見出し画像

拡張現実HMD会議 仮想会議

近未来SF風 ショート・ストーリー。
バーチャル空間での会議風景 こんな感じになるかも、
的なSFショートストーリーです。

---------------------------------

自宅のPCのタスクバーが点滅し、
チャットの着信を知らせる電子音が鳴った。

VRで会議をしよう。テーマ:「テレワークが続いているけど感想とかを聞きたい」


ツールバーのアイコンをクリックすると、チャット欄が開いた。
ビデオと音声のアイコンを確認する。

画像2

手元のVRヘッドセットを装着
sideのツールバーから「会議を開始」をクリックした。

VRの視界に電脳空間に構築された会議部屋が拡がった。
曲線で構成されたデザインの白いテーブルと落ち着いた木目調の椅子。
窓からは陽の光が差し込み、インテリアとして配置されたプランタンの葉が床に薄い影をおとしている。
次々に仲間たちのアバターも出現してきた。

「やあ、おはよう」
「・・昨日ちょっと飲みすぎちゃって・・」
「おはようございます!」
あちこちであいさつが始まる。

「みんな、おはよう!集まったかな?」「ぼちぼち始めるよ!」
主任部長の言葉でみな一斉に声の方を見る。

会場には低く環境音楽も流れていて、VRゴーグルを装着した私にも
会場の臨場感が伝わってくる。

唯一の違和感があるとすれば、・・・
下半身だけパジャマであることでの膝の感触と、足裏に触れる
室内履き内側のフリースのふわふわ感だけ。


「本日のテーマなんだけど。・・・
テレワークがだいぶ長く続いているけど、
みんなどんな感想ですか。・・みたいなところを聞きたくて、
集まってもらったんだけど。」
「どうかな。率直な意見がきおきたいんだけど」

「誰か、・・・・マツとかどう?」
マツと呼ばれたアバターが答える。
「そうっすね、俺 結構順応性高いんで、超快適っすね!・・・Uberバッカたのんでるのでちょっとデブたんすけど。はは。」
周囲から笑い声。

「業務的には、以外なんですけど何とかなってます。」と女性のアバターが答える。
「っていうか、通勤時間、私的には読書タイムだったので、最近それなくなっちゃったんで、買ってあるビジネス書溜まってきてます。」

「もはや、通勤いらなくねぇ!」「ソレナー!」
またどっと笑いが起きた。


「でも・・・みんなとリアルでお昼一緒に行ったりとかできなくて、ちょっと寂しいかも」

「言えてる」「ランチとかなくなって、寂しいかも・・・」

「じゃあ今度はVR飲み会とかする?」
「だれかぁ幹事お願い?・・・」「合点!わたくしにお任せを!!」
「終電気にしなくていいので、超ラッキーかも!」


皆 いくらかの不便さや、寂しさを感じているようだが、テレワークについてはおおむね好評のようだ。

私の持っているデバイスは一個前の型なので無理だが、
最新の接触感知センサー内臓型グローブであれば、
握手やハグも可能だろう。

仲間との無駄話、そしてしばらく歓談し解散した。
「会議終了」ボタンを押す。

会議室窓の光に、プランターの葉が霧吹きのしずくでキラキラ光っている
映像を最後に
VRのバーチャル映像はギュン・・っと萎んで消える。

私はVRのヘッドセットを外した。

今回のことで、ずっと続くと思っていた日常はあっけなく崩れた。
もっと滞りが生じるだろうことが予想されたが、リアルに会うこと以外は
あまり不便さを感じなかった。(飲食店の方ごめんなさい)
こんな世の中になってしまったことで、テクノロジーが思っていた以上にすすんだような感じだ・・・・


画像1


渋谷の交差点に立つ巨大なオフィスビルに
毎日通勤していた日々が懐かしい。
早起きしてちょっと憂鬱な日でさえ無理しても毎日通っていた道。

「たまには、密を避けて・・・」


久しぶりに、出社してみたくなっている私がいた。

end

なにかワクワクすることが、みんなで起こせるといいね! サポートお願いしまーす!(^^♪