【エッセイ】さくらももこ展に行ってまた幸せになった。
先々週の話になるが,横浜そごうで開催されていたさくらももこ展に行ってきた。
日曜だったのでこれでもかというぐらい人が多く,大盛況であった。
入場規制はされていないものの,チケットを買うのにそれなりに長い列ができていた。
支払い時に電子マネーで払おうとしたら,アプリにエラーが出るなどのトラブルに見舞われながらも,無事チケットを購入することができた。
15分ほど並んで,いよいよ入場。
後ろには元気なお兄さんがおり,入口にあるさくらももこの息子さんが書いた「ご挨拶」が掲示されていた。それを読んでいると,
「こういう文字があると,ここぞとばかりに突っ立って読むやつがいるんだよな!全然見れねえよ!」
と叫んでいた。そちらに目を向けると,お兄さんも突っ立って一生懸命に読んでいた。一緒に来ていた女性は隣で申し訳なさそうにしていた。
お兄さんはおそらく3分の1ぐらいまで読んで(ほんの少しの間しか読んでいなかった)飽きたのか,スタスタと奥の方にわき目も降らずに歩いて行った。何をしに来たのだろうか。
「ご挨拶」を読み終えると,いよいよメインの展示へ。
そこはもうさくらももこワールド全開で,これまでの「コジコジ展」といった1作品に関するもののみの展示に限らず,漫画,エッセイ,ラジオ,歌詞など,さくらももこにまつわるあらゆるものがそこに集まっていた。
唯一人生で経験した「ロス」は「さくらももこロス」である私にとって夢のような世界であり,もはやここを「ユニバース(Universe)」と呼びたい。
漫画の原画の合間合間にさくらさん直筆の草稿などがあったり,息子さんとの絵日記があったり,いつも以上に温かみを感じる空間だった。
年表を改めてみれば,エッセイは小学生の頃からすべて読んでいたことに勝手な満足感を抱いたり,知らない作品を見つけて勝手な恥ずかしさを覚えたりしていた。(読んでいないものもたくさんある)
一番驚いて思わず笑ってしまったのは,さくらさんの書斎というかアトリエというか,そこの本棚に『日月神示』が置いてあったことだ。
確かに『宇宙人アミ』の表紙絵も描いているし,さくらさんの描くイラストにはやたららせん状に広がる宇宙や銀河があったり,そういう宇宙観をお持ちなのも頷ける。
私もそういった方面に詳しいわけではないが,「ものの見方」として大きな関心が昔からあるため,共感することができていたのかもしれない。
さくらさんは私の中で「社会に生きている中で,力を抜いてくれる存在」なのだと実感した。
全体を見終わって,入口に戻りながら見て,もう一回見たため,合計で3回作品を見た。ようやくお腹いっぱいになったところで,デザートはお土産ショップである。
今回は控えめに,「さくらももこ展 公式図録」と「キーチャーム」を2つ買うだけにした。
キーチャームは「永沢」と「山田」だ。本当は「小杉」が欲しかったのだが,売っていなかった。
帰り道にふと思いついて「キーチャームとしての永沢」から,「ウォッチウォッチャーとしての永沢」に転身させた。
「時計(watch)を見守る者(watcher)」ということだ。
テンションが上がって「最高にかっこいい時計ができた!」と友人に写真を送ったところ,翌々日に「いいね!」とほめてもらった。割とすぐに既読になっていたのを私は忘れていない。
「いやさすがに恥ずかしいっす」と言った後輩もいたが,「恥ずかしくて好きなものが付けられないという発見を大事にするべきだ。自分の中の『恥』と向き合い,解消することで,『個性』を許容できるようになる」と諭した。後輩は話の「個性…」あたりのタイミングでレモンサワーを注文していた。
それにしても幸せな時間だった。いろんな展示会に行くが,これほど「かわいい~!」が飛び交う展示会もなかなかないだろう。あの空間ではあらゆる人が幸せになっている。
冒頭のお兄さんも,比較的空いているところを見つけては速足で行ったり来たりしており,お連れさんもなんだんかんだで楽しそうだった。5回ぐらいすれ違ったと思う。
心を失いそうになっているときや,うまくいかないときには,公式図録を眺めて力を抜いていきたい。
(写真:さくらももこ展はずっとほのぼのしていられる。)
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