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#2/ 2019→2020

前回から少しあいだが空いてしまいましたが、
もう少しこのダンボールについて説明を補いたいと思います。

1. 町田市立国際版画美術館での展示

実は、このダンボールには実際の運用の前例があります。
昨年に、アーティストの田中彰さんの展示@町田市立国際版画美術館の際、作家の滞在制作のためのダンボールスタジオを美術館のエントランスホールにつくりました。スタジオの名前は 'a bent cardboard' 。
田中彰さんは木版画家という括りにおさまらない、木やコーヒーや旅など、さまざまなテーマに対して横断的に取り組むアーティストです。

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photo by Takeshi Hirabayashi

長さ12000mm×高さ4400mm×厚さ14mmのダンボールの板。
ダンボールの片側を剥ぐという単一の行為によって、有機的な意匠・軽量化・変形・構造・吸音(ちょっとだけ)・運搬可能性などのすべての要素を成立させています。
作家の滞在制作に多くの訪問者が携わるという、共同制作の場でもありました。

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photo by Takeshi Hirabayashi
animation by Yuichi Uehara


2. あたらしい生活

そして今年に入って、
新型コロナウイルスの影響で人々の暮らしが突然大きく変わりました。
これまでの暮らしの容れ物(住居やオフィスなど)にとって想定が十分でなかったライフスタイルへの移行を余儀なくされ、さまざまな空間におけるアレンジが必要となりました。
(さまざまな生活に関するほころびは以前からあったのかもしれませんが。)
その要請に対し、ダンボールスタジオの形式がある程度応えられるのではないかと考えるようになりました。

たとえば住居内における、
日中は会社で仕事をしていた人の執務空間や、
休校になった子どもの秘密の遊び場など。
あるいはテレビ電話の背景として。

機能不全に対してただ機能を充てがうのではなく、
「楽しさ」や「笑える」という余剰の感覚が伴うものとして。
ひとまず自分でこのダンボールを使ってみようと思うに至りました。

写真(2020-06-09 20.05)

3. ダンボールの旅

このダンボールとそこに纏わる空間の本当の意味付けは、
多くの人の日常の実践のなかで行われるべきだと考えました。
日本各地へ、ダンボールたちの旅のはじまりです。

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