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「ホップステップだうん!」 Vol.166

今号の内容
・巻頭写真 「セミナーハウス」 江連麻紀
・続「技法以前」140 向谷地生良「正しい知識は誰が持っているのか?」
・ 伊藤知之の「スローに全力疾走」第94回 舞台『12人の怒れる人たち』から「対話」について考えたこと
・東京大学ウインタースクール 報告
・「パワーフード/コンフォートフード」 宮西勝子
・福祉職のための<経営学> 028 向谷地宣明 誰もが「スターター」になれる
・ぱぴぷぺぽ通信 すずきゆうこ 「俺、石川」
・「べてるアーカイブ」配信のお知らせ


セミナーハウス

ニューべてるから徒歩5分のところにあるセミナーハウスは2006年にオープンしました。

1階には生活介護事業所ミナとおけいちゃん食堂があります。
ミナの活動の「娯楽部」では、麻雀大会、カラオケ大会、園芸、買い物ツアー、らーめんツアーなどのイベントがあります。先日は甘酒を飲んで楽しむ甘酒祭がありました。

2階はグループホームの潮見ハイツがあります。幻聴さんがいるメンバーが多く住んでいて、鉄筋コンクリート造りのため音の響きがとても良いという条件も加わって、賑やかで話題も豊富な住居です。

隣が警察署という立地のため、守られて安心感があるメンバーや、見張られていると不安になるメンバーや、「昔、すすきので遊んでいた悪い人間だから逮捕してください。」と言いに行ったメンバーもいます。

(写真/文 江連麻紀)

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続「技法以前」140 向谷地生良

「正しい知識は誰が持っているのか?」

2月11日(月)に、医学書院(東京・本郷)を会場に当事者研究の臨床研究・報告会が開催されました。この集まりは、当事者研究から生まれた「実践知」を、精神医療や地域生活支援の現場に活かすという試みをしている現場の皆さんに、その成果や経過を報告していただくというもので、70人を越える人たちが集まりました。トップバッターは、東京大学先端研の熊谷晋一郎さんに当事者研究をめぐる動向について話題提供をしていただきました。今回は、その話が大変面白かったので、一番関心を覚えたところをちょっと紹介します。

熊谷さんのお話の最大のポイントは、専門家がいわゆる占有してきた臨床現場に、当事者研究と言う「仲間になること」「語ること」、「共に弱くなること」という「当事者研究の文化」を移植すること、特に臨床の現場で「専門家と当事者が協同する」ということは、世界の大きな流れと軌を一にしていることです。そして、それを日本で実現するという事は、可能性と難しさの両方を併せ持っているという事です。その中で、医療や福祉の領域は、「専門家」と「障害者」双方が、時には両者の役割や立ち位置、優位性をめぐる対立してきた歴史であり、それは「正しい知識」の座をめぐる相克でもあったという話は、本当に納得でした。

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