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「ホップステップだうん!」 Vol.162

今号の内容
・巻頭写真 「浦河駅」江連麻紀
・続「技法以前」136 向谷地生良「コヒーレンス」と「対話」
・「声の出ない私の研究」 Nozomi(浦河べてるの家)
・「ソロごろにゃんプレイのすすめ」 宮西勝子
・「スキゾフレニア」  広重尚也 a.k.a Buddha Alchemist(Base Camp)
・福祉職のための<経営学> 024 向谷地宣明
・ぱぴぷぺぽ通信 すずきゆうこ 「まい家電」


JR日高本線の浦河駅

北海道苫小牧市の苫小牧駅から様似町の様似駅までを結び、スタッフやメンバーも利用していましたが、2015年の台風の高波の影響で運休となり、2018年11月に日高門別〜樣似間の復旧が断念されました。

廃止にはなりましたが、国鉄時代からの木造駅舎が残る貴重な駅はまだ残っています。べてるに遊びに来た際はお立ち寄りください。

(写真/文 江連麻紀)

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続「技法以前」136 向谷地生良
「コヒーレンス」と「対話」

YouTubeでも見ることができますが、複数のメトロノームをバラバラにスイッチ・オンにすると次第に波長が合い、同じリズムを刻むようになります。これを「同期-シンクロ」と言います。この現象が起きるためには、メトロノームを載せている台が、“揺らぐ”設定にしておく必要があります。揺らぐことによって、同期が起きるのです。

「メトロノーム100個が同期する動画」(東京理科大学池口研究室)

それを、私たちのコミュニケーションに置き換えると、一つの問題が起きて「ワイワイ、ガヤガヤ」とミーティングをしているうちに、次第に新しいアイデアや「苦労の意味」が見えてきて、まとまっていくプロセスに例えることができます。

べてるの歩みにその場面を拾うと、1993年のことですが、日赤病院の敷地管理を請け負ったり、介護用品を扱う会社を創ろうという話が浮上して、みんなでミーティングをしたことがあります。すると、ほとんどのメンバーが反対をしたのです。その一番の理由が「その日の朝にならなければ誰が出勤するかわからない人ばっかりのべてるが会社を創って上手くいくはずがない」「街をみても、普通の人たちがやっている店でも立ち行かなくなって閉店しているのに、病気の人が店をやって上手くいくはずがない」という最も常識的な理由からでした。それでも、話は、あっちに蛇行し、こっちに蛇行しながらのべてるらしいバラバラミーティングでしたが、一人の統合失調症を持つ女性メンバーが「そうだよね、あんた達みたいな“頭のおかしい人”が商売やって上手くいくはずないよね。あんた達が上手くいくんだったら、世の中、こんなに苦労してない・・」と言い出したのです。それに、一番最初に反応したのが早坂潔さんです。

「そんな言い方ないべ!」、それをきっかけに議論は沸騰し、最後に「病気の苦労をした自分たちだからできることがあるような気がする」というメンバーの発言で「会社創ろう!」ということになったのです。それが「同期」です。

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