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弁論術ーアリストテレス

アリストテレスは、弁論術を「どんな場合でもそのそれぞれについて可能な説得の方法を見つけ出す能力」と定義しました。

その弁論術が書かれた本の日本語訳を時間がかかりましたが読んだので、大事な部分をまとめてみようと思います。

しかし、この本は、大昔の人物の定義したものであり、かつ、ワイには難しすぎたため、あまり学びを得ることができませんでした。
一文を読み解くのに30分かかるなどしょっちゅうで、本当にこれを熟知したものはすさまじい弁論家になるのだろうというくらい抜け目のない内容となっていました。

その中でも、「あーこれは何となく大事そうだな、すごい考えだな」とおもったものをここにまとめてみようと思います。

すごい時間をかけて読んだ割に大した学びは得れていませんが、それ以上に、読書家としてのレベルがかなり上がったのでこの数週間頑張って読んでよかったと思っています。

文をそのまま引用すると意味の分からない文章ばかりになると思うのでワイなりにわかりやすい文章ににしてアウトプットします。
詳しい人が見て、「これはちがうよ」となる個所もあるかと思いますがご了承ください。

1.弁論術の仕事

弁論術の仕事は、説得を成し遂げることそのことにあるのではなく、それぞれの問題にふさわしい説得の方法を見つけ出すことだ。ということもあきらかである。
この点は他のすべての技術の場合でも同じである。
(例えば医療であるが、その仕事は人の血行を完全に取り戻すことにあるのではなくて、健康回復の可能なところまで病人を導くことにあるからである。つまり、健康をすっかり取り戻すのが絶望的な病人であっても、医療はなお、有効な方法を見つけて、適切な処置を施すことができるのである)
これに加えて、真実の説得方法と見せかけの説得方法とをはっきり見極めることも、明らかに同じ弁論術の仕事である。
この点は、弁論術の場合、真実の推論と見せかけの推論とを見極めるのが同じその知識の仕事であるのと同じことである。
というのは、言論が詭弁であるかどうかは、技術の働きそのものによってではなく、論者の意図によって決まるからである。
もっとも、弁論術にあっては、知識に基づいて論ずるものも、弁論家であれば、或る意図の下に論ずるものも弁論家ということになるのに対して、弁証術の場合は、何らかの意図の下に論ずるのは詭弁論者で、何の意図もなくただ技術本来の働きに従って論ずるものが弁証家とされる。という違いはあるが。

→相手を説得すること、論破しきることが弁論術の仕事ではなく、それぞれにあった説得の方法、解決の方法を見つける能力であるということ。

2,人柄

「人柄によって」というのは、論者を信頼に値する人物と判断させるように言葉が語られる場合のことである。つまり、人柄の優れた人々に対しては、われわれは誰に対するよりも多くの信を、より速やかに置くものなのである。このことは一般にどんな場合にも言えることであるが、とりわけ、確実性を欠いていて意見の分かれる可能性がある場合はそうする。
だが、この信頼も、言論の内容によって結果されるべきであって、論者はこれこれの人間である、と先入観を抱くことによって結果するのであってはならない。
すなわち、弁論の技術を講ずる二、三の人は、論者の人柄の良さは言論の説得性に取り何の足しにもならないとして、これを弁論に技術に含めることはしていないが、事実は彼らのいうのとは違い、論者の人柄は最も強力といってよいほどの説得力を持っているのである。

→つまり、「誰が言うか」は非常に大事である、というか大事にしたくないが、大事なのが現実であるということである。

3,例証

例証は、結論される命題に対し、部分の全体に対する関係にあるのでも、全体の部分に対する関係にあるのでも、全体の全体に対する関係にあるのでもない。いや、それは部分の部分に対する、似たものの似たものに対する関係にあるのである。すなわち、二つの命題が両方とも同一の類に属しており、だが一方が他方よりもよく知られている場合に、その熟知されているものがもう一方の例証となるのである。

→例えば同じようなもので知名度が異なるものをよく使うべきということ

4,幸福がすべての目的

人には、誰にもなにか目的がある。
目的となるものは、一言で言うならば、幸福と幸福の部分である。
人が勧めたり思いとどまらせたりするのはすべて、幸福に寄与するもの、および幸福に反するもの、に関わるからである。

幸福とは①徳を伴った生、或るいは、②生活が自足的であること、或いは、③安定性のあるもっとも快適な生、或いは、④財産が豊かで身体も恵まれた状態にあり、それらを維持し、働かせる能力があること、とする。
というのは、これらのことの一つ、もしくは一つ以上が幸福であるということは、ほとんどすべての人々に認められているからである。
もし、幸福がこのようなものであるとするなら、血筋の良さ、とか、友人の多いいこと、とか、良い友を持つこと、富、良い子供に恵まれること、たくさんの子宝に恵まれること、よい老年を送ること、さらには、例えば健康、美しさ、強さ、大きさ、競技に適した能力などの身体にかかわる様々な徳(優秀性)や、名声、名誉、好運、徳など、が幸福の部分であるということになろう。
なぜなら、自分自身に属する内的な善と外から加わってくる外的な善のいずれも備わっているなら、その時こそ人は最も自足的なものとなるだろうから。すなわち、それらのほかに求められるべきものは何もないからである。

→何かをする、しないは幸福を追求することが常に根底にあるということ

5,論者が信頼される諸要素

論者が信頼されるための要素は、思慮、徳、好意の三つであると書かれている。
その理由は、論じたり助言したりしている問題で誤つことがあるのも、、これらのすべて、またはこれらのどれか一つが原因となっているからである。つまり、人々は、思慮を欠くがゆえに正しい見解を持てないのであるか、或いは、正しい見解は持っているが、品性が劣悪であるために、その見解をそのまま述べようとしないのであるか、或いは、思慮もあり、品性も優れているが、好意をを持っていないために、最後の手だてを知っていながらそれを助言しないこともありうるということなのか、そのいずれかであって、それ以外の理由はないのである。とのこと

思慮、好意はそのまま受け取ってもらって構わないが、徳の部分としては、正義、勇気、節制、鷹揚、度量の大きいこと、気前の良さ、穏和、思慮、知恵などが考えられる。
もし、徳が人に益をもたらす能力であるというのであれば、他人にとって最も役に立つ徳が最大の得であるのは必然である。

6,美しいもの

本書の中で、美しいもの(徳性のあるもの)がいくつか書かれている、
まずもって善がもたらす活動の成果、もしくは善の属性をなすようなものは美しい。
また、それに対する褒賞が名誉である場合そのものは美しい。
また、それにつき随う報いが名誉であるもののほうが、金銭であるものよりも美しい。
また、特定の個人にとっての良いものではないものは美しい。
なぜなら特定の個人にとって良いものは、自己中心的だからである。
また、生きているときよりも、かえって死んだ後に所有する可能性が大きいもの、このようなものは美しい。
なぜなら、「自分のために」という性格は、どちらかというと、生存中に所有するものに認められるからである。
また、およそ他人のために成された行動は美しい。
なぜなら、それには自分のためという意識が少ないから。
また、すべて自分自身のためではなく他人のために果たされた成功は美しい。
また、自分によくしてくれた人々のために果たされた成功もそうである。
なぜなら、それは正しいことだから。
また、善意の施しも美しい。
なぜならそれは、自己中心的でないから。
また、人々がそのことで恥ずかしく思うものと正反対のものは美しい。
なぜなら、人々が恥ずかしく思うのは、醜いことを現に口にしたり行ったりしているときとか、その気持ちのある時であるから。
また、人々がそれを手に入れようと、ひるむことなくあれこれ心を砕くものは美しいものである。
なぜなら、世の名声に通ずるよいことの場合に、このような経験をするものであるから。
また、本性上より優れている者が持っている徳(優秀性)や徳の働きは、より美しい。
例えば男性の優秀性は女性のそれよりの美しい。
また、自分よりはむしろ他人のほうがその恩恵を享受するような徳は、より美しい。
それゆえ、正しいことや正義は美しいのである。
また、敵に対して報復を加え、和解で済ませたりしないことは、美しい。
なぜなら、借りは返すのが正しいのであるが、正しいことは美しいことであるし、それに、負けていないことが勇気のある人の特徴であるから。

などなど、このほかにもたくさん美しいものについて書かれている。。

これらの美しいことを行う人間は徳のある人間として人々に信頼されるのである。

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ワイがこの本を読んでアウトプットしたいと思ったことはこれくらいである。
そのほかはちょっとそっとワイの脳みそでは使い方の分からない高度な内容であるため無視させてもらう。
例証や格言についての内容も興味深いものがあるが、ワイには必要のない定義としての内容だったので興味のある人はぜひ読んでみるとよいでしょう。
頭の良い人が読めばきっと面白い内容になっていると思います。

個人的にはこの本は読むのが苦痛だったので、感情を伴った学習というよりは、繰り返しアウトプットして習得する知識のみとなりました。
この苦痛を乗り越えたおかげで、他の本を読むスピードが早くなったような気がするので気に病まずにどんどん次の本を読んでいこうと思います。


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