井崎さんが好きな理由。〜摘読日記_14
こないだ、グリーンチャンネルで、「井崎脩五郎のニッポン競馬史」の再放送を見ました(トップ画像。右の方は、やはり競馬ファンにお馴染み、鈴木淑子さん。)
この番組は、不定期に放映されていたようで、私が今回見たのは、2017年にレイデオロが日本ダービーを勝ったあとに放映された回でした。
番組では、井崎さんが、年初から”ダービーはレイデオロ”と決めていたのに、いざ当日の馬券は買い目を変えてしまい、トホホな結果に終わってしまった顛末を語っていました。
鈴木淑子さんとの掛け合いもすごい安心感。
さながら名馬と名騎手がぴったり折り合って走っているレースを見ているような。
こちらの番組を見て、今読んでいるのがこちらの小説。
「小説」、とわざわざ銘打っているのは、おそらくそうしないと完璧なノンフィクションと思われるから?
中身はというと、基本的には、競馬の必勝法がテーマ。
必勝法を研究する男たちや、周辺の競馬好きたちの、主に予想にまつわるあれやこれやが語られます。
たとえば最初の章は、競馬場に流れる迷子のアナウンスにレース結果が暗示されている、という仮説に基づき、研究と実証を重ねていく、という具合。
(「迷子のお知らせを申し上げます」なら四枠が来る、「お客さまをお呼び出し・・」だったら五枠が来る、というように。)
ほぼノンフィクションのような気がする内容なんですが、有名馬主のご令嬢が出てきてベッドを共にする・・あたりのくだりは、フィクションのように思えます(笑)。
この小説は、井崎さんの硬軟織り交ぜて競馬を語るスタイルがバランスよく発揮されている作品のように思います。
最近、私はあまり見ていないのですが、日曜日の競馬番組「みんなのKEIBA」では、どちらかというと井崎さんの柔らかい面が目立っている気がします。
今、手元にある昔のNumber誌を拾い読みすると、たとえば井崎さんによる、こんな記事がありました。
こちらは、硬派な感じです。
こんな予想コラムも。
普通にウオッカの実力を見抜いた見事な見解。
井崎さんが好きなのは、この硬軟織り交ぜて、軽妙に競馬の魅力を語ってしまうところです。
このコラムなんかも好きですね。これは最近のものです。
最初の「ニッポン競馬史」で、井崎さんがテレビ出演や執筆依頼が殺到し最も忙しかった時期、(たしか1990年代始めと言ってたかな)「ノンフィクションの記事を、でっちあげだらけで数時間で書き上げた、我ながらいい加減だったな〜。」と笑っていました。
しかし一方で、”自分が面白いと思えることを書く”ということを、自分に課していたそうです。
私は競馬新聞は近年はずっと東スポを買っているのですが、井崎さんのコラムは必ず目を通してしまいます。
なんというか、予想そのものより、人間味が感じられる文章が好きなんですね。
以前、井崎さんと”競馬の神様”と言われた評論家、大川慶次郎さんがNumber誌で「20世紀最強馬」について語った記事について書いた記事のリンクを貼っておきます。よかったらこちらもご覧くださいませ。
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