」の設立のほか、DXにより企業年金を刷新し、初心者の方でも手軽に老後の資産形成ができるような取り組みを行っています。

 今回は、金融および資産形成に詳しい、ベター・プレイス執行役員 カスタマーサクセス部ゼネラルマネージャー内谷尚子が「超インフレ時代の将来のマネープラン」について解説。後半はインタビュアーから、「インフレ時代に、老後にどう備えるべきなのか」について、伺います。私たちは老後に今の暮らしを維持できるのか?維持するためには何が必要なのか?資産形成以外に必要なこととは。ぜひ参考になさってください。

インフレ時代の今こそ、老後資産の見直しを

 デフレ経済が長く続いた中で、多くの方々が「モノの値段は安くなっていく」という感覚を持っていたのではないでしょうか。ところが、ここ最近では日用品のみならず電気代まで、待ったなしの値上げラッシュです。帝国データバンクの調査によれば、2023年の食品値上げ率は1回あたり約15%、100円のお菓子が約115円になるわけですね。食費が月額5万円と仮定した場合、単純計算すれば値上げ後の食費は57,500円になります。すべてが値上がりするわけではないにしろ、年間の支出が大幅増になるのは明らかです。その上、大企業を別にすれば、介護や保育業界、中小企業における賃金のアップ率は低く、実際には賃上げを行っていないところも少なくありません。

 はぐくみ基金の加入者の方々とお話をしていると「なんでもかんでも値上がりしているけど、賃金だけは横ばいで生活は苦しくなるばかり」とため息まじりの声がほとんどです。

 日々の営みが苦しいと、どうしても「目の前の生活」しか考えられなくなります。しかし、急激なインフレが起きている今だからこそ、将来的な資産形成を真剣に考えなくてはなりません。それにはまず、わたし達の将来と老後がどんなものであるかを認識する必要があります。

老後資金はもはや、年金と貯蓄のみに頼れない

 では、急激な少子化と人生100年時代といわれる長寿社会で、現役世代の負担はどう変化していくのかを説明しましょう。

 2025年には3人に1人は65歳以上になり、働く世代が少なくなって、国に入るお金は減ってしまいます。しかし高齢者を支えるお金は増えるわけですから、結果として現役世代の負担を増やすしかなくなるでしょう。

 次のグラフもご覧ください。

30年前はお給料の15%程度でしたが、今は20〜30%の税金や社会保険料が引かれ、将来はもっと負担が増えるかもしれません。同じだけの給料だったとしても、税金や社会保険料が増えれば手取り額は少なくなります。

 銀行に預けた100万円も、もしインフレが続き物価が2倍になったら、100万円は実質的には現在の50万円と同じ価値になってしまいます。インフレと共に金利も上がって預貯金が増え、給料も物価上昇以上に上がればいいのですが、そのような傾向は正直なところ期待できないのが現状です。

では将来、どのくらいの年金がもらえるのか、全て年金で賄えるのかについて、ご説明しましょう。

私たちの世代は、今、生活に必要なお金の100%を自分の収入でまかなえています。そして現在の年金生活をしている方々は約62%は年金でまかない、残りは自分たちがこれまで蓄えてきた資金などでまかなっている状況です。

所得代替率は、年金を受け取り始める時点における年金額が、現役世代の手取り収入額と比較してどれくらいの割合かを示すもの、と厚生労働省は解説しています。

つまり、この試算だと、2040年には現役時代の半分しか年金がもらえない。残り半分が毎月、自分の懐から出ていくわけですから、その分を準備しておかないと大変ですよ、という話です。

 わたし達は、苦しい今だからこそ「実はもっと苦しくなるかもしれない10年、20年後」を見据えて、お金と生活について考える時期がきています。こう書くと「お先真っ暗」に感じるかもしれませんが、逆に言えばしっかり将来の資産形成を行うことで不安を解消すれば、精神的余裕のある「今」を過ごすことができます。そして、やがて経済的余裕のある「安定した老後の暮らし」が叶うともいえます。

老後に今と同じ生活ができるのか?

ーー 後半は、インタビュワー(40代・子ども2人・つみたてNISA、iDeCoは行っている)が、金融に詳しい内谷さんに老後の資金対策について聞いていきたいと思います。

さきほど、インフレ時代だからこそ、老後資産の準備は貯蓄だけでは難しいというお話がありました。でも、「老後の資産が危ない」と言われ続けていても、実際に何も対策できていない人も多いと思います。

ベター・プレイスが先日行った調査では、「将来のお金に不安を感じている人は8割以上」であるにも関わらず、「7割以上の人が、つみたてNISAやiDeCoを利用しておらず、はじめようとも思っていない」という結果がでました。

では、第一歩を踏み出すためには、どうしたらいいのでしょうか。

内谷:これだけ世の中で話題になっていても、行動変容までいける人は少ないですよね。老後の具体的なイメージができていないことも、その理由だと思います。

例えば、旅行が趣味だとして、年に1回は旅行をして楽しんでいる人がいるとします。ある人は美味しいものを食べることが趣味で、週1回は外食を楽しんでいるかもしれません。では、老後に同じような生活ができるのか?と考えてみてください。

先ほど、老後必要なお金の何割を年金でまかなえるのか、という話をしました。2040年には現役時代の半分しか年金がもらえない。例えば、月35万円もらっている人が、老後は18万程度しかもらえないわけです。このお金だけで、旅行や外食を楽しむ生活が続けられるでしょうか?

確かに旅行も外食もしなくても生きていけますから、そこで「将来は暮らせなくなる」という強い危機感は感じないでしょう。でも、現状と同じ生活はもちろんできず、いろいろとあきらめなくてはならない老後の生活を想像してほしいのです。

ーー 具体的にイメージすると、だんだん危機感が増してきました。老後になって、楽しみを見いだせない生活はつらいですよね。でも、だからどう対策をしたらいいのか……。つみたてNISAやiDeCoも、口座開設の書類や商品選びなどがかなり面倒で、一歩を踏み出すまでに時間がかかりました。

内谷:そういう声は本当によく聞きます。例えば、私たちが導入支援をしている「はぐくみ基金」は、働いている職場が導入していれば、スマホで「はぐONE」という資産形成支援システムにログインし、掛け金を選ぶだけというシンプルなシステムです。とにかく資産形成における最初の一歩を踏み出してもらいたいと、簡単なものを提供しています。

毎月5,000円からでも、貯蓄以外の投資を始める

ーー「給料から天引きの財形貯蓄」をやっている人も多いと思います。それでは駄目ですか?

内谷:いい会社ほど、いい利息をつけてくれていると思いますから、やらないよりは絶対にやったほうがいいです。ただ、税も社会保険料も引いた後の給与から貯める形なので、企業年金やiDeCoよりはお得さに欠けます。

それでも、貯蓄以外のものをなんでもいいので、「できることから始める」ことが大切です。つみたてNISAでも、毎月5,000円からでいいので始めたほうがいいです。金額ではなくて、大事なのは「資産を形成する」アクションを起こすことです。その後、ステップアップできる人はすればいいのですから。

ーー 私の周りでは、30歳前後で35年ローンを組んで物件を購入している人が多いです。ローンが終わるのは75歳。そういう人はいつ老後資金を貯めるといいのでしょうか。

内谷:一部の人は退職金をあてにしていて、65歳時点で完済しようと思っているかもしれませんね。でも退職金をあてにしてしまったら、老後資金は足りなくなるわけですから、そのあたりをよく考える必要があります。また「自分の退職金がいくらなのか」をきっちり把握している人は、あまり多くないかもしれません。まず退職金がいくらあるのかを把握する必要がありますが、見える化されている企業は少ないです。「はぐくみ基金」は「はぐONE」でつみたてて残高を確認できる等、退職金の見える化にも一役かっています。

ーー 人生の中で「お金のこと」を考えるのは、保険に加入する時や住宅購入のためのローンを組む時くらいしかない気がします。

内谷:そこが日本における問題点なのかもしれません。今、子どもたちには「金融教育をしましょう」と盛んに言われていますが、30代以上の世代はそういう教育を受けていないので、子どもの方が逆に金融リテラシーが高いという逆転現象が起きている気がします。確定拠出年金(DC)がある企業勤務の場合は、投資教育を受ける機会がありますが、そうでない場合は教育機会に恵まれていないでしょう。終身雇用が長く続いてきたため、企業にお任せしておけば大丈夫という感覚がそのまま残っているのかもしれませんね。

しかしライフプラン全体を考えた資産形成は、自分や家族しかできないわけです。いま一度、「考える」「見直す」「一歩を踏み出す」ことが必要ですね。

国や会社任せでなく、老後資金を自分自身で設計する

ーー資産形成以外に、人生100年時代だからこそ必要なことはありますか?

内谷:資産形成というと、貯蓄や投資ばかりを考えがちですが、人生100年時代ということを考えると、資産を消費し続けるだけでなく、お金を稼ぎ続ける「長く働く」ことも大切です。それにはまず健康でいなくてはいけませんよね。そのための運動習慣や体力をつけておくことも大切でしょう。

少し前まではFIREといって、投資などで資金を作りアーリーリタイアメントすることもトレンドでした。でも今は変化していて、リスキリングもそうですが、学び直しをしながら自分のキャリアを長く保って、老後資金をより多く作る、あるいは資金を取り崩さずに維持することが、広がっています。

まずは老後は決してラクではない現実をしっかり把握した上で、急激に変化する時代を乗り切るために、自分のライフプランとお金について一度は腰を据えて向き合ってみてください。

終身雇用で退職金がもらえるのが当たり前な時代は終わりました。キャリアや働き方、そして長期的な資産形成についても、国や会社に任せるだけではなく、自分自身で設計していく必要があります。

これからの時代は、自分自身が資本であると考えましょう。健康やキャリアに投資することは、自分の資本を堅固なものにできます。またお金に関する知識を得ることも、自分という資本を守るためにも大事なことだと思います。

#資産形成 #中小企業 #年金 #老後資金 #年金制度 #企業年金 #老後のお金 #目指せプレイス #はぐくみ基金 #ベター・プレイス