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燕子花

読めるでしょうか?
カキツバタといいます。
私は読めませんでした。

燕子花はアヤメ科の植物です
丁度今頃、4月末から5月にかけて
水辺に濃い紫色の花を咲かせます。

私は昨年より日本の美術、芸術に興味を持ち始めました。
日本美術の本を見ていた時に
国宝の「燕子花図」尾形光琳
の絵が目に飛び込んできて
黄色の背景に群青色の花、剣先の様な葉がとても美しく記憶に残っていました。

そしてこの「燕子花図」は根津美術館が所属しており、根津美術館内にある中庭の池に咲く燕子花の花と合わせて毎年この時期に公開されるのだそうです。
本物を一眼見ようと、根津美術館へ行って来ました。

特別展
国宝・燕子花図屏風
デザインの日本美術

燕子花図屏風を中心に平安時代から江戸にかけての作品をデザインの観点から日本の美術を見つめる展示になっていました。

金地を貼った大きな屏風の上に絵が描かれています。
燕子花図は尾形光琳の作品です。
尾形光琳は京都の高級呉服屋に生まれ、小さな頃から本物の美に触れて育ったそうです。
俵屋宗達画の美に出会い画風を学んだそうで、
その後独自の装飾性に富むやまと絵画風を確立し、のちに琳派と呼ばれるようになりました。
燕子花図は紙本金地着色
本で見ていた時には明るい黄色の背景かと思っていたのですが、なんと金色だったのですね。
紙に金地を貼ってその上に色をのせています。
燕子花の花だけが並んで描かれているのですが、よくみるとある一定の規則に沿って花が反復していました。
これは、呉服屋に生まれ育った尾形光琳が、
反物の染めなどに使用していた絵型からヒントを経て型を使って描かれたとされています。
このようなデザイン性が今でもグラフィックやテキスタイルのデザインに見る事ができますし、昔から絵柄や模様といった絵画とはまた違ったデザインが今と同じ様にあったのだなと分かりました。
しかし金地に絵を描くなんて、
なんと贅沢な事でしょうか
金地に鮮やかな色が重なり、金が透けて見える事で、優美な作品を作ろうとしていたのかもしれません。
そして、これは私の想像なのですが、電気のなかった時代、昼間の薄暗い部屋の中で自然光が差し込み金色の屏風が明るく光る
そこに美しい絵が浮き立って見えたのではないか?
夜は蝋燭の火に照らされて昼間とはまた違う絵の美しさがあったのではないでしょうか?

額に入っている様な絵画とはまた違い、
日本には屏風や襖といった生活に溶け込む様に美術、芸術がありました。
それは日本人が暮らしの中に美しくさをとても大切にしてきたからなのではないでしょうか?
その時代の人々の生活を少し想像する事ができた様に思います。

そしてこの展示で
初めて生で燕子花図を見て
尾形光琳の事を深く知りました。
調べるうちに
絵と着物と家具とデザインが色々と繋がっていったのは面白かったです。
尾形光琳の見て来た美しいもの、体験や経験が積み重なってあの美しい作品が出来上がったのかと感動しました。

素晴らしい絵を見た余韻に浸りながら庭へ…

根津美術館の中庭はいつもきちんと手入れをされていて四季折々の植物を楽しむ事が出来ます。
雨の日に伺ったのですが、新緑がみずみずしく
とても美しかったです。

そして池には燕子花の群生が
見事に咲いていました。

絵と生の花を一緒に見られるのはこの時期だけの貴重な体験だと思います。

特別展
国宝・燕子花図屏風
デザインの日本美術
2024年4月13日(土)〜5月12日(日) 
根津美術館
https://www.nezu-muse.or.jp/sp/


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