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問い合わせ数約10倍増*。「はぐくみ企業年金」リブランディングプロジェクト全貌

2023年10月「はぐくみ企業年金」は、中小企業を含め全国各地で働くすべての人たちに企業年金制度を知ってもらい届けていくために、ロゴ・愛称を一新しリブランディングを行いました。愛称は「はぐくみ基金」から「はぐくみ企業年金」へ、ロゴマークも「ゆりかご」から、将来への安心と資産を積み立てることができる「積み木」をイメージしたものへと変更しました。

今回は、弊社代表取締役COO古市、担当の林と共に、リブランディングのディレクションを担ったアートディレクター大山よしたか氏による対談の様子をお届けします。
 
* 2022年10~12月、2023年10~12月のCV数を比較

(写真左から)代表取締役COO 古市、アートディレクター 大山よしたか氏、担当 林

金融商品としての安心感を強調し、企業年金をより多くの人へ


古市:「はぐくみ企業年金」は福祉業界からの「退職金制度を整えたい」という声を受けて立ち上がった企業年金です。ですから、やさしさや温かさを印象づけるロゴやメインビジュアルを採用していました。
 
数年前、Chatwork株式会社が「はぐくみ企業年金」を導入してくださったのですが、その時に山本社長から「ロゴやネーミングを変えれば、ITなども含め、さまざまな企業にも普及するのでは?」といったアドバイスをいただきました。確かに、ブランドイメージとしては福祉を前面に出していて、他の業種は対象としないような印象もあった。また自分自身、この事業に関わる前は「基金」=「企業年金」とリンクしておらず、「はぐくみ基金」と聞いて、企業年金をイメージできる人は少ないのではないかと思っていました。そこで、より幅広い業種の方々にも認知していただくために、企業ブランディングをリニューアルする必要性を感じたんです。

これまでのロゴは丸みを帯びた女性的な印象でした。実際に福祉業界では、女性の加入者が多かったので、当初のブランディングとしてはそれでよかったわけです。

しかしこれからは、男女問わず、業種も問わず、幅広く「はぐくみ企業年金」を印象づけたい。リブランディングで、新たな顧客の開拓が広がる可能性は高いと感じました。

そこで弊社顧問からご紹介いただいたのが、今回のプロジェクトをご一緒いただいた大山さんです。大山さんはロケットや潜水艦など工業系のデザインも行っていらっしゃる天才アートディレクターです。

大山:わたし自身はこれまで、企業年金のプロジェクトに携わったことはありませんでした。このプロジェクトで初めて企業年金について詳しく知った次第です。

「はぐくみ企業年金」のすぐれている点は、金融知識がそれほどない方や、富裕層ではないごく一般の方々、生活にそれほど余裕のない方にもやさしさをこめたサービスであることです。制度を知れば知るほど、純粋に、多くの企業に「はぐくみ企業年金」を導入していただきたいと思うようになりました。

ただ、実際にサイトなどを拝見して、福祉というイメージに寄りすぎている印象が強かった。さらに企業年金は、導入する法人にとって金融商品に近い位置づけです。優良な金融商品のイメージで認知してもらえるように変えていくことも必要ではないかとお話をしました。

古市: 「はぐくみ企業年金」を、福祉業界だけでなく、あらゆる業界の経営者の皆さんにも広く伝えたい。さらに大山さんの助言にもあった「優良な金融商品のような安心感」も強調したいと考えました。こうして大山さんが加わってくださったことで、リブランディングが本格的に始動しました。

議論の末、愛され続けた「はぐくみ」は残すことに


大山:
リブランディングプロジェクトでは、まず情報の整理から始めました。難題だったのは、ネーミングです。かつての「はぐくみ基金」という呼び名は、福祉業界に愛されてきました。「そもそも名前を変える必要があるのか」という点だけでも1年近く議論しました。個人的には、もっと大きな視点で捉えた名前でもいいのではと考えたのですが、立ち上げから積み上げてきた思いや愛着もわかりますし、落とし所が難しかった。いろいろと大変でしたね。

古市:そうですね、ネーミングとロゴが決まるまでは紆余曲折がありました。

実はネーミングも、いったんは企業年金をもっと身近に感じられるようにと「MY(マイ)企業年金」に決まったのです。ところが、社内のマーケターやディレクターから猛反対されました。「はぐくみ基金」という名前で何年もかけてSEOやリスティング対策をしてきたのに、ドメインがガラリと変わると、構築してきたものが無駄になってしまう。さらに、MY企業年金というネームでプロモーションを行なったとして「これって“はぐくみ基金”なの?“マイ企業年金”ってなに?」とお客様が感じる違和感を取り除くのは難しいのではないかと、反対されました。結局、プロジェクトは振り出しに戻りました。最終的に愛称として「はぐくみ企業年金」というネーミングに落ち着きました。

林: 確かに紆余曲折があって大変でしたが、社員それぞれの立場から活発な議論が行われて、それが反映されたこと自体、とても良かったと思いますね。いったんプロジェクトチームが決めたことでも、社員の意見を吸い上げて検討し直す、ベター・プレイスの風通しの良さがあらわれていると思います。

将来へ安心と資産の積み立てをイメージした「積み木」をモチーフに採用


大山:
リブランディングでは愛称の他に、メインビジュアル・ロゴ・キャッチコピーなども大幅にチェンジしました。

メインビジュアルは、福祉業界も大事にしているメッセージを残しつつ、スタイリッシュでおしゃれなイメージの方が全業界にフィットするのではないかと考え、作りました。

新しいロゴは、企業年金をしっかり積み立てていくことから「積み木」をイメージしたものです。積み木を自分の望む形に積み上げていくことができる、というメッセージをマーク化しています。デザインとしては少しだけ愛らしさもある方がよいと考え、この形になりました。

実際のご提案では20近いさまざまなアイデアを出して見てもらいましたよね。

古市:たくさんの候補作を出してもらいました。ところが、社内の意見がまとまらない。女性に好印象なのもあれば、僕がいいと思ったものと社長がいいと思ったのも違うし……。

結局、将来への安心と資産を積み立てることができる「積み木」というコンセプトが非常に良いというところで、プラス明るい未来を想像できるようなポップな印象を加えてもらって、今の形になりました。

林:大山さんに、たくさんのご提案をいただき、議論を重ねに重ね、多くの社員の意見を聞き取って決定しました。

営業担当者は経営者の方々と接していますし、CS(カスタマーサクセス)担当者は加入企業の管理者さんや従業員さんと接しています。どういったイメージが相手に響くだろうかと直感的に理解していますから、貴重な意見です。それに自分の好き嫌いもあるわけで、意見は割れましたが、社員みんなの知見が反映されて最終決定されたことは、とてもよかったと感じています。

実際にリブランディングされて、社内の評価も得られていますし、お客様からも、かわいい、スタイリッシュといったご感想をいただいて嬉しく思っています。

ロゴにしても、メインビジュアルにしても、誰かに嫌われるようなマイナス面がなく、万人に受け入れられるイメージを作り上げてくださった大山さんの圧倒的なクリエイティブ力のすごさを感じているところです。

大山:現実的に大変だったのは、スケジュールがタイトだったことです。プレスリリースも、サイトのリニューアルもすべて決まっていたので、とにかくその日までにタスクを処理しなくてはならないわけです。しかも、営業なら営業資料もすべて刷新しなくてはならない。現場の大変さは想像を超えるものだったと思います。

林:そうですね、4月くらいにネーミングやロゴなどが決定して、そこから業務としてすべてを変えるのに3ヶ月もありませんでした。

ウェブのチームが本当に頑張ってくれて、全員がタスクをこなしたのでなんとか間に合ったという感じですね。でも、おかげさまでリブランディング後の反応が素晴らしく、苦労が実りました。

古市:リブランディング前後に、YouTubeで取り上げていただいた影響もあり、1年前と比べて約10倍*ほどの問い合わせ数増加の効果がありました。
 
*2022年10~12月、2023年10~12月のCV数を比較

製造業・運輸業・建設業など、多業種からの問い合わせ増加

林:リブランディングから数ヶ月たって、かなり手応えを感じています。これまで導入が多くなかった、製造業や運輸業、建設業からの問い合わせや導入も非常に増えています。

一方で、IT企業だとか、2,000人を超えるような大手企業様からも、お問い合わせをいただくようにもなりました。この幅の広さが、リブランディングによる効果であって、それを2ヶ月で実感しています。

もうひとつ感じているのが、不安に関するお問い合わせや質問がかなり少なくなったことです。基金にはそもそも倒産という概念はないのですが、「つぶれたらどうなるんですか」と本当によく聞かれました。それがリブランディングしてからは、ほとんど聞かなくなりました。冒頭でお話があったように、やさしさだけでなく、信頼・安心がより強く主張されて、お客さまに届いているのではないでしょうか。

古市:やさしい人がやさしいままでいられる世界をつくるために、資産形成にあまり積極的でない、もしくは興味が薄い方々に、「はぐくみ企業年金」を届けたいという思いは変わっていません。そのためのファーストステップがリブランディングです。

ロゴやネーミングやウェブサイトというのは、いわば入口です。「これ、どうだろう」と関心を持っていただく、そのファーストステップが大事なわけです。

企業年金というキーワードを聞いたことがない人に、いろいろ難しいことを考えなくても、始めてみようかな、と興味を持っていただく。さらに資産形成についてステップアップして豊かな生活、豊かな老後まで、わたし達がサポートできたらと考えています。そのためにも、今回のリブランディングは非常に意義が深いものです。

リブランディングには終わりがない。ベター・プレイスのこれからに期待すること

大山:わたしがベター・プレイスに提案したいこと、期待することは3つあります。ひとつ目は、情報をユーザーに伝えるためにあらゆる媒体でやれることはやったほうがいいので、今後も「知ってもらう」取り組みを続けていくこと。さらにスピードアップできるような体制が作れるといいのではと思います。

もうひとつは、キービジュアルとかキー動画のような会社としてもっとも大事なところは、アップデートしていく必要があるということです。

そして3つ目は、DX化への期待です。今の時代、わかりやすさや使い勝手の良さは重要なポイントです。サービスの使い勝手の良さによって、日本にとって本当に必要なサービスになれる可能性を秘めていると思いますので、その進化に期待したいですね。

古市:おっしゃる通り、リブランディングには終わりがないと考えています。マーケットや時代のニーズ、トレンドに合わせて、われわれも常に変化を意識しなくてはならない、ずっと続くプロジェクトだと思っています。それからお話に出たDX化についても、さらなる使いやすさを求めて、進めているところです。

林: 今回のリブランディングによって、より多くの方々に「はぐくみ企業年金」を知っていただきたいと思っています。「はぐくみ企業年金」は、従業員が加入することで結果として法人にとってもメリットになるよう設計された制度です。「はぐくみ企業年金」の導入が、単なる「企業年金」としての役割だけでなく、法人が従業員の処遇や福利厚生を拡充できるよう、ベター・プレイスが法人ごとにフィットした使い方をご提案し続けたいと思っています。

さらに働く世代の方々が、もっともっと働きやすくなる未来を提供できるように、「はぐくみ企業年金」を大きく広げていけるようにしたいですね。

古市:リブランディングによって、本当に良い方向へ舵を切ることができました。それは大山さんとの出会いがあってこそ、です。出会いに感謝ですね。
 

<プロフィール>
大山よしたか(アートディレクター)
1981年愛知県生まれ。早稲田大学芸術学校インテリアコース卒業後、ロンドン芸術大学留学。カメラマン、雑誌や広告のデザイナーを経て電通のアートディレクターへ。数々の企業のブランディング、サービス設計、商品開発に関わる。日本初の有人宇宙飛行を目指すロケットベンチャーSPACE WALKERを設立後、投資とブランディングの会社BOLDを設立。数々の大手企業で顧問、CDOとして経営に関わりながら事業開発を進める。株式会社light 代表取締役でもあるほか、様々な企業の社外取締役、顧問を務めている。


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