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入院しちゃえば楽だった、独房みたいに狭くて古くて汚い個室だけど、一泊4万円弱だから、下へも置かない手厚い看護をしてくれるし徘徊の心配も、とりあえず無い。

昼間はトン子、夕方は僕が様子を見に行くことに決め、僕は茨城から、同居のための荷物&ラブラドールのジョナを連れてきた。

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「悪かったな、これからは定時に散歩が出来るからな」
老犬の頭を撫でる、通いの介護では、何かと遅くなり、部屋に敷いたペットシーツでトイレをさせることも有ったが、犬には、ちょっと酷だった。

1階の老化にゴムシートを敷いて、ジョナの水と茶碗を置き、一緒に寝た。

中央各停で表門から入るか 都営地下鉄で裏から入るか、僕は楽しんでいた。 久々の都会生活、地下鉄で動けるのが嬉しかった。

毎日16時、夕食の時間に行き喰っているのを看るだけ、お得意の、美味しいから食べなさいも出たが、確かに難民キャンプの配給かっていう病院食だった。

「はよ元気になって、蕎麦でも食べますか? 神田の蕎麦屋?麻布へ たぐりに行く?」
親父は目を輝かせて居る

「ビーフシチュー」
「じゃあ伊勢丹で牛を買って こさえましょう、赤ワインたっぷりで、だから早く退院してね」

13日間の入院だった、支払いをするのに父のキャッシュカードで現金を下ろし、支払った、なんやかやで7桁。

親父が帰ってきて、ジョナが初めてなのに、おかえりをした。 親父は良い人ぶって
「良い子だね、賢そうな犬だ」
そういって、家族が見ていないと飼っていた猫を蹴飛ばして歩いたから、信用はしていない。
ジョナは親父と散歩をした。 親父も老犬が自分に歩調を合わせているのを理解し、パーキンソン病の症状もかなり改善した。

退院して10日目にノン子とヤンコが突撃してきた、惨子が入院していたことを嗅ぎつけたらしい。 ケアマネもヘルパーも替えたけれど、元の事務所が同じだから、介護所から情報が漏れた。 Kだなと僕は思った。

「お兄ちゃん、開けて」
錠前を替えて、ノン子にもヤンコにも新しいディンプルキーを渡してあるのに、持っていることすら忘れたらしい。

ノン子の亭主がキャラバンで連れてきたみたいだ、パーキングにワンボックスが停まっている。

仕方ないから上げた。

双子は親父にべたべたしだした、如何に二人が親父を好きかアピールしている。

「お兄さん、入院だったら、黙っているのは不味いんじゃないですか」
ノン子の亭主が言う
「そうなの?」

30分くらい、親父をちやほやして、あれこれいらない事をして引き上げることに成った。
「みんなのお父さんなんだからね」

ヤンコが笑いながら言う
「みんなのお父さんなら、看れば? 手を引くよ?」

不味いという顔をして、双子と亭主は引き上げた。
引き上げた途端、携帯メールが入る。
やれ、ヒートテックを着せているのは不適切だ、犬を家の中で飼うな、外へ出せ。
実家に勝手に済むな、娘達も居るじゃないか 誰の許可で家族で住んでいる?

やーれやれ 洗いざらしの3年使ったヒートテックに保温効果は無い、肌寒かったから、さらっとした肌着を着せたくて着せていた。犬が家の中に居るのは親父も承知だし、娘達は親父の下を片付けることすらしている。

自分たちは何もせず、何も出来ず人の批判、誹謗中傷しかしない無能、馬鹿は疲れる。

もう2度と口をきかないと決めた。


午後からトン子が来て、あれこれ親父の世話をしている、僕はベッドで眠る。
夜は軍隊の歩哨みたいに眠れない、物音がしたら置きないと危ない。
まず、小便を撒き散らす、大きいのも、そこいらでする、しなければ妄想にしたがって旅立ってしまう。

幸い1階のエレベーターホールにジョナが寝ているから、何か有れば吠えて教えてくれる。
実際、ジョナのお陰で2度ばかり、親父の脱走を防ぐことが出来た。

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