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【裏】「切り口」をもらおう!

前々回記事ではAIアシスタントをぞんざいに扱い,あれこれと評価した。

「AIコンサルタント」という名前であれば,初めの方で使うのをやめていただろうが,「アシスタント」なので,多少へなちょこなところがあっても許せるし,逆にそれが可愛くも思えてくる。

謙虚な新入社員と同じである。ただし謙虚な新入社員よりも抜群にレスポンスが速い。とんちんかんさはあまり変わらないかもしれないが,速さと量においては圧倒すると思う。

また,曖昧な質問や条件設定でもそれなりにやってくれるのが非常にありがたい。これが人間のアシスタントであれば,もっと範囲を狭めるよう要求されるか,「自分でやってください」と一蹴されるか,賃上げの要求に合うだろう。

「りんご」のみで切り口を5つ出してくれるなんて,AIアシスタントは,だる絡みするおじさんにちゃんと付き合ってくれる優しい存在である。何かしら実体を持ったら,すぐに癒しボットとして大人気になるのではないか。

今回は「切り口をもらう」というテーマでAIアシスタントを使ってみた。切り口はとても大切だ。切り口はperspective「視座,視点」に相当する。

同じ物体でも,見る角度によって異なった形に見える。りんごでさえ,上から見るのと下から見るのと横から見るのとでは印象が異なる。それぞれの場所から見たりんごの説明を聞けば,多少なりとも相違が出てくるはずだ。これが個性の出発点である。

そういうわけで「物事をいろいろな角度から見る」ということが,それをよく知るうえでとても大事になってくる。物じゃなくても,人であっても概念であっても同じだ。
対象をできるだけいろんな面から見ておくことで,新たな発見があり,新しい発想につなげていくことができる。

とはいえ,「様々な角度から見た」といくら自分で思っていても,新たな側面は後からいくらでも出てくる。どうしても「見る目」には偏りが生じてしまい,「盲点」も出てくる。

だから,他者の存在がありがたい。パソコンなどなかった時代は,周囲の人たちと五感を使った直接的なコミュニケーションの中で情報の交換を行っていた。インターネットが発達してからは,それまでとは比較にならないほど多くの量の情報を得られるようになった。そういった他者とのかかわりの中で,自分たちの視点の偏りを補ってきた。

そしてAIである。現状は「検索」とそう変わらない部分もあるため,「検索すりゃいいじゃん」と思うことも少なくはないが,余計な情報なく,整理された形で情報を提示してくれるのはありがたい。

例えば,検索でまとめページに行けば同じような結果は得られるのだが,欲しい情報と一緒に付随してくる広告やらその他の情報が非常に鬱陶しい。この点,今のところAIであれば余計な情報がないのでストレスが少ない(今後,巧みな修辞法で広告を入れてきて,すっかり騙されてしまうことが予想される)。

一方で,内容の真偽の点に不安を抱えているため,そのままでは使えないことはわかっている。そもそも,真偽についてはこれまでもネットが抱えてきた問題であるし,例えば信頼性の高い情報とされている政府の情報などは何より見にくいし,つまらない。

そこで,ChatGPTを使って政府のホームページから必要な情報だけを素早く取り出してみた。前々回記事でせっかく「りんご」について書いたので,それについて依頼した。

Q. 農林水産省のデータを元に,日本のリンゴ農家の現状について要約してください。

A. 農林水産省のデータによると、日本のリンゴ栽培面積は、約1万6千ヘクタールであり、主要産地は青森県、長野県、岩手県、北海道などです。しかし、リンゴ農家数は減少傾向にあり、特に若い農家の減少が著しい状況です。また、リンゴの生産量も減少傾向にあります。これは、高齢化や後継者不足などが原因で、今後のリンゴ農業の発展に課題があることを示しています。一方で、日本のリンゴは高品質であると評価されており、海外にも輸出されています。また、消費者のニーズに応えた品種の開発や、観光や地域振興などの取り組みも進められています。

Q. ありがとう。参考にしたサイトを教えてください。

A. データは、農林水産省の「平成30年農業センサス」を参照しました。具体的には、以下のウェブサイトを参照しました。
https://www.maff.go.jp/j/tokei/census/afh30/index.html

ChatGPT

「おお,やった」と思ったが,提示されたサイトに飛ぶと「ご指定のページは見つかりませんでした」と表示された。では上の情報はどうやって引っ張ってきたのか,真偽不明ということと,参照元を載せられないので利用不可能ということになってしまった。

むやみに鵜呑みにして,これをコピペしてしまうと痛い目を見る。


こういったことを考えると,まだまだ実用レベルでは全く信用できず,真偽は置いといて,何かそれっぽいブルシット資料やブルシット文章,私のようなブルシット記事を作るのには楽しくて良いかもしれない。

つまり,確認作業が必要で,誤りもまだ多いという点で,まだあくまで「創作用」の側面が強い。実務での「創作」は誤った方向に導くことになりかねず,痛い目を見る。なんでもかんでもAIに頼ると,切り口を考える「視点」も増えないため,やはり痛い目を見る。

創作の「結果」に注目するなら,AIを活用するのは有用だ。要求→結果→修正サイクルを何度か繰り返せば,欲しいものに近いものを作ってくれる可能性は高い。
一方で創作の「プロセス」に注目するなら,AIに頼ることはあまりお勧めできない。プロセスを構築する能力が育たないからだ。脳はやったことを忠実に学習してくれるので,結果とプロセスのうち重点を置く方を伸ばしてくれるだろう。


ちなみに,先ほどの「リンゴ」に関して同じ質問をperplexityにしたところ,情報ソースも複数示しながら即座に回答してくれたため,目的別にAIを活用できるスキルはとても重要である。
そしてどういった目的で何を使えばよいのか,どんなAIがあるのかがわからないため,それをまとめた情報には価値がある。それをまとめてくれるAIも価値がある。

このような状況を整理すると,自分が何をしたくて,どんな世界で生きたいのかが何よりも重要となる社会になるだろう。「仕事が奪われる」という見方もあるだろうが,「仕事をやってくれる」という見方もある。自分の欲求が失われることはないのだから,安心して次に進めば良い。

その点からは,自分の望む世界を手に入れやすくなったのは確かである。人生に対する能動性さえあれば。

(Canvaだと「リンゴの上に机が乗っている」を理解してくれなかった。創作に使えるのかも疑問に思えてきた。)

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