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シン・ウラシマ ニ巻

この前、電車に乗っていた時ね、
ある子連れの女性がいたんだ。その子どもは電車の中を走り回り、大声で叫んでいるんだ。おもちゃを片手にね。お母さんは、それをただずっと放置しているんだ。今のご時世、静かにしていなきゃ、だめだろ?
それから2駅過ぎて、痺れを切らした乗客の1人が、そのお母さんにいうわけだ。
「あのさ!自分の子どもが周りに迷惑かけているのがわからないの?
ってね。そうしたら、
女性が涙を浮かべながら、こういうんだ。

「ええ、本当にごめんなさい。でも、この子のお父さんがさっき、亡くなったんです。私は、この子になんて声をかければいいのかわからなくて。

乗客は、子どもが無邪気に遊んでいるのを眺めていた。

視点の切り替えの話はよくある。なぜ、僕らはそう考えるのか。それは、自分にとって都合の良い方向や視点に切り替えるクセがあるからだ。誰かは決して悪くない。この人が正義だなんてものは、実はないのかもしれない。光が当たっているということは、そいつの影はますます濃くなるからだ。だったら、光もなんでも透けてしまう薄っぺらい人間の方がいいのか。それも違うよな。ただ俺たちにできるのは、表と裏があるのが当たり前で、それを知らないのは俺たちの罪だってことだ。決めつけだか、偏見ってものはよくねぇ。

おいおい、浦島太郎の物語に、そんな深い意味なんてあるのか?ばかいうなよ。どこが深いんだ。俺たちは歴史すら浅いんだぜ?俺たちが決めつけたり、偏見するのは当たり前なんだ。だからそういうクセを自覚しろって話なんだ。
人間ってのはな、理性をもった頭が悪い動物なんだよ。

《誰が悪いのか②》
亀は、人間の子どもにいじめられていた。

その亀がどうして悪者扱いされなきゃいけないのか。  

亀が、悪者でなければ、ストーリーが成立しないからとも取れる。

この世界には、
2つの時間軸の異なる世界が存在している。 

一つは、人間界。

そして二つ目に竜宮城のある世界である。

ここでは宮界と呼ぶことにする。

人間界では、悪事悪業を働いた者への罰として、
島流しというものがあった。

島流しとは、名前の通り、
罪人を島または遠くの地へ送ることであり、
江戸時代などではよく見られたものだ。

実は、亀は島流しに遭っていたのではないか。

古来、
中国では鶴は千年、亀は万年
という諺があるくらい、
亀は重宝され長寿の象徴とされた。

亀は長生きをする動物。

人間にとっては非常に長い時間も、
亀の視点で考えれば、
短い時間に考えることができなくはない。

亀が、時間軸を操る象徴となる。

これはつまり、時間軸を超える人間界と宮界を橋渡しする動物ということが考えられる。

また、ここはまだ推論の余地があるが、
亀は元来宮界の生物であり、
島流しにあった亀が人間界へ流された
と考えると噺が通る。

つまり、人間界にいる亀たちは、
罪を持った亀が祖先であり、
その亀が人間界で繁殖をし
今に至っていると考えられる。

亀の祖先は、
罪を抱えて人間界で栄えたのである。

しかし、この話を進めると、驚く発見がある。

亀がもともと人間界ではなく、
宮界であることが、
少なくとも人間にも当てはまるということだ。

亀は、時間軸を操ることができるから、
浦島太郎を竜宮城へ連れて行くことができた。

人間は時間軸を操ることができない。

がしかし、竜宮城には人間がいるのである。

つまり、
人間はなんらかの形で竜宮城へ連れてこられた
可能性が高い。

人間は、突如居なくなることを失踪とよぶ。

この神隠しに近いものは、
実は亀による人攫いではないかと考える。

生物の根源は、この大海である。

一度人間界で進化した人間が、
亀によって誘拐され、宮界で人生を終える。

そんな世界が、そこにはあるのではないか。

人間は、頭を持った悪い動物。

これは、
実はこのストーリーに置いて非常に重要な視点である。

亀が重宝されるのは、人間と同じく、
原罪を背負っているからなのか。

亀が島流しに遭い、
人間界にどうして送られたのか。

それは、人間によって迫害をされるからだ。

亀がいじめられていたことは、
宮界の者にとって、想定内のことであった。

でなければ、わざわざ宮界へ島流しにすることはない。

ここで注意して欲しいのが、
この島流しは、
江戸時代に行われていたものと少し手順が異なる。

それは、自分から流されに行くということだ。

つまり、宮界の人間には亀を島流しに遭わせることは物理的には不可能である。

なぜなら時間軸を操ることが人間にはできないからだ。

もし時間軸を操ることができるのであれば、
玉手箱を開けても、なんらバッドエンドにはならない。

とりあえず今日はここまでとする。

次回は、
その亀が行った悪事悪行とはなんなのか
ということを話す。

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