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眠れば眠るほど眠くなる
ゆっくりと ゆっくりと 明けていく この夜に あなたを写す 眠れない夜は しばらくないけど 眠れば眠るほどに眠くなるのは 見るのではなく 描き出すから まどろみに夢を 描き出すから 夢中で 私から あなたへと 続く 傷跡を たどれば たどるほど 遠く なってゆくよ 明日へと 明日へと 繋ぐ 息継ぎは あなただけ あなただけを 探して 泳いでいただけ 自分の声が 笑う声がして 私は笑顔で 目が覚める どんな夢かは 覚えてないから 瞼を閉じて もう一度描くよ おやすみ あなたから 私へと 届く 記憶の飛礫 眺めば 眺むほど 綺麗に なってゆくよ その声が この声に 変わる 心の中で あなたさえ あなたさえ 薄れて いくから ちゃんと 光に暴かれて 終わりゆく 夢を 描けば 描くほど 眠れば 眠るほど 眠くなる 眠くなる 眠っても 眠くなる 眠くなる 眠くなる 眠るほど 眠くなるよ 私から 私へと つたう 涙の意味を 掬えば 掬うほど 言葉が 満ちていくよ 朝焼けと 夜明けの 間で 目を開けば あなたは今 あなたは今 私の 夢のひとひら
- 再生
風に自由を
風を閉じ込めた雲が立ち上っていく 空の天井に触れたら降りてくる 乾く汗 そのための風 そのための雲なら 僕の期待は 膨らむ 今宵 夢 夢に咲く花と 目が合えば胸に咲く花よ 目を逸せば消えてしまう その花よ あの日の 自分を救い出すための幻なんだと 気づいても 夢の続きが終わらないんだよ 風に乗り続けた海のかけらが集まって 空に別れを告げる時が来る 濡れる肌 そのための素肌 そのための夏なら あなたの傘も 閉じたまま その声 その呼び声は 僕を呼ぶ声じゃなくても すこしだけ 目があったような気がした 夏の日の終わりに咲き誇る 雲が解き放つ嵐よ 最後も 僕は僕のままでいたんだよ この道を真っすぐ行けば海に行けるらしいから 見えない月明かりが照らすうちに見に行こかな 果てしない旅路を終えて指先で消えゆく波と ともに来た風が僕を通り過ぎゆく先の 眠りについた湖の水面に咲く花の 名前と 名を知るあなたを教えてよ
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記事
- 再生
夏風が夏めく夜に
窓の向こうは昨日のまま 並ぶ街灯が灯っていく 窓の隙間を少し開けて 風にカーテンふれて ふいに明るむ空 遅れて爆ぜる音 まばゆさよ 騒がしさよ どうか遠くで 夏風が夏めく夜の 浅い夢が滲んで見えた 僕が僕正す時間が すこしでも早く終わるように めくるめく日々の向こうの 静寂をなぞる喧騒 僕が僕正す時間が 終わるまでこの目を閉じていよう 歩めなかった道を行く 人波も引いて 川の流れに手を伸ばし また同じ間違い あ そして巻き戻る時間 続いて呻く声 愚かさよ 浅ましさよ 未だに体は 覚えてる 朝焼けに色づく街の 始まりを通り抜けて 僕が僕正すこともないまま 適当に虚ろをまとって 青空が青めく朝の まばゆさにまぶたが閉じてく 僕が僕らしく生きるほど ありふれた未来が閉じてく 歩むべき標の先を 語るべき心の奥を 夏空が夏めく正午に 二度と覚めないほど深い眠りを 夕焼けに色づく街の 色褪せる窓の向こうを 僕が僕らしくいないように 言の葉をむしり取ってく