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第3回 特許の鉄人~クレーム作成タイムバトル~の出場選手が第2試合の発明とクレームについて、つらつらと書く

1.参戦について

 「特許の鉄人」への参戦については、特許の鉄人なるイベントの参戦者を募集されているという、むつみめもさんによるTwitter(X)の告知を見たのが切欠でした。対戦相手は佐竹星爾先生ですと告知されていたと思います。佐竹星爾先生は、ZoomやSpatial-Chatではお名前は前々から知っておりましたし、どのような対戦になるのか興味があったというのもあります。また、この時点で「特許の鉄人」は、新宿ロフトワン/プラスで開催されるようなアンダーグラウンドなトークイベントかと考えておりました。なにせ、「クレーム作成バトル」ですから、クレームドラフティングのマニアという希少な方でもないと観戦しないだろうと思っていたからです。実際の「特許の鉄人」のイベントは、マニアックなイベントというよりは、エンターテインメントとして昇華された、明るく楽しいイベントでしたので大変に驚きました。本イベントの司会の河原あずささん他、イベントを演出したスタッフの方々に脱帽です。

 なお、佐竹星爾先生が書かれた記事はこちらです。

知財塾によるイベント開催レポートはこちらです。

知財塾の運営メンバーの加島先生が書かれた舞台裏の記事はこちらです。

2.機材について

 「特許の鉄人」の連絡用Slackにて、各選手は、当日の機材としてノートパソコンを持ってきて欲しい旨の連絡がありました。ノートバソコンは持っていますが、25分間というタイムリミットのなか、普段あまり使わないノートパソコンのキーボードでは、キー入力に時間を取ることは必至です。常用しているキーボード(Realforce108UD-A キー荷重30g)は結構重いため、「特許の鉄人」の会場に持っていくか否か悩みましたが、結局は持ってゆく事にしました。これとノートパソコン(17インチ画面)を持ってゆくとなると、荷物は結構な重量となります。結果的に、重いながらもRealforceキーボードで入力することで、迅速にクレームドラフティングできたので、持って行ったのは正解だったと思います。


Realforce 108UD-A

 なお、対戦者の佐竹先生もキーボードとしてRealforce R3HC11(キー荷重45g)を持ってこられていました。テンキーレスタイプなのでコンパクトであり、かつ現行機種なので入手が容易です。

Realforce R3HC11

3.クレーム作成のサポートソフトウエア

3.1.親指シフトエミュレータ「紅皿」

 自分は、パソコンに親指シフトエミュレータ「紅皿」(自作)を導入して、親指シフト(NICOLA)で入力できるようにしています。これにより、いわゆるローマ字入力に比べて約1.7倍の速度で入力可能としています。あまりにも基礎的なところですが、短時間にクレームドラフティングするためには、高速なキー入力環境は必須とおもいます。
 同じ事務所の同僚にも親指シフト入力や「紅皿」の使用を勧めたりもしていますが、親指シフト入力を新たに覚えるのはハードルが高いらしく、なかなか使ってもらえません。でも、自分の経験上、親指シフト入力の習得は、クレームドラフティング速度を高める上でかなり有効です。なお、自分は、6年くらい前に親指シフトの入力を覚えるのと並行して、「紅皿」を作成しました。
 この「紅皿」は、様々な機能を追加した結果、コードがあまりにも複雑になってしまったので、再コーディングしたいと考えています。

紅皿のダウンロード先は以下です。
https://osdn.net/projects/benizara/releases/

3.2.明細書チェックソフトウエア「明細書Lint」

 自分は、パソコンに明細書チェックソフトウエア「明細書Lint」(自作)を導入して、クレームの形式面のチェックを機械化しています。これにより、自分が所属する事務所では、顧客への納品前に明細書Lintによるチェックを必須としています。自分や他人が起案した明細書を迅速にチェック可能として、明細書の生産性を向上させるためです。
 明細書Lintは、請求項に対して、前記付き名詞句に先行詞が記載されているか否か、引用している請求項が択一的であるか、請求項が自身の番号やそれよりも大きい番号を引用していないか、異なるカテゴリの請求項を引用していないか、マルチマルチクレームを記載していないか、発明の名称とプリアンブルが一致しているか、等の形式面を機械的にチェックします。特に、先行詞の記載のチェックについては、或る程度以上の長さの請求項になると、手作業ではチェックに厖大な時間と労力が掛かりますので、機械的なチェックツールが必要です。
 明細書Lintは、Wordのアドインとして実装し、Word画面上にてボタン1つでチェックできるようにしています。Wordに慣れている特許技術者や弁理士に抵抗なく導入してもらうためです。そして、誤記部分にWordのコメントを付けて、コメントにエラーメッセージを記載するようにしています。明細書の誤記の表示方法は幾つか試しましたが、Wordのコメントとして表示する方法がいちばん直感的で理解しやすいとおもいます。
 なお実際には「特許の鉄人」で記載した請求項の記載量くらいですと、明細書Lintを使わず、目視でチェックしてもさほど時間は変わりません。しかし、いつもの環境でクレームドラフティングするため、ノートパソコンに明細書Lintの最新バージョンをインストールして、会場に持って行きました。「特許の鉄人」の対戦中に、いらぬところに脳を使いたくないためです。 

4.試合の振り返り

 各試合のジャッジのポイントは以下3点です。
・発明のポイントを的確に抑えてしっかりと文章にできているか。
・従来技術との差異を明確にできているか。
・実際のビジネスに役に立つクレームになっているか。
 これらのポイントは本当によく考えられたもので、実務でも充分に通用します。これを踏まえて、自分が担当する第2試合では、単なるクレーム作成のエンターテインメントとしてではなく、本当に実務として依頼された場合を想定してクレームを記載しました。

4.1. 薪割り機(キンドリングクラッカー)

 第1試合は薪割り機(キンドリングクラッカー)ということで、形状や使用観からクレームを作成するとのことでした。上側のリングによって薪が飛び散って怪我をするのを抑止すること、片手で簡単に薪割りできること、反転させると椅子としても使えることなど、色々とクレームとして抑えるべきポイントがありました。発明プレゼンターの澤井さま、勝間さまが、実際に薪をセットして割るというデモンストレーションを実施されていました。
 谷先生、田村先生ともに、作成中のクレームを拝見しましたが、どちらも味があって甲乙つけがたい感じでした。

4.2.妄想未来発明対決「脳波買取センター」

 さて第2試合は、自分が選手として参加しました。妄想未来発明対決「脳波買取センター」のクレームを記載するという試合です。


 脳波買取センターの図(URL:https://bwtc.jp/より)

 脳波買取センター(BWTC)とは、市民から脳波を買い取り、これを絵画に変換して市民に販売するというビジネスモデル発明であり、株式会社知財図鑑の荻野さまが発明プレゼンターです。中央のBWTCは、キオスク端末風の装置として実現されています。

脳波買取センターが販売する絵画(URL:https://bwtc.jp/より)

 BWTCが販売する「絵画」は、例えば上記のようなものです。絵画の下に書かれているのは、おそらく絵画のタイトル、絵画に変換した脳波測定者のイニシャル、脳波の測定日時、絵画の価格なのでしょう。
 ここまで発明内容を聞いた時点で、審査員の鮫島先生から「どのようにクレームを記載すべきか検討がつかない」旨を仰っていました。自分も同様であり、この時点では、特別な技術的特徴(STF)を何処に見出すべきか不明でした。
 本発明では、脳波を販売した市民と、脳波を変換した絵画を購入する市民とは、どうやら別人らしいです。つまり、プリクラのように、自分の脳波を変換した絵画が欲しいという動機ではない訳です。すると、市民がこの絵画を購入する動機は、ひとえに絵画としての価値によるものです。
 本発明は、市民から脳波を買い取る部分、買い取った脳波を絵画に変換する部分、絵画を販売する部分の3つに分けることができます。ここで自分が着目したのは、このビジネスモデルにおける収益化部分です。特許とは事業の要となる収益化部分を守るものだからです。「脳波買取センター」では、脳波を変換して販売することではじめて収益化できます。ビジネス上の観点でいうと、「脳波買取センター」は、絵画を販売する部分か、または、買い取った脳波を絵画に変換する部分に、特別な技術的特徴(STF)を見出すことが必要です。そこで、自分は、買い取った脳波を絵画に変換する部分に特別な技術的特徴(STF)、いわゆる「特許性」を見出すべきであると当たりを付けました。

 特許庁調整課審査基準室「コンピュータソフトウェア関連発明に係る審査基準等について」には、「特定分野において人間が行っている業務やビジネスを行う方法をシステム化し、コンピュータにより実現することは、通常のシステム分析手法及びシステム設計手法を用いた日常的作業で可能な程度のことであれば、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる。」と記載されています。そして、当業者の通常の創作能力の発揮に当たる例に該当することは、進歩性が否定される方向に働く要素となります。つまり、本発明の絵画を販売する部分は、画廊で絵画を販売する業務をシステム化することに該当し、それだけでは進歩性(特許法第29条第2項)が否定されるおそれがあります。


画廊で販売されている花の絵

 また、脳波を買い取る部分に進歩性があるようにも思えませんでした。生体情報を提供して対価をもらう仕事として、従来から「治験」が知られています。「治験」は、「くすりの候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験のことを言い、治験モニターのアルバイトなども広く募集されています。治験バイトも、生体情報を提供して対価を受け取る仕事に該当します。つまり、脳波を買い取るという構成要件は、治験という業務をシステム化してコンピュータにより実現することに相当します。
 人間が行っている業務やビジネスを行う方法をシステム化し、コンピュータにより実現することは、当業者の通常の創作能力の発揮に当たり、進歩性(特許法第29条第2項)が否定されるおそれがあります。

治験モニターの業務

 なお、発明プレゼンターの荻野さまから発明に関するプレゼンテーションを受けた時点では、どうやって脳波から絵画に変換するのかが不明でした。この変換部分について掘り下げずにクレームを書いてしまうと、サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)や実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号)で拒絶されてしまいます。
 変換部分について発明プレゼンターの荻野さまにヒアリングすると、一次元の脳波の時系列情報を二次元にマッピングする処理であることが判りました。更に具体的にいうと、一次元の脳波の時系列情報を縦方向(主走査方向)の濃淡として描きつつ横方向(副走査方向)にずらしながら二次元平面全体を埋める処理のようです。これならば実施可能要件やサポート要件は満たせそうですし、従前の医療機関で脳波を診断するグラフを生成する処理との相違点はありそうですが、もし、同様の画像が論文等で既に発表されていたならば、新規性(特許法第29条第1項第3号)または進歩性(特許法第29条第2項)で拒絶となります。これ以外の発明のバリエーション、例えは一次元の脳波の時系列情報を螺旋状に二次元にマッピングする態様などを発明プレゼンターの荻野さまに問いかけたのですが、あまり、この部分のバリエーションは想定されていないようでした。
 ヒアリング中に、審査員の鮫島先生は「弁理士がクレームを作成するプロセスが明示されていて興味深い」旨を仰っていました。また審査員の奥村先生は、「画像だけではなく立体ではどうか」とのコメントを戴きました。ただ、発明プレゼンターの荻野さまが考える本発明の技術的範囲は、あくまで画像に限定される雰囲気でしたので、反映できませんでした。
 発明者へのヒアリングは全く足りていませんが、残り時間の関係から、ここまでの情報に基づいて、試合中に以下のクレームを記載しました。但し、クレーム記載中にも口走ったように、特許的には極めて脆弱です。引用文献ひとつで、たちまち進歩性違反で拒絶されるためです。

【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】
 コンピュータに、
 利用者の脳波の時系列情報を入力する手順、
 前記脳波の時系列情報を二次元の画像に変換する手順、
 を実行させるための画像生成プログラム。
【請求項2】
 前記利用者の脳波の時系列情報を縦横に走査して二次元の画像に変換する手順、
 を前記コンピュータにさらに実行させるための請求項1に記載の画像生成プログラム。
【請求項3】
 前記利用者に前記脳波の時系列情報の対価を決済する手順、
 を前記コンピュータにさらに実行させるための請求項1または2に記載の画像生成プログラム。
【請求項4】
 前記二次元の画像をマーケットサーバに送信して購入希望者に販売可能とする手順、
 を前記コンピュータにさらに実行させるための請求項1または2に記載の画像生成プログラム。
【請求項5】
 利用者の脳波の時系列情報を入力する入力部と、
 前記脳波の時系列情報を二次元の画像に変換する画像変換部と、
 前記利用者に前記脳波の時系列情報の対価を決済する決済部と、
 を実行させるための画像生成装置。

 余談ですが、本クレームを作成しているときに、いつものように明細書Lintで請求項のチェックを掛けると、拍手を戴いてしまいました。他の事務所の先生方もfugo(R&C IP works)などの明細書チェックツールを使ってクレームを作成していると思うのですが、珍しいものなのでしょうか。
 そして、3分間のプレゼンテーションタイムで内容説明しました。特許性を見出さなければならなかった脳波の画像への変換部分をメインクレームとして、詳細な変換について段階的に請求項2に記載したこと、対価を決済する構成要件と絵画を販売する構成要件の重要性を順に従属項に記載し、最後に装置発明を記載したことなどです。
 事後的に請求項を見てみると「二次元の画像」というのは、やや冗長ですね。画像とは平面上に描かれた絵や像の総称ですから、当然に二次元です。

4.3.ブラッシュアップ案(その1)

 第2試合「脳波買取センター」のクレームをどうブラッシュアップすべきかを考えてみました。以下、脳波買取センターの図から看取できる構成を、脳波の買い取りと、脳波の絵画への変換と、絵画の販売の3つに分けて、先行技術と対比しつつ検討します。

(脳波の買い取り)
 特許第6996144号公報では、提供者から生体情報の提供を受けて、研究協力料を支払うデータ管理システムが記載されています。つまり、特許第6996144号公報には、生体情報を買い取る発明が開示されています。

特許第6996144号公報・図7

 特開2007-323528号公報には、生体情報の計測の動機付けとしてポイント(インセンティブ)が付与されることが記載されています。

特開2007-323528号公報・図1

 単に脳波を買い取るという発明では、治験モニターを公用例として引用されるか、または上記文献を公知文献として引用され、生体情報として脳波を選択することは設計事項に過ぎないとして進歩性(特許法第29条第2項)で拒絶を受けるおそれがあると考えました。本発明のクレームでは、これら先行技術との相違点を見出す必要があります。
 また、脳波買取に伴い、脳波提供者の属性を入力することが相違点となり得るか検討しました。しかし、「治験」において治験モニターの属性情報を収集して、治験モニターの生体情報と紐づけて管理することと同様であり、当業者の通常の創作能力の発揮に当たり、進歩性(特許法第29条第2項)で拒絶を受けるおそれがあると考えました。

(脳波を絵画に変換)
 特許第6393990号公報には、脳波を取得して、脳内イメージに近い画像を生成するという発明が記載されています。

特許第6393990号・図1

 特開昭61-015229号公報には、人の脳波を検出して、人が想起しているイメージの知覚パターンを出力する発明が記載されています。こんな昔から人の脳内イメージを出力する発明が出願されていることに驚きました。

特開昭61-015229号公報・第1図

 新潟大学の谷川久, 武井廉, 長谷川功、「皮質脳波(ECoG)信号を用いた脳内イメージ情報のデコーディング」の論文が2016年に発表されています。余談ですが、皮質脳波(ECoG)とは、脳の皮質表面にシート状の電極を置くことにより計測した脳の電気的活動です。つまり、侵襲性の計測方法であり、開頭手術が必要です。
 本発明の審査において、特許庁の審査官により、脳波を画像に変換することは上記文献に記載されており、脳波を変換した画像を絵画として取り扱うことは設計事項に過ぎないと認定されるおそれがあります。なお、脳波の時系列情報を縦横に走査して画像に変換する構成要件ならば、新規性や進歩性を認められる可能性があります。

(絵画の販売)
 特開2003-016300号公報には、絵画等作品の販売に係るビジネスモデル発明が開示されています。

特開2003-016300号公報・図1

 単に絵画を販売するという発明では、上記文献を公知文献として引用されて進歩性(特許法第29条第2項)で拒絶を受けるおそれがあると考えました。本発明のクレームでは、これら先行技術との相違点を見出す必要があります。

(脳波買取装置をキオスク端末として実現)
 脳波買取装置をキオスク端末として実現することが、先行技術との相違点となり得るか検討しました。しかし、単にキオスク端末として実現したというだけでは設計事項と認定されるおそれがあります。

(特別な技術的特徴(STF)について)
 本発明にて脳波情報の買い取り価格は固定ではなく、何等かの演算によって求めているようでした。治験モニターが受け取る報酬は、生体情報に応じたものではありません。よって、脳波情報の買い取り価格を算出することが、従来技術に対する差異になりそうです。
 そして、本発明の従来技術に対する差異は、買い取った脳波情報を実験や臨床試験に用いるのではなく、絵画に変換して販売することです。そこで、本発明の特別な技術的特徴(STF)として、絵画の商品性に応じた買い取り価格を算出するという構成要件が有り得るとおもいました。商品性の高い絵画に対してならば、多くの対価を支払ってもビジネスが成立するからです。
 ここから、脳波情報を変換した絵画の鮮明さに応じて当該脳波情報の対価を決定する構成要件を考えました。鮮明な絵画ならば商品性が高いと考えたためです。
 また、脳波情報の情報量に応じて当該脳波情報の対価を決定する構成要件を考えました。脳波情報の情報量が多ければ、より鮮明で商品性の高い絵画に変換できると考えたためです。
 更に、脳波情報を変換した絵画の商品性を直接に評価する構成要件を考えました。この構成要件は事業的価値が高いため、権利化できたならば他社の参入を阻む強い特許になりそうです。この構成を実現するには、脳波情報を変換した画像とその販売成績の組み合わせを教師データとして学習した機械学習モデルを準備すればよさそうです。
 そして、脳波情報の対価に限られず、絵画の販売価格を併せて決定すればよいと考えました。従来、絵を販売するときには、人がその販売価格を決めていました。これを、上記の当該脳波情報の対価を計算するのと併せて機械的に演算する構成要件ならば、特別な技術的特徴(STF)になりそうです。例えば、脳波情報の対価の10倍に設定する、などです。
 なお、これらの構成要件を特許請求の範囲に実際に記載するためには、必ず発明者にヒアリングしてOKを貰わなければいけませんので、以下のクレームはあくまで仮案です。また、単純化のため、プログラムクレームとその従属項だけを記載しています。請求項1は、買い取り価格を脳波情報に応じて決定する構成要件で進歩性を狙っています。

【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】
 コンピュータに、
 利用者の脳波情報を取得する手順、
 前記脳波情報を画像に変換する手順、
 前記画像に基づき、前記利用者に支払う前記脳波情報の対価を算出する手順、
 を実行させるための画像変換プログラム。
【請求項2】
 前記脳波情報の対価に基づき、前記画像の販売価格を算出する手順、
 を更に実行させるための請求項1に記載の画像変換プログラム。
【請求項3】
 前記脳波情報は、時系列情報であり、
 前記画像は、前記時系列情報を縦横に走査して変換したものである、
 請求項1に記載の画像変換プログラム。
【請求項4】
 前記脳波情報の情報量によって、前記対価を算出する手順、
 を実行させるための請求項1に記載の画像変換プログラム。
【請求項5】
 前記画像の鮮明さによって、前記対価を算出する手順、
 を実行させるための請求項1に記載の画像変換プログラム。
【請求項6】
 前記画像の商品性によって、前記対価を算出する手順、
 を実行させるための請求項1に記載の画像変換プログラム。
【請求項7】
 脳波情報を変換した画像とその販売成績の組み合わせを教師データとして学習した機械学習モデルによって、前記画像の商品性を決定する手順、
 を実行させるための請求項6に記載の画像変換プログラム。

 上記請求項案では、脳波情報の対価を算出して、その対価から絵画の販売価格を算出していますが、逆も有り得ます。つまり、絵画の販売価格を算出したのちに、脳波情報の対価を算出してもよい訳です。このように考えたクレーム案を以下に示します。

【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】
 コンピュータに、
 利用者の脳波情報を取得する手順、
 前記脳波情報を画像に変換する手順、
 前記画像に基づき、前記画像の販売価格を算出する手順、
 を実行させるための画像変換プログラム。
【請求項2】
 前記画像の販売価格に基づき、前記脳波情報の対価を算出する手順、
 を更に実行させるための請求項1に記載の画像変換プログラム。
【請求項3】
 前記脳波情報は、時系列情報であり、
 前記画像は、前記時系列情報を縦横に走査して変換したものである、
 請求項1に記載の画像変換プログラム。
【請求項4】
 前記脳波情報の情報量によって、前記画像の販売価格を算出する手順、
 を実行させるための請求項1に記載の画像変換プログラム。
【請求項5】
 前記画像の鮮明さによって、前記画像の販売価格を算出する手順、
 を実行させるための請求項1に記載の画像変換プログラム。
【請求項6】
 前記画像の商品性によって、前記画像の販売価格を算出する手順、
 を実行させるための請求項1に記載の画像変換プログラム。
【請求項7】
 脳波情報を変換した画像とその販売成績の組み合わせを教師データとして学習した機械学習モデルによって、前記画像の商品性を決定する手順、
 を実行させるための請求項6に記載の画像変換プログラム。

5.おわりに

 先ずは、このような楽しく興味ぶかいイベントを企画・運営された知財塾の加島先生、むつみめもさん、Miyaさん、河原あずささんほか多くの方々に感謝いたします。Miyaさんにはイベント開催レポートを執筆いただき、ありがとうございました。次年度も特許の鉄人イベントを開催されるとのことで、今からどのような発明が出題され、どのような選手が出演されるのか楽しみです。
 また、第1試合で活躍された谷先生と田村先生、そして第2試合で対戦させていただいた佐竹星爾先生、ならびに発明プレゼンターの澤井さま、勝間さま、荻野さま、審査員の甲斐先生、木本先生、押谷先生、松本先生、解説の鮫島先生、奥村先生には大変に御世話になりました。


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