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ようやく見つけた小説とか、何度も読む名作漫画など。〜摘読日記_37

積読がひどいので今月はもう本を買わない、つもりだったところ、探してた本がネットで見つかりました。

あっさりポチッとな。

佐川光晴「生活の設計」

読みたかったのはこちら「虹を追いかける男」に収録の「生活の設計」。

2006年8月発行

エルンスト・ルビッチ監督作でも「生活の設計」ってあったな…。

早速読み終えました。

埼玉の屠殺場で働く男の独白調の小説。著者の佐川さんは食肉処理場で働いていたそうで、実体験もかなり活かされて書かれているのかと思います。

小説では、屠殺場で働いていることを知人に非難され、かと言ってたしかに自分でも理由らしき理由が見つからない…と、その理由についての考察がつづき…という感じ。

主人公の頭の中のめくるめく考えの吐露という感じで、こう書くと観念的なようですが、屠殺場での牛の捌き方など生々しかったり、屠殺場で働いている故の妻の実家での気まずい体験など、読んでいてぐいぐいと引き込まれました。

独白調の小説というとぱっと思い出したのがドストエフスキーの「地下室の手記」。あの主人公の方が自意識過剰の程度がひどく、そこがかえってコミカルだった気がします。

ただ、こちらの主人公の最後の方の開き直りのようなセリフ「諸君、これが現在のわたしの生活である。」というのがよかった。


もう一編の「虹を追いかける男」も少し読み出しました。

冒頭、両親が亡くなって遺産が転がり込み、遠くへドライブに出る、という出だし。

…ポール・オースターの小説で似たような設定があったような?

こちらも面白そうです。


他に読んでいるもの。


柳川悠二「甲子園と令和の怪物」

2022年発行

ちょっと前に買って軽く積読状態。

最近ようやく読み始めました。

3年前に大きな話題となりましたが、現ロッテの佐々木朗希投手が、地方予選の決勝戦で当時の野球部監督の決断により登板しなかったことがありました。

それまで、甲子園のためならエースを酷使するのは当たり前、連日連投で何百球投げる、という価値観が変わり始めたきっかけとなったこの登板回避事件について、当時の監督へのインタビューなど真相に迫った内容になっているようです。

並行して、こちらもつまみ読み。


ちばあきお「キャプテン」

まあ、何度も何度も読んだのですが…。

こちらは、エースが投げ続けるのは当たり前、という価値観が基本にはありますが、その中でも谷口キャプテン時代には「谷口・イガラシ」、丸井キャプテン時代には「イガラシ・近藤」と二本柱体制が確立され、試合中の使い分けや継投策も見応えがありますね。

そんな中で、敵チーム・名門青葉中学の部長が連投で疲れがピークのイガラシ君を「ファールでつぶせ」と指示を出すシーンがあります。

わざとファールで粘り、球数を増やすことでピッチャーの疲れを極限にまでもっていく戦術。

現代では非難轟々になること必至ですね。

今から約50年も前の漫画なので、中学野球でも勝利至上主義だったことが窺えます。


「キャプテン」は、コージィ城倉先生が続編の「キャプテン2」を書いてますね。

絵がそっくりでびっくりしますよ。

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