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#3/ 澤さんの場合①

ダンボールの旅について。

まずはじめに、
概要と以下の方針を伝えて
5名の友人にダンボールを送りました。

1. 楽しく使って貰える人にお譲りします
2. 使っているところを写真等で一緒に発信しましょう
3. ひととおり使ってみたら誰かに譲ってみましょう(ルールも伝達)
4. 1-3の繰り返し
5. 自分のものが欲しい、作ってみたい人向けにワークショップを後日開催します

コロナ禍のSNSでは、
ブックカバーチャレンジなどといったバーチャルなバトンが流行しました。
このダンボールはさながら、
遅れてきた超フィジカルなバトン(1500mm×直径300mm)といったところでしょうか。


早速この場でも、
少しずつ他の場所でのダンボールの様子をあげていきたいと思います。

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一人目は、
現在は同志社大学に勤務されている数学が専門の澤宏司さんです。
このプロジェクトの初期の段階からいろいろと話相手になってもらい、このプロジェクトのメンター(でありフィクサーだと僕は思っています)でもあります。

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ダンボールを大学に持ち込んで作業している写真と、
感想の代わりにテキストを送ってくれました↓

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Bend it like cardboards

『ベッカムに恋して』は2002年の映画である。キャリア初期のキーラ・ナイトレイが準主役で出演、タイトルとも相まってさながらアイドル映画、実際そういった雰囲気もなくはない。が、実際はイギリスでフットボールをプレイするインド系の女子が、出自、性別、その他処々の壁を越えようとする話である。原題は『Bend It Like Beckham』。ベッカムのフリーキックのように曲げちゃおうぜ、ぐらいの意味だと思う。

唐突に私たちは壁の中に閉じ込められた。6つの平面でできた室内には8つの垂直の角がある。仕事も生活も息抜きもすべて部屋の中、そのように想定されていなかった部屋の共有は、家族といえども息苦しい。9番目の角が立った。

コンピュータやスマホの画面を介して、私たちは部屋の外につながることにした。画面の向こうは7枚目の平面である。少し見てみたい気持ちもあるが、たくさん見られるのはちょっと嫌だ。

室内においても、室外とのつながりにおいても、直線的な平面が仕切りがちだ。ちょっと曲げちゃおうぜ、と植原は考えた。曲面は平面よりも効率的でないかもしれない。でも曲面は簡単に自立するし、丸めれば小さくなる。クルマに載せて外に持ち出すことだってできる。なにより、ゆるやかな曲線は、角ばかりの部屋の中に違った印象をもたらすだろう。

安部公房の『壁』、その前文で石川淳は壁の効能と、それを越えようとする安部の目論みを明らかにした。閉じつつ開く、新しい空間の営みはこの時世でこそ可能であり、その参加は意外なほど容易である。

2020.5.20 澤 宏司
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このダンボールが「壁」として分断、断絶を目指すものではないことを指し示してもらえた気がします。
他の人からのレポートも楽しみに待ちたいと思います。

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