作品に出た鉄道路線(御茶ノ水界隈篇)
御茶ノ水駅とその近くを「走行」している電車の出る作品を集めました。とりあげた作品は順番に、小島麻由美の曲、「ベイマックス」、「ラブライブ!」、「君の名は。」、椎名林檎の曲、フリッパーズ・ギターのPV、「真女神転生3」、山田正紀の小説、「海月姫」、エレファントカシマシのPV、ブローティガンの小説です。
①最初の路線はJRの中央線快速です!
東京駅から八王子駅、高尾駅と中央をまっすぐ走る快速電車です。ラインカラー(路線のイメージカラー)はオレンジバーミリオンです。
🚋路線図です!
普通の地図と東西が反転しているので見づらい路線図ですが、左側に御茶ノ水駅があることをご確認ください(今回「御茶ノ水」しばりなので必ず確認します!)。
ε=ε=⋤⋥⋤⋥⋤⋥⋤⋧ この中央線快速の登場する作品がこれです!
これは中央線です。恋人のところに向かうオレンジの電車を「極楽特急」と呼んでいます。現実から浮きあがるような幸福感と、それを続ける意思も描かれた軽快なポップス。私は小島麻由美がすごく好きです。中央線は多摩美術大学行きのバスが出ている八王子駅から東京駅までの長い路線。私はむかし、その長い中央線のどこが「恋の極楽特急」の恋人の「部屋」なのかを考えたことがあります。荻窪駅とか吉祥寺駅とかのイメージです。
ヒロの閉ざした心のドアをそっと叩くのは兄タダシが遺したロボットベイマックスだった。架空都市でくり広げられるアクション満載の感動作の「日本らしさ」を担当する、オレンジの電車のモデルが中央線です! 近年のディズニーアニメの中でも出色の面白さだと思います。中央線(E233系)だけでなく、東京建築が随所に引用されており、日本人にとっても「日本らしい」と感じる魅力的な背景が作られていると思います!
②続いてJRの総武線です!
千葉の銚子からジブリな三鷹まで走る総武線。正式名を「中央・総武緩行線」と言い、中央線快速(や総武本線)が通過する駅をきちんと停まる真面目なイメージのある電車です。ラインカラーは黄色です。
🚋路線図です!
かなりざっくりとした路線図ですが、千葉から三鷹まで走るのが確認できます。そして、秋葉原のとなりにあるのが御茶ノ水駅です。
ε=ε=⋤⋥⋤⋥⋤⋥⋤⋥⋤⋧ この総武線の登場する作品がこれです!
学校の危機を「スクールアイドル」になって救おうとする生徒たちの物語。秋葉原での路上ライブを成功させた一日の暮れを、黄色い電車が走り抜けます。好きなことで頑張る姿がさわやかです。彼女たちの高校「国立音ノ木坂学院」が千代田区にあるという設定なので、放課後に秋葉原に行くのもごく自然でしょう。今回はじめて観たんですが、隣の御茶ノ水で働いている私にとっても、よく見たことがある景色が美麗に描きこまれていて感動しました。ちなみに、「学院」の名称にも一方的に親近感を感じます!
田舎で暮らす三葉と都会で暮らす瀧の2人の高校生は、互いが入れ替わる不思議な夢をみていた。本作で繰り返し挿入されるドアがスピーディーに開くショットで登場するのが総武線です。ここも聖地でしょうか! 瀧くんの自宅が四谷駅、高校が新宿駅でどちらも総武線が通っています。しかし、ここで気になるのは両駅とも中央線も通っていること。自分が通学する場合は(時間短縮になるので)中央線を利用しそうな気がします!
③そして東京メトロの丸ノ内線です!
東京メトロと言いながら、ちょいちょい地上を走るおちゃめな電車です。今回とりあげた電車の中では一番好きです。ラインカラーは赤。
🚋路線図です!
右から6つめに御茶ノ水駅が確認できます。
ε=ε=⋤⋥⋤⋥⋤⋥⋤⋧ この丸ノ内線が登場する作品がこれです!
入社して丸ノ内線を利用している女性の、過激にロックに突入する心象のパフォーマンスと形容できる楽曲。歌詞のように、椎名林檎も御茶ノ水で楽器を選んだことがあるんでしょうか? この歌の中心的なイメージは、ロックガールな丸の内OLさんが楽器を選んでモウソウするというものでしょう。東京事変ヴァージョンで「寝具」を「single」って感じで唄っているので、歌の「彼女」はきっとシングルだと思います。歌詞には丸ノ内線の駅が複数ちりばめられています。
小沢健二と小山田圭吾の両氏がギターをフリップして丸ノ内線の車輌を駅階段を歌い歩くPV。子どもの頃に見て、自分の生きている世界と全然ちがう美しいイノセントなものに遭遇したような印象を抱きました! この1stアルバムで1番の曲をあえて選ぶなら私は「パステルバッヂ」です。PVでは波型のラインがあるかわいらしい丸ノ内線が登場します。丸ノ内線がテーマと言えるほど、車内だけでなく、新宿駅構内、四谷三丁目駅周辺、そしておそらく銀座駅周辺と、全編で丸ノ内線がロケーションに選ばれています!
④こちらも東京メトロの千代田線です!
綾瀬駅から代々木上原駅を走る千代田線。ラインカラーは緑です。綾瀬からは常磐線(東京藝術大学取手校舎もある取手駅もあります)に、代々木上原からは小田急線に相互乗り入れしています。
🚋路線図です!
「C-12」に「新御茶ノ水駅」があることが確認できます。新御茶ノ水駅はJR御茶ノ水駅の目の前に出口があります。
ε=ε=⋤⋥⋤⋥⋤⋥⋤⋧ この千代田線が登場する作品がこれです!
現代の代々木公園駅から開始するメガテン3(ps2)は、サウンド、バトルシステム、デザイン、ストーリー全てがロックな勢いで、すごく面白いRPGです。作ったアトラスも大好きです。ゲームの冒頭に東京メトロの感じがきちんと再現されています。私は「代々木公園駅」に行ったことはないですが、行ったらゲームの主人公みたいに移動しそうです。これはおすすめのゲーム。
組織からつまはじきにされたものの集団「喪失課」。このクセモノたちが遭遇する事件とは? 連作短編全てに千代田線が登場する千代田線小説。山田正紀氏の佳作の1つで、寺田克也氏のイラストも素敵です! 本作の「喪失課」は綾瀬警察署にあり、綾瀬警察署は北綾瀬駅の駅近にあります。ここは北綾瀬駅―綾瀬駅間という一区間しかない千代田線という特別な鉄道があるために、作中で毎回コメントされています。この鉄道を舞台にしたトリックも作られています。千代田線ファン必読でしょう!
⑤今度は京急線に進入します!
羽田空港に使う電車として有名な京浜急行電鉄。心もち細めの線路を小さめの赤い車体が走る姿がかわいい電車です(ちなみに赤は会社自体のイメージ・カラーです)。京急は御茶ノ水を走ってはいませんが、乗り換えだと結構近いので載せました。私は赤い電車が好きです!
🚋路線図です!
右から5つめの「浅草橋」駅が、JR総武線乗り換えて2駅なので御茶ノ水駅に近い、「界隈」と扱います<(_ _)>
ε=ε=⋤⋥⋤⋥⋤⋥⋤⋥⋤⋧ この京急線が登場する作品がこれです!
天水館の「尼〜ず」が地上げと戦うコメディー。その1人が「京急の車体のように赤く」と言います。『海月姫』は少女漫画のエッセンスを凝縮させた作風と、蔵之介の美しさをキセキに感じます。「天水館」は京急沿線にはないんですが、おたく女子の集う天水館の住人の1人が鉄道オタクなのでこういう台詞が出てきます。鍋の途中の「刺激がほしい」という言葉に、「じゃ やっぱりキムチ鍋の素投入~~」「京急の車体のように赤くな~~れ フフフ」と応じる場面。東村アキコの作品は、『海月姫』と『ひまわりっ 〜健一レジェンド〜』が私には大切な作品です。ちなみに、岡田あ~みんの『お父さんは心配性』のエッセンスも感じられて、オールドファンとしては涙が流れるほどうれしいです。
⑥再びJRの京浜東北線です!
ラインカラーはスカイブルー。私事ですが、長く通学に使っていたので愛着のある電車です!
🚋路線図です!
埼玉、東京、神奈川をつないでいると分かる長い路線です。ほぼ中段の秋葉原駅が、総武線1駅で御茶ノ水駅につながっています。
ε=ε=⋤⋥⋤⋥⋤⋥⋤⋧ この京浜東北線が登場する作品がこれです!
PVの後半、日常を走る心を歌う瞬間の電車がこれ。私は『MASTERPIECE』(2012)を聴いて、エレカシがいつだって本気で音楽を作って進化を続けていることに衝撃を受けました! PV(プロモーション・ビデオ)のリンクも貼らないで言うんですが、「今宵の月のように」でカメラをまっすぐ見つつ、目をそらしたりしながら歌う宮本さんは、ものすごくキュートだと思います!
⑦最後の路線はJRの山手線です!
ラインカラーのウグイス色もおなじみの都心をぐるりとまわる路線です。京浜東北線と同じく秋葉原駅が御茶ノ水駅の隣なのでここに選びました。
🚋路線図です!
外回りが時計まわり、内回りが反時計まわりです。だから画像は外回りの山手線です。
ε=ε=⋤⋥⋤⋥⋤⋥⋤⋧ この山手線が登場する作品がこれです!
土地の記憶のめまぐるしい往来の物語。「原宿駅で山手線を待っていた」など登場。ところで、「日本でスパゲティの夕食を作ること」の章題をみると、村上春樹の親戚のおじさんという感じがします。 藤本和子訳によるブローティガンの文体は、村上春樹をはじめとする現代日本の小説家に影響を与えたそうです。(ただ、村上春樹の場合『アメリカの鱒釣り』以外はデビュー後の翻訳です)。以下は全体のまとめです。今回職場のある御茶ノ水の路線で作りました。みなさまも自分の使う路線の作品を探してみるのをおすすめします。日常と作品の世界がリンクを知ると、在来線を使う日常生活がにぎやかに楽しく感じられるはずです!