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面接までの待ち時間

記述試験が終了し
面接まで時間が空いた。

面接はなんグループかに分かれていて
私は第二グループだった。

比較的早い開始予定でありがたいが
そうはいっても
まだ2時間くらい時間があった。

学内のカフェは
学生でいっぱいだった。

キャンパスでも見物することにした。

もう二度と来ないかもしれないからだ。

美しい建物
制服姿の付属高校の学生
品のあるキャンパスだ。

そういうのに
もはや憧れる歳ではない。
ただ単にこういう世界もあるんだなと思った。

今までの人生で一度も交わることのなかった
場所だ。

挑戦できて嬉しい。
諦めたわけでもないんだけどさ。

とかなんとか考えて歩いているうちに
左足が痛くてたまらない。

足にフィットした靴のはずなのに、
数ヶ月前に骨折をした影響でもあるんだろうか
靴ずれができそうだった。

どこかで休まなければ。

駅まで戻り
駅ビルの中の喫茶店に入った。

昼時だったけれど
お腹が痛くなると困るので
コーヒーだけにした。


踵骨外側と楔状骨内側が痛い。

時間ギリギリまで休んで面接会場へ向かった。

階段状の教室には同じグループの受験生が数名座っていた。
女性が2人男性が2人かな。
私の後からもう何人かやってきた。

パソコンを開いてなにか作業している。

まさかブログでも書いてるんだろうか。

意識が高そうなのかなんなのかわからない。

大学受験の時のような無駄に周囲を威嚇するような
オーラを出すものはいない。
キチンと研いだ爪はキチンと鞘に収められている。
この外見が彼らの実力ではないのだろう。
きっと凄い人たちだ。

第一のグループ面接が次々と終わり私たちのグループからも
受験者が2,3名ずつ呼ばれる。

時々抜けている受験番号は
一次を通過しなかった人なのかな。

少なくとも
私はここまできた。

無論今までだって、いい前までいったことはたくさんあった。

どうしても行きたかったアメリカでの研修選抜のインタビュー。
書類選考を通過し、経歴的にかなり良い線いってると
考えたけれど希望は叶わなかった。

余裕がなかった。

自分を大きく見せることしか考えていなかった。
取り繕うことしか考えていなかった。

いま考えたらそんな奴取らないよね、試験官も。

結論からいえばその時は落ちて良かったと思う。
それは酸っぱい葡萄ではなく、たとえ通過したところで私にそのポジションは務まらなかっただろうから。

その後アメリカへ行くチャンスは別の機会に与えられた。
必ず何かしら代替があるんじゃないか、そんな気がする。

そんな昔の思い出と似た状況、
一次通って二次面接。

違うのは
若さゆえの焦りがないところ。

私の番号が呼ばれた。 

青いカーペットの廊下
その一番奥の突き当たり
自動販売機の手前が私の運命の部屋だそうだ。

扉横の壁の下の方に、靴先がぶつかった黒いゴムのスジが何本も跡を残している。

ここは、この瞬間こそ受験会場だが、普段は
学生が行き来し学んでいる場所なのだ。

壁際に置かれた椅子に座って扉が開くのを待つ。
開け、胡麻!

歩いてきた廊下を振り返ると
遠くにポツポツと他の受験者も座っている。


部屋の中から
前の面接の笑い声が聞こえる。

果たして私に笑いは取れるだろうか。

結果は
任せておく。
縁があれば入れるだろう。

自分に正直に
ありのままを見せて理解してもらおう。

取り繕っても結果は変わらないだろうから。

私がここにいるのは
大学に入るためではなく(入りたいけど)
勉強したいだけ。

それ以外は何もない。

まずは待ってみよう。

もうすぐだ!

と何度も気合を入れても
いっこうに呼ばれなかった。
少しだけ時間が押していた。

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