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「ただよび」の倒産

先日、YouTubeをプラットフォームとしたオンライン予備校である「ただよび」の運営会社が倒産したと、ニュースになりました。
「ただよび」の講師として授業動画を配信していた講師達の何人かが、テレビの取材に応じていました。

「ただよび」の動画を見ていた視聴者がYouTubeの動画コメント欄で「質の高い授業で良かったのに、倒産なんて」と、そのように書いているようですが、質が高いのはあたりまえです。
そもそもこれまで大手予備校で人気講師として有料で授業をして来た講師たちの授業なのですから。
本来なら授業料を払って見るような質のものを「無料で」ということなのですから、そこからして視聴者に分かってもらえていたのか、と思います。

しかし、鳴物入りで始まった「ただよび」ですが、最後の頃は再生回数も振るわず、誰の目から見ても収益化は無理な状態でしたので、恐らく「やれるだけやってみたけどダメでした」ということなのでしょう。

ただ、内部での契約上の揉め事と言うか、何がどう不誠実なことが行われていたのか、については部外者である私と言うか私たちには分からないことです。
でも、私はもう始まって1年後、2021年の半ばには「これは無理そうだな」と思っていました。
ビジネスモデルとして、まともに成り立っているように思えなかったですね。

「スタサプ」のような形で利用してもらうことを目指していたのかな、とは思います。
しかし「スタサプ」は学校にも卸しているようなマーケティング展開に成功していますので、その意味で太刀打ちできるとは思わなかったです。
つまり、同種のビジネスモデルを打ち出したところで、市場シェアに割り込んで行けるとは思わなかった。

もちろん、「ただよび」に参加していた講師たちは名だたる名講師達ばかりでしたので、自分たちの講師力でもって切り拓いて行こうと思ったのでしょうけど、「少子化」「不景気」「コロナ後の学校教育のICT化」「大学一般入試枠の減少」など、自分ではどうにもできない外的要因などについて考えてみれば、この結果は致しかたないのでは、と思います。

ちなみに私が注目したのは2020年、つまり「ただよび」が興った年の途中で参加した数学講師の永島豪先生ですね。
参加してほぼ数ヶ月で撤退し、配信していた自分の授業動画も配信停止にしたんですよ。
どういう理由でそのようにしたのか、分かるような分からないような、そんな感じですが、でも結果として永島先生の行動は正解だったと。
「先の見えないビジネスモデルだ」と思ったのでしょうか、既に2020年の時点で。


そのような感じですが、私が悲しく思うのは、日本が学校教育制度について何ら改善して行っていないため、教える仕事に携わることができる能力のある方々が学校で教えることができないでいる、ということです。
憚ることなく言えば、「私も含め」です。

予備校講師の中には、中高生に指導する人間的資格があるとは言えない人もいましたが、本当に教育者として真剣に子どもたちに向かい合っている人もいたように思います。
改めて、日本の教育制度を改善と言うか、改革、いや革命を起こすレベルで建て直して行かないといけないです。

そうでなければ、「知の再生産」も「豊かな人材の育成」も、実現しないのではないでしょうか。

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