見出し画像

アイデア段階のユーザーインタビュー実践 ・ 野菜宅配EC 「準備編」

今年の2月、デザイナーの私と、プロダクトマネージャーのMamiとTimmyの3人でコンパクトなチームを結成し、リーン開発手法で仮説検証サイクルを素早く行い、野菜宅配EC事業開発に取り組んでいました。

3週間かけて実施した最初のユーザーリサーチプロジェクトを紹介していきたいと思います。今回は、リサーチ実施までに、どのような準備を行ったかについて紹介します。

🥦目標設定

[1] 目標の考え方

アイデアアイディアの段階ではあるが、すでにプロダクトの方向性はかなり明確になっていました。サプライサイドも基本的に決まっていました。つまり、この新規事業は、最初から「ソリューション」があったのです。このソリューションは、きっと多くの人が抱えている課題多くの人のある課題を解決できると、私たちは思い込んでいました。

具体的には、野菜の宅配に興味があっても、現在のサービスでは価格が高いために利用できない人がたくさんいるとたくさんいることを想定しました。特定の業者と協力することで、より手頃な価格を実現し、問題を解決できると考えたのです。

事業の仮説はいくつかの要素があります。その中、最初に3つが大事だと考えています:

仮説(思い込み)

早いサイクルで、それぞれの仮説を検証し、事業の可能性を確かめるのが私たちの考え方です。

次のステップは明確です:

1. 想定された顧客は、本当に想定された課題を持っているかを検証する。
2. 私たちのソリューションは本当にこの課題を解決できるかを検証する。
(ちなみに、必ずしも1から始まるとは限りません。思い込みに対するリスクの度合いによって、何から着手するか順番を決める必要があります。)

そして、今回のリサーチではは、最短の時間でステップ1をクリアすることのを目指していました。

[2] 仮説を立てる

まず、ざっくりとした「プロト・ペルソナ」(仮説を元にしたターゲットユーザー像)を作りました。

👩🏻 プロト・ペルソナ:忙しいママ
25~45歳
7歳までの子どもを持つママ
仕事や育児で忙しい
ほぼ毎日料理をしている

ここでは、時間をかけていくつか特定のペルソナを定義するのではなく、ターゲットとなる1つのセグメントをイメージして、年齢など少し幅があるように設定しました。

次に、仮説を立てました:

🥕仮説:
忙しいママたちの中には、スーパーに行くのが面倒などの理由で、野菜の宅配サービスを利用したいという人が多くいる。しかし、スーパーに比べて現在の宅配サービスの野菜は値段が高いためため、利用していない。

[3] 目標を決める

今回のユーザーインタビューの目標:
1. ↑の仮説を検証すること。
2. 忙しいママの生活や価値観、ペインなどをできるだけ理解し、より共感を得て、潜在的な課題と要因を見つけること。

具体的に、2週間で10人にインタビューし、1週間でシンセサイズし、結果を出して、次の検証に行けるよう目指していました。

🌶参加者募集

[1]スクリーナー作成

ペルソナに合う参加者を募集するため、まず、Google Formを使ってスクリーナーアンケートを作成しました。

グループ 2

スクリーナーアンケートは2つのページに分かれていて、ページ1には普段の昼食や夕食の調達、週に何日料理をするかなどの質問、ページ2には、年齢、性別、職業、家族構成、収入の範囲などの属性に関する質問があります。
最後に、プライバシーポリシーを埋め込んで参加者に確認してもらい、インタビューに応じてもらえる時間帯を記入してもらいます。

グループ 8

スクリーナーを使ったとしても、インタビューの日に「あ、ペルソナからずれたかも」と思うこともあるでしょう。その時、どうやってスクリーナーを改善すればズレが発生しないかを考えた方がいいですが、最初から完璧なスクリーナーを作ることは難しいです。インタビューの途中にペルソナからずれたことが分かったら、まずはお互いの時間を大事にすることを1番に考えましょう。無理して質問したり深堀りする必要はなく、予定していた時間よりも早く終わっても大丈夫です。もちろん、協力いただいた方には、うまく早く終るれることを伝えましょう。そして、感謝の気持ちは忘れずにちゃんと伝えましょう。

[2]募集チャネル

今回は、主に3つの募集手段を用いました。参加者の募集は非常に迅速に行われ、プロジェクト開始から2週間で10回のインタビューを完成することができました。

知り合い
まずは社内で、忙しいママペルソナの条件を満たしており、この宅配の新規事業のことを知らないメンバーにインタビューを依頼しました。それから、チームにママ友の繋がりがあるメンバーがいたので、ペルソナに合いそうなママ友に連絡して協力を依頼しました。

ママたちのコミュニティ
また、Mamiが過去に参加したことのあるママコミュニティのグループチャットに、インタビュー協力の募集を投稿しました。

調査モニターアルバイトサイト

私たちが募集でよく利用しているサイトの1つはジモティーです。

誰でも情報を投稿できる無料の掲示板サイト(or 地元密着型のクラシファイドサービス)で、あまり手間をかけずにアルバイト情報を投稿できるのでとても便利です。報酬が見合うと、多くの応募者を集めることができます。ジモティー自体は無料で使え、有料のオプションを使うことで、広告を上位に表示することができます。オプションは1000円くらいで、これまでの経験では、オプションの利用で5〜10人はすぐに集めることができたので、非常に費用対効果が高いと感じています。もちろん、ジモティーのようなサービスからアルバイトに募集してくれる人は、「少し余分な手間をかけてでもお小遣いを稼ぎたい」という考えの傾向を持った人が多く見られるので、参加者に偏りがある可能性があります。

もちろん、知り合いにインタビューすることにもリスクがあります。例えば、私たちと同じような教育を受けていたり、IT関連の仕事をしていたりと、統計的に私たちと似たような人たちである可能性が高いです。そのため、一般的なグループをよく表しているとは言えません。一方で、チーム内に知り合いがいる場合、彼らは無意識的、もしくは意識的に、良い面を見せようとしたり、本音を言えない恐れもあります。

これらはユーザーリサーチによく見られるバイアスですが、インタビューや分析において、バイアスを理解し、意識することで、リスクを減らせるのではないでしょうか。

🍠インタビューの準備

[1]インタビューガイド

本番のインタビューを始める前に、チームメンバーで認識を合わし、インタビューのメイン担当とメモ担当がそれぞれの役割をうまく果たすために、いつでも確認にできるインタビューガイドが必要です。

ガイドには、リサーチの背景、目標、募集基準、スケジュールがあります。そして、インタビューの流れ、話す内容も含められます。

スクリーンショット 2021-05-25 18.33.41

[2]トピックマップ

インタビューガイドで、一番重要なのは、「何を聞くか」という部分です。聞きたい内容がたくさんある中で、質問をどのように整理すれば、インタビューがスムーズにできるか、私たちは悩んでいました。

準備の段階では初めのうち、6つの質問を挙げ、参加者の回答によってフォローアップを行うことにしました。しかし、フォローアップの質問をすぐに思いつくのは容易ではないことが分かりました。そこで、6つの質問の下に、フォローアップするためのトピックと質問を書き出しました。例を挙げてみましょう。

グループ 7

想像できると思いますが、この長い質問のリストを見ても、自然な会話ができるわけがありません。私がまだ2つ目の質問をしているときに、参加者が4つ目の質問についての話しを始めてしまうと、私は一瞬、頭が真っ白になってしまいます。しかも、すべてのトピックを網羅しようとすると、参加者が自分にとって重要なトピックについて自然に話すことができなくなってしまうのです。

幸いなことに、いくつかのインタビューを苦労して終えた後、ユーザーリサーチの経験が豊富なデザイナーさんから、トピックマップを紹介してもらいました。以下は今回作成したトピックマップです:

野菜ECユーザーリサーチ - topic map 2

まとめると、トピックを3つに絞り、それぞれのトピックにいくつかのサブトピックを追加したのです。トピックは単なる参考であり、すべてをカバーする必要はありません。具体的な質問をせずに、図に書かれたいくつかの質問パターンを参考しながら、自然な言葉でトピックを質問にします。トピックマップで、ひと目でトピックを把握することができ、以前に比べてかなりインタビューをスムーズにできるようになりました。おすすめです。

準備編は以上になります。次回は、インタビュー本番の話をします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?