見出し画像

土曜日、柔道部・剣道部の朝練が始まる前 武道場へ行った
ここも監視カメラは着いている筈

2階の照明や、あれこれやる回廊を見上げると香織がiPhoneを振っていた
ありゃまぁ・・・ てっ事は?

後ろから気配、openグローブとアクリル面を着けたアヤ

こなた、お揃いの3バカ
「アヤ」
五十嵐の声が嬉しそうなのがムカつく

アヤがポケットからグローブを出した
「拳、痛めるとキーボード叩くの苦労するよ」
はいな、僕は素直に装着

「涼次、高校の授業で柔道したくらいでしょ?」
「んふふふっ」

「黒澤と濱田は私が遣るから足手まといにならないでね」
はいな(`・ω・´)ゞ

息を吐く、肩の力を抜く、左足をすっと出した、スイッチオン

ゴリラみたいな濱田、180間際の僕より顔ひとつでかい、僕が延ばした右腕、手首を掴もうとしてきた、動きがシステマ

手首を掴ませておいて左の掌底で相手の左ひじをカチあげる きゅんっと言う感触とくぐもった音

身体を捌いて伸ばした右脚を濱田の脚の後ろに入れる
そのまま抜けた肘を掴んで身体を左へクルゥっと回す 体落とし
巻き込んでやったから受け身を取る間もなく後頭部から畳へ 
ぱぁんっと良い音がした

しぶとく立ち上がろうとするから、顎に前蹴り、そのまま膝を鳩尾に落とす いっちょ上がり

風を感じて前方回転で避け立ち上がる 
黒澤が回し蹴りの後の着地を決めていた

そのまま間合いを詰められて前蹴りが来る
いなすと体勢を低くして金的を掴みに来た クラブマガかぃ

男に掴まれるのは遠慮したい、すごーく嫌だ
スェーバックして右足を跳ね上げる、顎を蹴るつもりが ちょっとずれて親指の付け根が相手の鼻に、ぐずっという感じ 黒澤は潰れた鼻から血を流し畳を汚している

低い体勢から脚を回すと、いい具合に黒澤のかかとを捉え足払い 仰向けにひっくり返した

立ち上がって寄せると身体を丸め頭を抱えて防御姿勢、腕の上からサッカーボールキック、こめかみに衝撃が行ってKO

アヤと五十嵐が立ち技組手、突き蹴り受けの良い音がする アヤの方がちょっと上だけど実力伯仲って所か アヤの気がそれて寝技に持ち込まれそうになる

僕が居るのに寝技って!
五十嵐の髪の毛を左手で掴んで引き離す

「おい、こっちだぜ」
首に右腕を巻いて、そのまま畳に叩きつける

馬乗りマウント、左右で顔を殴る

「涼次」
アヤに肩をタップされて我に返り 後始末を考える
一人ずつ足首を持って引き摺って運ぶ 多目的トイレに入れて
3人揃ったところで 清掃中のタグを掛けた

モップと雑巾で畳の掃除をして
「帰るよ」
香織がキーをちゃりちゃりしながら ストッキング越しでも冷たい柔道畳、足の指先を丸めている

職員用のパーキング、香織は守衛に顔が効く。
アヤが助手席、僕は狭い狭いサソリトッポリーノの後部席に押し込められた
「ぷぷぷっ 涼次、マジになってたでしょ?」
クラッチとギアを操作しつつ香織が笑う

「涼次、体術やってたんだ」
目をキラキラさせてアヤが振り返る、あら可愛い

「あれ、なんなの見た事が無い スピードが段違いだし」
「最古のマーシャルアーツさ 役小角流」

フィアットはアバルトサウンドを奏でながら小滝橋通りから東中野へ

お邪魔でなければ、サポートをお願いします。 本日はおいでいただき、誠にありがとうございます。