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小論文の作り方✑解答を言い切るやり方

(美術系の小論文を教えているものです。ここで短く小論文を講じます。)

 小論文は課題の解答を言い切ることで完成するもの。ここでは「言い切る」のニュアンスを詳述します。結論を最初に書くと、言い切ることは、①作者の任意で複数の内容がなりたつもので、同時に、②文章のなかでその価値を示すことによって成立するものです。

 今回、拙作「手」の小論文を複数(2つ)見ることで、①、②の具合を確認していきましょう。また、「手」を題に400字の文章を書きなさい、は小論文をこれから書き始めるひとにおすすめできる課題です。この記事を読んで小論文を学ぼうとするひとは、ぜひ「手」の小論文に挑んでください。

 さて、最初の文章をみましょう。

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 この文章の解答の言い切りは、①「手は自分の可能性を発するもの(である)」です。フレーズとしてはそれなりですが、頭でも口でも「可能性を発するもの」はいくらでもあるので、解答として単体では弱いと思います。

 しかし、この文章は「かめはめ波の練習をする手」について書いています。②手から繰り出す空想の技を本気で練習した経験が私(たち)にあったことを説明することで、解答の言い切りが成り立っていると言えます。

 さて、次の文章をみましょう。

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 この文章の解答の①言い切りは「どんな障害も越えて、誰かに触れる」ことが「手の意味」だと述べています。ずいぶんロマンティックな主張だと自分でも思います!

 そして、その説明も文章から抜き出すと不思議な感じがしますが、②書き手と読み手が時間を超越するように触れるように、手もそうあるのだ、という内容と解せます。というか小論文の状況自体が具体例になっています。

 この記事のまとめに入りましょう。

 2つの文章をみてみると、①解答の言い切りがはっきりある、②その解答を主張する説明がある、という共通点はあるものの、言い切りと説明の内容は作品ごとに全く違います

 つまり、言い切るべき解答の内容も説明が任意ですが、両方備えて「解答が成立している」形がとれているものが小論文の言い切りです。解答者のアイデアによって、定義が絞り込めない広がりがあるといえます。

 逆にいうと、思いついたものは、言い切りのフレーズを鍛えたり、説明をうまく作ったりすることで小論文として立派に成立する可能性があるかもしれません。ダメだと思わずアイデアを展開することが大切です。

 最後に、どちらも文章も最終段落の目立つ位置に解答(解答文)をまとめています。それが意味することは、ちょっとした(修辞的)表現や構成や間の作り方でも説得力が生まれるということとも言えます。

 最後の最後に、もうひとつ「手」の拙作をご覧いただきましょう。小論文は複数の解答が成立しますし、成立する課題の解答は幅広いです。自分のアイデアを信じて、みなさまの執筆に取り組んでください。応援しています!

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