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東 葉子「ガラスの脚」読了。

久々に、競馬本を読みました。

1987年の年度代表馬、サクラスターオーの栄光と悲運のドラマを、主戦騎手の東信二さんの奥様・葉子さんが書き記したもの。

葉子さんはプロの作家ではないようです。

偶然に騎手の妻として一頭の名馬と出会い、悲運の死に立ち会った者として、この物語を書くことを託されたようです。

サクラスターオーの馬主である全演植ジョン・ヨンシュクさんからも、「素人が書くから意義があるんだ。がんばって書いて。」と言われたというエピソードが本書に含まれていました。

1989年初版
古本で入手


サクラスターオーが活躍した時期、私はまだ競馬ファンではなかったので、リアルタイムではなく、本や映像で知った馬。

サクラスターオーは、皐月賞優勝後脚元に不安が出て、日本ダービーには出走せず、秋まで休養。

そして定石の出走間隔ではない約半年明けの菊花賞も勝ち、二冠馬となり、ファンの人気投票で出走が決まる年末の大一番、有馬記念に1番人気で登場。

しかし、そのレースで故障してしまい、苦しい闘病生活が始まり・・。


JRAのポスターにもなっているほどの、名馬。

天に舞え。
ドリームレース「有馬記念」誰もが出場したいと願うレース。
待ちに待ったファンファーレ、関係者は「勝利」への期待に胸をおどらせる。
しかし、場内に鳴り響くアナウンスの声。「故障発生、故障発生!」
サクラスターオー復活にかけたレース。
まだ走り続けたいと首をふり競走馬の使命をたぎらせる。
・・・・・・生と死にさまよい、強靭な生命力、強靭な魂は「生」へと歩みよる。
闘病にかけた日々、皆、天をあおいで復活を願い続けた。
目は闘志に輝いている。「生きろスターオー」。
しかし、5月12日、ついにスターオーは天に召された。
スターオー、天の大地を踏みしめ今、走れ!
愛とロマンをのせ天国のターフを走り抜け!


このポスターにある通り、闘病の末、自力で立ち上がれなくなり、ついに安楽死の処置が取られました。

全演植ジョン・ヨンシュクオーナーは「どうしても血を残したかった。」と語り、同馬の死後はショックで競馬場に足を運ぶのが辛かったそう。


折れてしまった脚のショッキングな写真には目を背けたくなりました。

毎日の闘病の辛さースターオー自身の辛さ、何とか治って欲しいと不休でスターオーに寄り添う厩舎スタッフの懸命な思いが伝わってきました。

競馬の厳しさを改めて知らされる本でした。

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