見出し画像

【音楽雑記】「波乗りジョニー」「白い恋人達」夏・冬のスタンダード曲を生み出した2001年

サザン最大のヒット「TSUNAMI」がリリースされ、年間チャート1位になったのが2000年。ウンナンのバラエティ番組内の恋愛リアリティ企画『未来日記』のテーマ曲として効果的に使われたことも追い風に幅広い世代に刺さる曲になった。
そんな大ヒットがあった一方でサザン初のメンバー脱退も2000年8月。サザンは活動を休止してメンバーはソロ活動に入った。

「波乗りジョニー」(2001年7月)

そして迎えた2001年、桑田さんがソロでリリースしたシングル曲が「波乗りジョニー」だった。この曲はコカコーラのCMソングとしてテレビから流れてきた。ちょっと小洒落た映像とともに聴こえてきたこの曲はめちゃめちゃ良い曲だった。

サザンもソロの桑田さんも常に変化しながら良い曲を出し続けているが、素人の自分的には「TSUNAMI」でさえ、はいはい、いつも安定の桑田節ねという感じに捉えていた。しかし、この「波乗りジョニー」はちょっと抜けている感じがした。

そして、それまでソロ名義の曲は概ねサザンと違うアプローチをとっていたが、この曲についてはサザンでやっても違和感のない曲。明るい曲なのにノスタルジックでせつなく涙腺を刺激する。桑田さんのそれ系ソングでもすこぶる完成度が高い曲と思った。

そんなコカコーラのCM「こんなに楽しいのに何故泣きたいだろう」

そして公式MV

しかもクレジットやwikiなどによると、この曲はギター、ベースやキーボードの一部も自身で演奏しているらしい。バンドを離れ一人、作品作りに専念した時期が故に濃密な曲づくりができた名作なのかもと思う。

「白い恋人達」(2001年10月)

そして「波乗りジョニー」から3ヶ月ちょっと。今度は冬のバラードをリリース。
この曲もコカコーラのCMソングになっていた。個人的には桑田さんの曲の中でフェイバリットの曲だ。

AメロもBメロも流れるように隙がなく、テンポインしたサビも極上。そして最後の「一人泣き濡れた夜にwhite love〜♪  」のところのメロディ、こんなサビの終わり方なかなかない。
そして桑田さんが弾いていると思われるビートルズっぽいギターソロに続く間奏部分のコーラスワークも素晴らしい。
そして何と言っても鳥肌モノの仕掛けが最後のサビの後に大サビが来たところだった。「♪ただ逢いたくて もうせつなくて 恋しくて、、、涙〜♪」

歌のメロに加え間奏のエンディングもキャッチーなメロディに溢れている。変化に富んだ曲だが、考え抜いて絞り出した感がない。むしろ溢れ出るメロディを詰め込みつつも開放感もある。まだこんな鉱脈も持っていたのか、と思ってしまった。

「波乗りジョニー」「白い恋人達」はその後もシーズンになると聴かれる夏と冬の定番曲になった。ちょっと前にはユニクロのCMでも使用されていた。

「可愛いミーナ」(2002年6月)

この2曲に続き、2002年6月にリリースされた「可愛いミーナ」もコカコーラのCMソングだった。ずんちゃ、ずんず、ちゃのリズムの桑田節が炸裂する湘南サウンド。当時、個人的は「波乗りジョニー」「白い恋人達」に続く名曲3部作だと思っていた。

ただ、この曲はA面曲としてリリースされず「東京」というちょっとコアでマニアックなシングルのカップリング曲という位置づけだった。どう考えても「可愛いミーナ」がA面曲だが、桑田さんのバランス感覚であえて目立たなくさせたのかもしれない。この曲もサザンの曲との差別化が少ないのも理由のひとつかもと思う。続く桑田さんのソロアルバム「ROCK AND ROLL HERO」にもこの3曲は収録されていない。

だいたいアーティストはパターンの違う2、3曲でも名曲を作れば一流どころに入れることも多い。もしも仮に桑田さんがこの年にデビューしたとして、この3曲を連続して出したら、それだけで一流アーティストの仲間入りができるほど、凄い曲だと思う。そして実際には46年に及ぶキャリアの中のちょうど折り返しの頃、23年前の1年間のことだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?