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短歌

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皐月 短歌 後半

皐月 短歌 後半

角砂糖世界における崩壊が紅茶の中に広がっていく

落日の色侘しくて風になりたい語ることなく気づかれもせず

短歌って女々しい歌は好きだけどエモい入るとちょっとうざいな

ぼんやりと目覚めた朝は雨の音いやだいやだと駄々をこねたい

貝殻を集めてできた携帯にもしもしと波うちかえす声

皐月 短歌 前半

皐月 短歌 前半

微睡にひとりぼっちをかみしめる毛布かぶって朝 雨模様 

いつの日かやさしいものになれるかなひとり見上げる星の降る夜

今もまだ君が隣にいるように送電線は夏を迎える

あ、あれ?三首しか選べなかった……

卯月 短歌 後半

卯月 短歌 後半

たんぽぽの綿毛舞う空怖くって耳を塞いでしゃがみ込んでた

心地よい風に吹かれてここにいるここにいるけど少し寂しい

さらさらとさよならと言う音がする乾いた砂が肺にも積もる

黄昏があなたの声と暮れていく雪の匂いを残したままで

紅色に染まり始めた空に問うもういいのかな悲しむことは

交差点赤信号が点滅しまぁいいかっと愛がすり減る

泣いてるの?今夜は月を半分こ 大きい方は君にあげるね

ひとりでも

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卯月 短歌 前半

卯月 短歌 前半

ふかふかの草のにおいを染み込ませ夕陽を浴びて溶けちゃいたいな

うとうとと水面に揺れて眠りたい泣いて拗ねたり甘えてみたり

もの憂げな月を隠して雲になる疲れた海に優しい雨を

蒲公英の綿毛にひかる雨しずくそんな悲しい顔をしないで

この海をちぎって風に飛ばすからあなたの街に潮風届け 

陽だまりで穏やかな笑み浮かべたらそれだけでいい。幸せですか?

ほろり散る花びらさえも春ならば泣けない涙どこに隠

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弥生 短歌 後半

弥生 短歌 後半

最後まで冬は君だけ見送っていつかまたの日ひと匙のジャム

ちょこちょこと言葉散りばめセキレイが名残雪にも春のお知らせ

いつかねと約束できる今が好き月が満ちても欠けたとしても

まどろみに時間と君を奪い合う勝てなくたって好きが満ちてる 

溜息を水色にして雨の朝ときおり金魚尾ひれゆらゆら

感情の処理が上手にできなくてバネ定数を計算してる

この冬は氷砂糖の海であり青が戻れば風も寂しく

今はまだ

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弥生 短歌   前半

弥生 短歌 前半

早咲きの桜流れてさよならを口にしそうになるね僕たち

モノクロの声なき海に影ふたつ三月春はまだ忍び足

雨が降るあえて言うことないけれど君の唇震えていたね

街灯は寂しげですか海沿いの寡黙な雪の降る街でした

指先で撃たれたふりの子犬より私の方が可愛く死ねる

ふわふわと風に漂い春になる君の助手席空いていますか

ミモザ揺れ小首傾げるすまし顔僕は僕なり君の手のひら

君の冬雨に触れれば溶けるのに

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如月 短歌

如月 短歌

2月に詠んだ短歌をまとめました。

優しさを折って延ばしてミルフィーユいちご乗せたら紅茶を淹れて

少しずつ解き放たれて糸屑をバッパッパッて払っているの

いつだって青空でいる いたいから君の夜が必要なんだね

ぼんやりと音を失くした朝にいる 冬を惜しんでしとしとと雨

片方の失くした靴を探す日は心許ない雨の始まり

春の音を取り戻したと言う海の君の便りを茉莉花茶と読む

指先が古い書棚の三段目足

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