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俳句

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#定型詩

卯月 俳句 後半

卯月 俳句 後半

父を待つ蓮華の花の秘密基地

春日傘無口なままの昼下がり

腹出して何様ですか桜鯛

水玉の傘をふりふり穀雨かな

ハルジオン記憶くすぐり春深む

花影に蜂の死骸の夢うつつ

逃げ水に棲む人探す旅路かな

車窓から春田流れて空だけ青い

昭和の日持ち歩けない過去の人

卯月 俳句 前半

卯月 俳句 前半

四月馬鹿寝癖のままで嘘をつく

桃の花愛でてよ撫でて愛してよ

縁側の沓脱石に虻死せり

雨だれに踊る清明夜明け前

花衣落ちた椿はだれ拾う

若鮎の跳ねる水面に銀の月

理不尽な呟きに咲くフリージア

薄墨の空に蝶舞う野辺送り

オリーブはアスパラガスと浮気中

朝のこと。散る音もなく春落葉