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ドイツでの入籍式

★入籍式の会場
日本では入籍は役所に婚姻届けを出しにいくだけ。
が、ドイツではその役所で式をする

この式だが、私も友人のと、自分のと、2回しか経験していないから、どんなパターンがありうるのかははっきりとはわからない。
ただ、要するに大事なのは、
①書類と結婚当事者の意思の再確認と、
その証拠としての
②指輪の交換と誓いのキス
が行われるということだ(具体的な流れについては以下に)。
つまり、日本でいう、いわゆる結婚式だ。

では、日本の結婚式とどう違うか。
例えば、結婚式は、会場を自分で選ぶことができる。日本式か西洋式か、会場の広さは、、、、などなど、自分たちの好みやよびたい人の人数、予算などで選んでいく。
しかし、こちらの入籍式は役所でするから、基本的に会場を選べない。会場が決まっているわけだから、招待客の人数も自然と限定される。

例えば、私が出席した友人の式は、役所の小さな会議室みたいなところで、親族だけが出席する形で-それでも満席だった-行われた(私はそこに特別に混ぜてもらった)。
いってみれば、いつもよりちょっと豪華な花が飾られた会議室で、いつもよりもちょっと綺麗な格好をして事務手続きをしただけ、のようなシンプルさだった。
その後は、役所の前に小さなテーブルを出して、乾杯のシャンパンを片手にみなでお祝いを言い合い、歓談した。そこには、式に参加しなかった人たちも数名やってきていた。

私たちの入籍式はといえば、夫の出身であるその市は、役所の人たちが働く建物の横に、入籍式やら、ちょっとしたパーティーやらができる歴史のある建物を持っていたため、そこの会場で行われた。
それほど広くはないが、天井の高い、ザ・ヨーロッパ風のとても重厚な、素敵なホールだった。
そこに、親族と友人を合わせた約25人が同席してくれた。おそらくその倍以上の人数でも収容は可能だったと思うけれど、特に私にはドイツ国内で来てもらえる友人は限られていたから、それでいえば集まったほうだともいえる。それに、しがらみで呼ばないわけにはいかないとかではなく、本当に祝ってもらいたい人たちに来てもらえたから満足だった。


★入籍式の服装(新郎新婦)
基本的に決まりはない。
Tシャツ&ジーンズだってOK。実際、新郎新婦だけで、普段着で入籍式をする人たちもいるようだった。
もちろん、ウェディングドレスを着たっていい。

私はといえば、特にウェディングドレスにあこがれも執着もなかったし、1回限りのものにそれほどお金をかけるのは嫌だったから、シックなスーツでも買おうかしら、と思っていた。ただ、日本ではシックとみなされる黒は、ドイツではお葬式の色。夫の女友だちに、黒はやめたほうがいいと言われ、明るい色のスーツなんて着たことのない私は思考停止になってしまった。

人生初のキレイ色のスーツ?!
それとも今後、結婚式や披露宴におよばれしたときでも着られるきれいなドレス?!
日本人だから和服?!
いろいろ悩んでいたら、もうこれはウェディングドレスというカテゴリーで探したほうが手っ取り早い!という結論にいきついた。実際、入籍式の日程も迫っていた。

ところが、ウェディングドレスも自分だけのものを本気で選ぼうとすると、そんなに簡単ではないことが判明。オリジナルのものを注文で頼む場合には最低3か月かかるらしい。
もちろん、そんな時間はないから、とにかくお店に行ってみることにした。

ずらっとならんだウエディングドレスたち。
とにかく、いろいろ見てみよう、というだけのつもりだったけど、お店に行ってみると決めてからは、自分の中でしっかりイメージができあがっていた。かわいすぎず、シンプルなもの-ふわふわ系じゃなくて、Aラインかタイト系で飾りのないもの。
だから、選び始めてからすぐに、こっちかこっち、と2択に絞ることができた。

そこまでくれば、もう早い。ささっと試着をして、その場でお買い上げ!結局、3-4万円程度の出費となったが、思いがけないウェディングドレスに自分でもテンションがあがった

靴も、一般の靴屋さんで、偶然にも白地に白のスパンコールがついたメルヘンチックなものをセールで購入(8000円くらい)!これはすごいラッキーだった。

夫は私のクリーム色のドレスに合わせて、濃い茶色のスーツを購入。こちらも初のスーツとなった。

当日は美容師さんに来てもらい、私は髪の毛のセットとメイクをしてもらった(1万円ほど)。
ブーケは義母が事前に花屋に注文してくれた。
ということで、結局、誰から見ても新郎新婦!という格好の入籍式になった。

★入籍式の服装(招待客)
そもそも、つきあう→結婚が当たり前ではないドイツにおいては、入籍式に出席する機会そのものが少なく、よって、友人たちもその経験がほとんどない。夫も、私と知り合うまでは、結婚は自分には縁のないものと思っていたらしい(彼女はいたし、その都度、同棲もしていたが)。

それでも、結婚という人生の節目に立ち会うということはそれなりにオフィシャルなことだという認識はみんなあるはず!と私は思っていた。だから、夫の友人から「ドレスコードはあるか?」と聞かれたとき、そうはいってもキレイ目の格好はしてくるのだろうという前提で、「ない」と答えた。

ところがびっくり。その人は本当に普段の格好-Tシャツ&半パン-でやってきた。もちろん、だからといって私が気分を害したとか、常識のない人ね、と思ったというわけではない。その人にしてみれば、だから事前に聞いただろ、ということなのだろうし、本人も特に居心地が悪いと感じている様子はなかった。

また、夫の立会人(新郎新婦の両方に1名ずつ必要)になった女性も、普通のタンクトップ&普通の綿のロングスカートにビーサンだった。これにもやはりびっくりした。なるほど、これでいいのか、、、。

そういえば、式の前に書類のチェックをする役所の人も、上はジャケットだったけど下はジーンズだったし、式を進行する中年女性も、普通の女性用のTシャツとスカートだった。あ、いや、きっとジャケットもスカートも、それなりにキレイ目を意識した結果なのだろう。

念のために付け加えておくと、25名ほどの招待客のほとんどは、普段よりもちょっとキレイ目の格好をしてくれていた。正直、やっぱりそのほうが、私たちの結婚を晴れの日だと感じてくれているという気がしてうれしい、と思った。またしても、ヨーロッパ人になりきれない自分を感じた瞬間だった。

★入籍式の流れ
自分たちで事前に選んだ入場テーマ曲で会場入り。
私たち新郎新婦が先に腕を組んで会場に入り、前方に置かれた2つの椅子に前を向いて座った。
その後、招待客がぞくぞくと入場。みんなが後方の席についてから、入籍式の開始だ。

役所の方の進行で式の開始が告げられると、みながすっと背筋を伸ばした音が背中越しに聞こえた気がした。
進行の人は慣れているのだろう、緊張した様子はなく、終始丁寧に、しっかり間をとった、重みのある話し方をしていた。

お決まりの「〇〇と人生と共にすると誓いますか」という問いかけでは、私は一番緊張した。ここにいる全員が次の私の一言に注目していることがわかったからだ。結果、なんだか変に間延びした「Ja」になってしまい、ちょっと恥ずかしかった。

その後、指輪の交換、そして、誓いのキス

その流れはわかっていたはずだったが、私たちはキスのタイミングがわからず、きょとんとしてしまった。すると、進行の女性が、「招待客のみなさんは、二人のキスを待っていると思いますが、、、」と。思わず夫と顔を見合わせ、みなの爆笑の中、なんとか無事にキス。

誓約書にサインをし、その後は、ありがたいお言葉ー夫婦とは、夫婦として、みたいなお言葉ーをいただき、式は終了。
このありがたいお言葉、結構いいことを言っていたのだが、私はとにかく無事にやるべきことをし終えた安堵でいっぱいで、ぜんぜん頭にはいってこなかった。

そして退場。
招待客たちに、退場時に改めてお祝いの言葉をもらい、一人一人とハグをしてから、最後に建物を出ると、そこで待っていた招待客らがライスシャワーを浴びせてくれた。

式全体は2時間くらいだったかな。堅苦しくなく、でも、それなりに緊張感のある、いい式だったと思う。

★披露宴
役所での入籍式後に教会に移動して教会式をする人たちもいる。
招待されて参列したことがあるが、基本的に入籍式と内容は一緒。だから、やるかやらないかは本人たち次第だ。
友人の場合、入籍式のほかにわざわざ教会式をしたのは、入籍式を親族だけでしたためだったと思う。

私たちは、入籍式に招待客たち全員が同席できていたし、宗教色を出したいという希望もなかったから、入籍式後は教会式はせずに、直接レストランへ。

私たちがレストランに到着すると、庭に丸太とのこぎりが用意されていた、、、。私は???だったが、これがドイツ式の「はじめての共同作業」というやつらしかった。
いわれるままに、のこぎりをにぎり、夫と一緒にぎーこぎーこ、、、。
笑いに包まれながら、ようやく木の一部を切り終えると、友人たちから拍手喝采があがった。

その後、義母から、パンと塩を渡された。
パンに塩をふりかけて一口食べるのだが、これもドイツでは「食べ物に一生困らないように」という意味が込められているのだそう。

そしてレストラン店内へ。
レストランは地元でよく知られたところで、政治家やスポーツ選手、俳優などもよく訪れるらしい。歴史的な人物が実際に座った椅子にはネームプレートがはってあったりして、歴史を感じることができた。

その一角の個室っぽいスペースで、コの字に座ってみんなでお茶。そこで、私たちはウエディングケーキを切った。
この時、義母に、ケーキを切るナイフを握った手が上にあるほうが、結婚生活の主導を握るのよ、と耳打ちされ、さっと自分の手を上にしたが(笑)、今、私が主導を握っているかどうかは、、、どうかな。

みんなでウエディングケーキを食べたあとは、庭に移動して、引き続き歓談。夕食の時間になると、それぞれがメニューから食べたいものを注文した。
食事はおいしいようだったが、実は私はこのとき妊娠初期。つわりがあり、特に肉魚をうけつけない時期だったため、食事やお酒を楽しむことはできなかった。

結局、日が変わるころまでそこでみんなで歓談。夫も私もホテルに戻ったときには、とにかく朝からの緊張&慣れない服装でくたくたで、服を脱ぎたーい!靴を脱ぎたーい!横になりたーい!という一心だった。
その結果、ロマンチックな雰囲気は一切なく(笑)、ただただ朝まで熟睡した。

★費用
日本で披露宴に招待されると、年齢や関係によって異なるが、友人なら、お祝いとして3万円を包む、というのが相場だろうか。

その代わり、披露宴をひらく側も、その2-3時間ほどのために会場費だけで100万単位のお金をかけることが珍しくないはず。それ以外に、招待状の費用、衣装代、遠方から来てくれた人への電車代ないしホテル代、返礼品などいろいろとお金がかかる。

私たちの場合、
入籍式にかかる費用(事務手続きを入れて3-5万円ほどだったと思う)、
それぞれの衣装代(私と夫の分をあわせても10万円はしていない)、
レストランでの飲食代(???)、
遠方から来てくれた人たちのホテル代(ホテルに泊まったのは5-6組だったから、一人1万として、6万円くらいかな)、
が主な出費だった。

そのうち、レストランとホテルの費用を、義母がお祝いとして支払ってくれたから、全体でいくらかかった、というのはわからない。
特に、レストランは貸し切りではなかったから場所代はかかっていないものの、あれだけの人数が長時間(8時間以上)、飲み食いをしたのだから、それなりの額になったはず。義母、太っ腹だ。

招待客は、お祝いを包んでくれたり、プレゼントをくれたりするが、基本的にそんなに高額でも高価でもない。相場は5000円くらいといったところかな。その代わりといってはなんだが、こちらも特に返礼品などは用意しない

全体としては、安価に、でもそれなりにやることはやった入籍式だったと思う。新しいドイツの風習を知ることもできて、私としても大満足!の一日だった。

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