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詩『夢の断片』

昨夜までまるで
死んでるみたいと思ったのに
今は起き上がって元気そうだ

きみと僕とで秋も深まって
記憶の扉も放置したままだった

ただ自堕落な日々を重ねて
右を下に寝たら今度は左を下にして
寝言を言ったとしても
気にかけもしない

足は絡めても夢うつつのまま
そのまま目を開かない二人は
昨夜まで死んでるみたいだった

おはようと先にきみは起きて
目玉焼きを作ると言ったっけ
きみが不思議でならない
すべて無かったことにしたい

きみが羽織ったシャツが
キッチンを行ったり来たり
裾がヒラリと動く

布団にはきみのいた窪み温もり

僕は少しだけ寒いから
さらに布団にもぐった

まだ僕一人でも布団は温まるから

きみと僕とで老いが深まったら
記憶の鍵も無くしてしまうよね

そうならないかな?

駄目だね

きっと

そしていつかは

セミダブルの布団もシングルになる
今は裸でも平気なのにその内に
凍えてしまうんだ

脱ぎ散らかした服を集めたら
記憶も戻ってくる?

自堕落な日々を気に入ってたのに
記憶喪失でいたい

駄目だね

きっと

すべて無かったことにしたい

きみと僕とで愛は深まらず
僕の恋は深まって
また寝言を言うんだよ


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