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外国人が暮らすマイホーム・ジャパン:SNSで改善案を出す時の注意点とは?

My home is your home

私は20年以上日本に暮らしていて、できることなら今後も住み続けようと思っているフランス系アメリカ人。日本をこよなく愛し、とても生活しやすい国だと思っている。アメリカに生まれ育ったけど、ここが私のマイホーム、第2の故郷だと思っている。

My home is your homeという表現が好きだ。
元々はスペイン語の諺でMi casa es tu casaだけど、その意味は来客へのおもてなしを込めて、ここをマイホームの様に考えてね、という意味だ。

しかしマイホームというのは、再構成したり、掃除したり、そしてたまに改築したりもするものだ。日本をマイホームの様に大切にしている人の立場として、たまに「こうすればより住みやすくなるのでは?」と考えてしまうこともある。

今回は私の様に海外に生まれて、成人してから日本へ移住した外国人がTwitterなどSNSで日本の何かについて改善案を出すという行為について私なりの考え方をまとめてみた。

「外国人」枠の存在を理解

地域密着型外国人と遺留地型外国人

Twitterの利用者は20代が最も多く、次いでに10代が多いらしい。もし数十年間の滞日経験がある外国人だったら、Twitterを使っている大半の日本人と同じぐらいか、それ以上長く日本に住んでいる計算になる。しかし、それを理由に「日本批判し放題の年間パス」を受け取ったかの様な特権的な態度を取るのも良くないと思う。

流暢に話せるまで日本語をちゃんと学び、ニュースを読んで世論を把握(少なくとも把握しようと努力)し、普段から日本人と話して日常生活を送っている「地域密着型」外国人もいれば、何年間住んでいても生活に必要最低限の日本語しか習得せず、公私とも自分の国の言語でしかコミュニケーションを取らない、つまり「遺留地型」外国人もいる。

私が日本人を代弁することはできないので、思想実験として逆の立場を考えてみた。アメリカ在住の日本人の発言を読む時、30年間の在米経験がある「遺留地型」の日本人より、5年間の在米経験がある「地域密接型」の日本人の方が、よほどアメリカを理解している可能性が高いと思うし、アメリカについて何か改善案を出す時の発言が信頼に値すると考えてしまうだろう。

SNSの特徴

ただ、ここで大きな問題が一つ。その改善案が上述の様な発言者の在住経験や生活態度といった補足情報が付与されない形でSNSで共有される可能性が高い。そうなると、外国人は有名人を除いてほぼ同じ土台に立っていると考えた方が賢明だと思う。

これは私と同じ様な外国人に言いたいことだけど、「オレはアイツより発言する権利があるんだぜ」という考え方はよろしくないと思う。結果的には区別化されない可能性が高いからだ。

良くも悪くも様々な形でシェアされるその発言の多くは、日本人から見れば「外国人」枠になるという事実をしっかり理解した方が良いと思う。

そこで本題に入る。

外国人が日本の改善案を出す時の注意点


個人的には、海外に生まれて、成人してから日本へ移住した外国人がTwitterなどSNSで日本の何かについて改善案を出す場合に留意すべき点は次の通りだと思っている:

①「外国が良い」を言い切らないこと

海外の事例を出す時は「こっちが良い」と断言せず、「このやり方にこういう利点がある」という様に説明すると良いと思う。

② 謙虚さを忘れないこと

私が前にも言っていることだけど、日本に住ませてもらっている以上、日本について学ぶ姿勢を絶やさないことが大事だと思っている。日本と日本人への尊敬も然りだ。自分の発言が上から目線になっていないかを確認した方が良いと思う。色々調べて理解を深める努力をし、分からない時は勝手なことを言わず「この点は分からないので教えて欲しい」と認めることが大事だと思う。

③「鶴の一声」にならないこと

発言したら対話の始まりを既に想定した方が良いと思う。どの国でも外国人に自国の批判とも捉え兼ねないことを言われたら反応したくなるのは当然のことだろう。賛成意見もあれば、反対意見もあるかもしれない。しかし最初から反論を受け付けず、言い出したらもう高みの見物というのは傲慢でしかないと思う。

因みに、この記事をあえて英語ではなく日本語で書いているのも、対応や(場合によって建設的な議論)ができる語学力を備えていない外国人による改善案の提言に対して複雑な心境だからだ。多くのフォロワー数を持つ外国人がそうした改善案を英語のみで投稿することを何度も見たが、そうした意見を日本人が反応しにくい形で投稿しているのを見ていると、本人はそのつもりじゃないとしても、どうも日本人に陰口を言っている様な印象を受けてしまう。それに、日本人に対して失礼だと思う。

もし本当に日本に住み続けたい、日本を第2の故郷の様に思っているなら、日本人と同じ目線でマイホームの将来を考えるには、日本人とオープンに対話する必要があると思う。英語で発言するならせめて2か国語にするべきだと個人的に思う。

④ 被害妄想に注意すること

これは外国人の扱い方に対する提言の場合のみに該当する注意点だ。どの国にも大なり小なり差別が存在する。しかし、日本に住む外国人の中に、すぐに「差別」という言葉を使いたがる人がいるのは残念に思う。「差別」を見つける前提で生活していれば存在しない「差別」を見つけてしまう可能性が高い。まず発言しようとしている事柄に本当に不平等、不当な扱いがあったかをよくよく考え他の可能性がないかを考慮するべきだと思う。

⑤ 口調に気を付けること

きつい言い方になっていないか注意すべきだろう。これは本来なら発言者の国籍も関係ないことだけど、外国人なら特に注意すべきだと思う。怒っているなら冷静になってから投稿する、酔っぱらった状態なら素面になってから投稿した方が良いと思う。

(先月コオロギ食について意見を書いた時に珍しくきつい口調を使ったのが良くなかったと反省している。改めて口調に注意する重要性を感じた。)

最後に日本人へのお願い

日本人にどう考えるべきかを言うつもりではありませんが、私が今後もし日本の何かについて改善提案を出させて頂いた場合、「外国人の発言」というフィルターに私の提案をかけて頂けるのは仕方ありませんが、最初だけは私の国籍を無視して発言自体の価値を考えて頂けると、個人的に嬉しいです。

この記事について皆様のご意見を歓迎いたします。

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