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Let’s enjoy the process!(陽は必ず昇る!)

第1回 「英和・和英・英英・国語辞典の定義比較の重要性」に目覚める!  

植田一三(写真左)                       

  皆さんお元気ですか、Ichay Uedaです。24歳で脱サラし、28歳でアクエアリーズの前身「イチイングリッシュサロン」をオープンし、英語の研究に専念してから40年、「英語星占い&See人相」で出版デビュー以来約33年の歳月が流れました。その間、書店・大学・学参向け図書から様々な新聞雑誌記事の執筆を行い、書籍では英検対策書35冊以上、通訳ガイド関係13冊以上、TOEFL・IELTS・TOEIC対策25冊以上、論理的発信や語彙・英文法・世界情勢など25冊以上、多言語習得9冊以上の計100冊以上執筆してきました。また、37年前にタイム・洋画攻略&英検1級対策校を発足以来、機械翻訳ソフト開発や国際イベント・企業向け日英翻訳に携わると同時に、資格5冠(英検1級・TOEIC980点・国連英検特A・技術英検プロフェッショナルなどの日本最高峰資格)突破者を125名以上輩出してきました。しかし、まだまだ英語研究の道のりは遠く、今後も、年齢を超越した年中無休の”amortal life”を 30年以上歩む必要がありますが、今回の企画を通して皆さんとシェアできることを非常に喜んでいます。

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英語の教育研究に捧げた私の人生

 米国大学院留学での研究と最近の英国での研究を含めて、過去30年以上に渡って言語との取り組みで力を入れている分野は、「英日の語彙」と「英日の発想の違い」です。前者は、英和・和英・英英辞書の問題点と打開策と、英日を対照した類語の使い分け、後者は、異文化間コミュニケーション学、翻訳学の見地から見た英日の論理の違いと、グローバル時代への対応です。これらは、英語学習、国際ビジネス、日英翻訳などの英語コミュニケーションにおいて極めて重要な研究分野で、日本ではその草分けとして、英語教育出版に人生を捧げていきたいと思っています。
 

英単語の認識を拭い去るのに20年かかった!

 まず、英語のボキャブラリーに関しては、現在、英語の初級者は英和・和英辞典の翻訳を通して、中級者は英英辞典の定義を参照して、上級者はこれにグーグルなどのコーパスをチェックし、理解・習得をしていますが、それぞれに問題点があります。最も危険なのは、英和辞典の定義の「単純理解」ですが、英英辞典や諸刃の剣であるコーパスも使い方に注意がいります。私は、24歳でfull commitmentで英語の勉強を始めてから、それまで英和辞典で培った英単語の認識を拭い去るのに約20年かかりましたが、それほど中学から10年の思春期の学習の影響は強いということです。
 25歳で翻訳系の資格を取り、30歳でアルクの翻訳コンクール英日・日英に入賞し、日英翻訳の仕事をしながら、英英辞書を数冊、隅々までボロボロになるまで引いて語感を養いましたが、各単語の定義・用法は時の流れとともに変わっていきます。例えば、”potential(可能性)”という語は、1980年代は不可算用法が主流でしたが、90年以後、or aと可算用法も現れ始め、21世紀になると可算と不加算の頻度が近づき、2010年以後は可算が一般的になっています。

辞書は時代とともに変わるので自分でハイクオリティな辞書を作る


 現在は、本の執筆スタッフや日英翻訳士や英語教師に辞書の使い方を指導しますが、英和・和英・英英・国語辞典の辞書の定義は信用せず、それらの情報に基づいて自分の辞書を作るように言います。例えば、日本語の「絵馬」は、『精選日本国語大辞典』では「祈願または報謝のために神社や寺院に奉納する馬の絵を描いた額」、『広辞苑』と『明鏡国語辞典』では「祈願や報謝のために社寺に奉納する絵の額で、馬の絵を描いたが後に馬以外の画題も扱われるようになった」とあります。そして、各種和英辞典では次のようになっています。
1. A votive tablet of a horse presented to a shrine or a temple:
2. A picture tablet of a horse offered to one’s guardian deity for the realization of one’s wishes
3. A picture tablet of a horse used as an offering at a shrine
4. A votive wooden tablet painted with a picture of a horse, presented as a prayer or in gratitude for a prayer answered
また英英辞典では、”votive”は”offered to a god as a sign of thanks”、”offered in fulfillment of a vow”、つまり「祈願成就のしるしとして奉納された」となっていますが、「絵馬」は現在では大体、祈願かなって行う報謝ではなく、祈願のためになされているので妥当ではありません。それから馬の絵が描かれたのは昔のことで、昭和時代になってからは色々な絵が描かれているので、『精選日本国語大辞典』の定義や英英辞典の英訳はアップデートしていません。1はshrineとtempleの両方がある点はよく、2は、今日、氏神だけに奉納するとは限らず、祈願成就だけとしている点も問題ありで、3は絵馬の重要な目的も書かれておらず、神社だけになっており、馬の絵だけという3つの問題点があります。4は目的に関する描写が国語辞典のように正確ですが、前述の問題があります。そこでそれらをふまえて英訳すると、”a wooden picture tablet offered as a prayer for success in life to a shrine or a temple”となりますが、短く言うと‟a prayer tablet”となります。
 このように、英語で発信する場合は、辞書の翻訳・定義をうのみにするのでなく、常に日英両言語の辞書の説明を比較して辞書を改訂する姿勢を持つように指導しており、出版によってその普及を目指しています。 

[著者紹介] 植田 一三(うえだ いちぞう)
英語の最高資格7冠突破校Aquaries School of Communication学長。英語の百貨事典を10回以上読破し、辞書数十冊を制覇し、洋画100本以上の全セリフをディクテーションするという「超人的」努力を果たす。ノースウェスタン大学院・テキサス大学院(コミュニケーション学部)を修了し、同大学で異文化間コミュニケーションを1年間指導。Let’s enjoy the process!(陽は必ず昇る)をモットーに、31年の教歴において、英検1級合格者を1600人、資格3冠(英検1級・通訳案内士・TOEIC980点)突破者を200名以上育てる。主な著書に、『英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現』、『発信型英語スーパーボキャブラリービルディング』などがある。


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