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競馬はやっぱり謎という話。〜山本一生「競馬学への招待」を読んだ。

名調教師が亡くなった週末に。

先週日曜日に行われた北九州記念というレースで、ボンボヤージという馬が勝ちました。

近走の成績が悪かったため評価は低く、18頭出走馬がいたうち、16番目の人気。

単勝オッズは164.3倍。(もし100円買ってたら、配当はなんと16430円。)

1番の馬。評論家の印も、押さえ評価の△がひとつだけ。


私ももちろんとれませんでしたので、別に自慢話ではないですよ(笑)。

注:ボンボヤージに「◯」をつけているのは、レース後に勝ち馬につける私の癖です。

そしてこのレース、ある不思議な物語が隠されていました。

勝ったボンボヤージを管理する梅田調教師は、つい先日亡くなった名調教師・伊藤雄二さんが引退した際に厩舎を引き継いだという縁があったそうです。

そして、ボンボヤージはフランス語の「Bon Voyage」で、「良い旅を」の意味。

まるで誰かが用意した筋書きです。

以下は、東スポの関連記事です。
記事では、調教師の縁以外にも、馬の縁、人の縁の物語が二重三重と重なったレースだったことが書かれています。


競馬は人馬が織りなすドラマ。

ぶっちゃけ、どの馬、どの陣営が勝っても必ずそこにはドラマがあるのですが、今回のは終わってみて「ああそうか〜!!」と思わされました。

余談ですが、競馬評論家の井崎さん(よく外す)が当てたらしく、よりによってこれを当てるかと、それも驚きでした。

競馬の「謎」について自由に考察した本。

こちらの本は、近代史研究家、競馬史研究家の山本一生氏が様々な競馬の「謎」について古今東西のエピソードを交えて考察したものです。

1995年発行


奇妙な落馬事故。

英国・ガーディアン誌HPより引用。


この写真。
写真大喜利「写真でひとこと」で使われそうな不思議な写真。
これは、イギリスの名物障害競走「グランドナショナル」で起きたミステリアスな落馬事故の写真です。

全ての障害の飛越を終え先頭、あとはゴールに向かってわずかな距離を走るだけだったデヴォンロック号

突然なにを思ったのか、ぺたんとおなかを地面につけるかたちで座ってしまい、そのまま立ち上がらず競争中止となってしまったそう。

馬に騎乗していたのは、のちに競馬小説の大家となるディック・フランシス
彼によれば、「スタンドの歓声に驚いた」とのこと。

ただ本当のところは、馬に聞いてみないとわかりません。

(動画は、YouTubeで「Devon Loch」と検索すれば出てきます。本当に不思議な出来事です。)


自分が馬券を買った馬がこんな形で競争中止になったらびっくりでしょうが、可能性としては「ゼロ」ではない。だって、昔こういうことが実際にあったのですから・・。


何が起きるかわからない競馬。


「競馬学への招待」にはこう書かれています。

競馬では、ひとつのレースが一編のミステリーとなる。犯人とは、そのレースの勝馬であり、容疑者はそのレースの全出走馬で、推理の手がかりとなるのが、それぞれの馬の血統であり、競争成績である。競馬新聞とはすなわち、手がかりの多くが記載された情報誌であって、それはミステリーにおいては事件の概要が明らかとなる前半部分にあたっており、「熟読」するのも当たり前だろう。競馬ファンは競馬新聞を「熟読する」。

219pより引用。

レース前には誰も想像がつかなかったような筋書きと「謎」を秘めた競馬新聞は、凡庸なミステリー小説よりよほど面白い。

だから、どんな読み物よりも集中して「熟読」してしまうのだと思います。



★「競馬学への招待」については、以前も以下の記事で紹介しました。よろしかったらこちらもご覧ください。


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