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【雑記】本を買うのが下手になった話

すっかり本を買うのが下手になってしまった。

何を言っているのかと自分でも思うが、昨年、最寄りの書店が閉店してしまったことが思いのほか堪えており。

特に高齢の父は、散歩のついでに駅前の書店に寄って本を眺めるのが楽しみであったし、近年は私の新刊が出れば喜んで買ってくれていたのが、散歩にすらほとんど出かけなくなってしまった。

自分も、『出先で買えるかもしれないし』と思うも、実際は最初から書店に行く気で出かけないとそんな偶然はなかなか無い。

そうこうしてるうちに今日。月曜日。
ファミ通は週刊雑誌であるから、書店でもそろそろタイムリミットであろう。
近年、ファミ通は電子書籍で読んでいるのだが、
パノラマサイトの特集記事が掲載されるというので、保存するために今週は紙の本も欲しかったのだ。

最初からネットでポチればよかったのにと思うも、
また書店が閉店してしまっては悲しいので
どこかの書店で通りがかりに買えればなどと思っていた。

結局、家族にお願いして、今日の病院の帰りに車で書店に寄ってもらい無事に購入。

問題は父である。
欲しい本が明確にあるのならば、私がネットで注文してあげることもできる。でも、父が望んでいるのはそういう事ではない。何を買うでなく書店に行き、眺めて手に取り、欲しいと思えば買って帰るのが楽しみだったのだ。
だから、『本屋に行きたいなら車で連れて行ってあげるよ』、『買ってきてあげるよ』、というのも少し違うのだと思う。

閉店してしまった駅前の書店の次に近い店は何処だと聞かれ、答えるも、高齢者の散歩圏内ではないため『そこはさすがに遠いな…』と。
そうだろう。私でさえ、健康のために頑張って歩こうと思えば行けるが、気軽に行こうと思う距離ではない。

そんな父も最近では、最初から『足が痛い』と言って余計に歩かなくなってしまった。

特に目的もなく行けた本屋。
目的があるのになかなか行けない本屋。
便利なのにポチる前に一瞬躊躇うネット書店。

週刊誌一冊買うだけであるのに、
自身の脳内でモワモワした何かの為にこんな長文をしたためる羽目になるとは、まるで大イベントである。
しかし、紙の雑誌が出版されるという事そのものが貴重、かつ希少になりつつあるのも確かであり、書店がまだ身近にあるということもまた同様なのだろう。
既に書店で紙の本を買えた事自体が大イベントなのに、気づいていなかっただけなのかもしれない。

そういえば、
今日寄った書店の周りの店も、閉店したり改装したりと随分様変わりしていた。
時はとめどなく流れているのだとしみじみする間も無く、
急いで仕事に戻らねば、と我に返るのであった。





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